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既に21年前に関わったベンツ500Eの車両火災のことを思い出したので再掲してみます。
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技術情報
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偶にはエンジニアらしく、技術的なことを記してみます。
近年の交通事故死者は、過去の最大期の年間15千人強から比べれば半減どころか3割弱まで低減しています。この交通事故死者減には様々な安全対策が功を奏した結果なのでしょうが、中でも死亡者の最大割合を占める自動車乗車中の死者(いわゆる棺桶型事故)減に寄与したエアバッグの標準装備は大きなものだったでしょう。
ところでエアバッグシステムですが、冒頭に記されるSRS(補助的拘束機構)からも明かな様にシートベルトを装着しているということが前提のシステムです。もし、シートベルトをしないままエアバッグが作動した場合、乗員頭部が正しくエアバッグに受け止められなかったり、展開したエアバッグ上で顔面が擦過し受傷したり、その上でエアバッグ外の他物と頭部が衝突し受傷したりという現象が起こり得る訳です。
さて、エアバッグの作動を制御するエアバッグECU内には、専門家以外にはあまり周知されていませんが、EDR(イベント・データ・レコーダー)という機能が内蔵されているそうです。これは、エアバッグ作動時(その数秒前から後まで)の、車両速度、ブレーキを踏んでいるか、アクセルの開度、ステアリングの操舵角、そしてシートベルトの装着の情報などの情報が記録され、専用の読み取り装置により解析ができるというものです。
そもそも車両メーカーで、このEDR機能をひそかに内臓したのは、エアバッグ絡みのPL対策にあったそうです。例えば。シートベルトをしないままエアバッグ作動の事故を生じ、車両メーカー相手の訴訟が起こされても、EDR記録からシートベルトをしていなかったからですよと抗弁できる様にというものです。
EDRデータは、交通事故の捜査する警察からの要請によっては車両メーカーが公開する場合もある様ですが、ほとんどの事故では公開されることもないままでしょう。また、警察同様にというか保険金支払という経済的理由から、保険会社では警察以上にEDRデータの入手を望むと思われますが、果たして保険会社が車両メーカーに公開を要請した場合、公開されるのでしょうか?、疑問なことでしょう。ちなみに、保険会社では、搭乗者傷害保険でシートベルトの有無で支払い保険金が変わったりします。そして、何よりも知りたい事案としては、単独自損事故の場合で自殺でないかと疑われる事故でしょう。この様な場合に、EDRデータにより、超高速でアクセル全開、ブレーキも踏まず、ステアリング回避もしない衝突であることが証拠として示されれば、自殺という可能性を強く示唆するものとなるのでしょう。
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本日夕刻のこと、帰宅の徒に付いた途上でバス運転手から右ウインカーが作動しなくなってしまったと連絡が入りました。土曜のことで提携の修理業社とも連絡が取れないとのことで、それでは診断してみようとUターンしました。
早速、現車確認すると左ウインカーは点滅するけど、右ウインカーはインジケーターも含めまったく不灯です。またハザードフラッシャーも右側だけ不灯です。フラッシャランプの場合、たいていのクルマが切り忘れを防止するために「カチカチ」と作動音が出る仕組みにしているのですが、注意深く聞くと不点の右側でも作動音は出ますが、左側とはちょっと音が違うことに気付きました。
ここまで記せば、車両の整備知識ある方ならフラッシャーユニットが疑わしいと当然思うところです。作動音からフラッシャユニットの位置は直ぐ判りました。そこで、フラッシャーユニットのコネクタを抜いたり差し直したりして変化がない(接触不良はないか)ので、該当ユニットを取り外し裏蓋を開けて基板を確認して見ます。まずは、表の実装部品側からですが、特に異常は見当たらず、リレーが2個とは左右で使い分けているのか?とも想像されます。8DIPくらいの小さなICが1個使用されていますが、恐らくタイマーIC(点滅制御用)でしょう。次に基板裏面を細かく観察していきます。そこで、ある程度予想していたハンダクラックを発見したのでした。
このハンダクラックは、数十年前にオルタネーターのICレギュレターが出始めた当時、初体験したものですが、以後も時々見ることがあります。原因はハンダの接合時の温度が低すぎたりたり高過ぎたり、ロウ付けの溶け込み不良にあると知られています、そして、私の経験では、基板実装部品の比較的大きな(重い)部品の比較的大きな端子部に生じ易いと感じています。(加振力が働き易い?)
該当クラックを見つけ、右ウインカーを作動させ、小さなマイナスドライバーで該当クラック部を軽くこじてやると正常に点滅するので、間違いないことを見極めました。ここまでの諸用時間は約20分程でしょうか。修理は、即刻入手できるなら新品部品に取替もあるのでしょうが、土曜のこともあり、しかも翌日運行予定もあることから修理としました。クラック部の周囲4辺を超小型のグラインダーで切削し、半田ごてにて再度十分ハンダを流し盛り付けます。
修理を入れて正味作業時間は1h弱ですが、大型車ですし時間外の出張修理でもあり、2h分くらい請求しても良いんじゃないでしょうか?(業務上のことですから請求できませんが)
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輸入車のヘッドライニング(成形天井)ですが、経年すると剥がれ落ちる(天井落ち)事例は非常に多いものです。今回のBMWミニも同様で、販売台数が多いだけに、剥がれを生じているクルマを見る機会は多いものです。
このヘッドライニングの剥がれですが、ルーフライニングの基材(ファイバー混入の圧縮ダンボール状の材質)に、ルーフライニング表皮材(布)を3mm程度の厚みを持つスポンジ素材を介して接着してある構造において、スポンジ素材が劣化分解し結合力を失うことで生じるものと思われます。これは、剥がれてない場合でも、指先で押すと戻りが悪い現象から、ある程度の見極めが付くものです。この点は老齢の人間の皮膚と似た症状です。
軽度な部分的な破がれで前端部分などであれば、多少めくって接着剤を塗り固定する方法でなんとか格好が付きますが、それでもスポンジ素材の基材側に接着剤を塗り込めないため、薄い表皮材に接着剤が染み出して来て、なかなか難しいところがあります。(染み出しを目立ち難くするためボンドGクリアを使用します)
過去、R50、およびBMWE46など、数台のクルマのヘッドライニングを外し、内装屋(シート屋)さんに持ち込んだものです。料金は2〜3万円程度と、比較的安くやってもらったとは思いますが、それでも絶対額としては、バカにできない費用が掛かります。今回は、BMWミニR53にて、運転席側が前から後ろの方まで垂れ落ちたクルマで、ルーフランプを外した隙間からスプレー式の透明接着剤を噴霧したりと試行錯誤しました。しかし、やはり接着剤が染み出し、大きな染みを生じ、それでも結局は接着不完全でまた剥がれてきてしまうとう状況で、いよいよ張替に調整する決断となった訳です。
ヘッドライニングの素材の調達ですが、ネット通販しているところが結構あります。幅はだいたい1.5m程でルーフの前後長に合わせて50cm単位で販売しているところがほとんどです。R50の場合は、現車実測で2mあれば十分です。それで、価格は1万円ちょっとくらいの店が多い様ですが、「浅草ゆうらぶ」というところで、2m長、3mm厚スポンジ、ライトグレー色で約5千円(送料共)を見つけ注文しました。
さて、ヘッドライニングを現車から取り外します。ハッチバック車ですので、バックドア開口部から引き出せますが、結構ぎりぎりの感です。そして、ヘッドライニングの表皮をむしり取り(ほとんど抵抗なく剥がれる)、残されたスポンジをプラのスクレッパーで剥がします。この状況で、スポンジにまるで剛性感がなく、劣化分解しているのが良く判ります。その後、ウエス等で擦ると、残されたスポンジカスはほぼ落ちました。但し、応急的に行った接着剤の塗布などで、一部落ちにくいところは溶剤をウエスに付けて擦り落とします。なお、溶剤ですが、幾つか試しましたが、ラッカーシンナーは強すぎて基材を溶かす様子が判り止め、アセトンもしくはシリコンオフ辺りが手持ちの溶剤としては調度マッチするかなという思いです。かなり丁寧に擦り上げましたが、3mm厚のスポンジ表皮を張る訳ですから、塗装のパテ研ぎみたいに微少な凹凸をあまり気にする必用はありません。
さて、この後が一番の難局となる張り込みです。二人作業が適当かと思いますが、一人での作業です。やり直しが効かない一発勝負の作業ですが、多少の難点は生じましたがなんとか終えました。その後は、外周に沿ってハサミとカッターでトリミングを行います。そして、ルームランプやサンバイザーなどの開口部をカッターなどで切り取り完了です。
今回の反省点としてですが、新しいヘッドライニング表皮の外周部のトリミングは、ウェザストリップで隠れる部位はともかく、そうでないフロントウインドやリヤサイドウインド部は、ヘッドライニング端部で裏側に1、2cm巻き込んで固定すれば、端部の切り口の不揃いや厚みの差による凹凸が出ず、覗き込んだ際の見栄えが良かったということです。
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最近AT車が多く、クラッチのエア抜きが必用という局面は少なくなっていることでしょう。ところで、該当のミニ(R53)6MTですが、ペダルの遊びが30〜40mmもありクラッチが切れません。従って、エンジン始動してのシフト操作が不能です。今のクルマはクラッチが自動調整式ですので(レリーズシリンダー内に弱いスプリングが内蔵され常にペダル遊びをなくしている)、ペダルの遊びはほとんどありません。他のR50・MTでも確認しましたが、ほとんど遊びは感じ取れません。
ということで、クラッチのエア抜きを行ったのですが、全然抜けずというか、ドレーンチューブに気泡は出てこないにも関わらず、ペダルの遊びが小さくならないのです。レリーズシリンダブーツをめくると僅かにオイル漏れの形跡がありましたので、念のためレリーズシリンダーおよびマスターシリンダをAssy(内部のカップキットとかはありません)交換することにしました。純正相当の社外部品で、両方で1万円以内の価格でした。
マスターシリンダーは室内のペダル上部に装着されており、非常に作業性が悪いですが、なんとか作業を終え、改めてのエア抜きを行いましたが、交換前とほとんど遊びは変化ありません。
エア抜きしている最中、リザーバータンクはブレーキと共用されていますが、クラッチ経路のフルード取り出しはタンクの比較的高い部位で、液を切らしてしまうという場面もありました。
ネット記事などで、油圧配管の経路長が長いポルシェなどで、エア抜き困難などの手法として、ポリ製のオイル差し(1ヶ200円程を2ヶ利用)を利用してフルードを加圧して行う手法を真似て見ました。リザーバータンク側の分岐ホースにフルード入りのオイル差しを接続します。そして、レリーズ側のブリーダープラグにもホースを経由してオイル差しを接続しました。この状態で、ブリーダープラグを開放し、マスター側からフルードを加圧注入し、ブリーダー側のオイル差しに十分フルードが溜まるまで、加圧し続けます。念のため、今度はブリーダー側から加圧し。リザーバー側にフルードを戻します。この手法は、クラッチの油圧経路のフルードを捨てることなく、何度でも移し替えできますので経済的です。(それまでは、さんざん繰り返しエア抜きを行い、0.5Lボトル4本くらいを捨ててしまいました。)この結果、ペダルの遊びは、だいぶ改善しましたが、約10mm程度の遊びが残る結果となりました。
最期は、通常の2人作業で、ペダルを踏んでブリーダーからエアを抜く作業を、4、5回繰り返したところ、ペダルの遊びはほとんどない状態になり、エンジン始動でシフト可能な状態になったのでした。
なんで、こんな単純な作業に、手間暇掛けるんだという話です。リザーバータンクからエア加圧する工具や、ブリーダー側から吸引する工具もある様ですが何れも高額ですし、作業頻度の低い者にはちょっと敷居が高すぎます。
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