|
大型バスには、一般的な乗用車では見掛けない装置が結構あります。天井部に付けられた換気扇もその一つです。今回は件(くだん)の換気扇が停止させ様としても(時々止まらず)、上部の開口部ダンパーが閉じたり開いたりを繰り返すというものです。
こういう現象は、ダンパー位置を検出するスイッチ(リミットスイッチ)が悪いと見込みを付け、該当マイクロスイッチのメーカーと型番をメモしました。メーカーはPanasonic、型番はAVL3255 というものでした。ちなみに換気扇は、ゴールドキングというバス用装備品メーカー製の型式VIM-234Cというもので、修理該当車は15年程使用していますが、今でも現行製品として作り続けられてることが判りました。また、同メーカーと打ち合わせた結果、件のマイクロスイッチ単品の補給設定はなく、開閉ダンパー駆動ユニットのサブAssyとして約15千円程の設定となっていることも判りました。そんなことから、コストパフォーマンス優先で、マイクロスイッチ単品の入手を図ることとしました。メーカー(パナ)のサイトで、業務用の通販が行われています。入手は送料共で800円弱(内送料が500円程)で、注文後2週間程で配達となりました。
さて、部品調達もできたので、換気扇のダンパー駆動ユニットを車上より取り外し、スイッチの取替を実施します。作業前は、一つと想像していたリミットスイッチですが、上端および下端の検出に180°位相で装着されています。つまり、右回転のモーター駆動のクランクでダンパーを上下させていますが、クランク根元のカムで、180°位相で停止位置を決めている訳です。まずはサーキットテスターの抵抗レンジでスイッチの接点抵抗を計測しますが問題ありません。次に指触によりマイクロスイッチのストロークとクリック感を比べてみると、上死点側のスイッチがONになる位置が深い様です。マイクロスイッチは、内部に燐青銅製のスプリングがあり、これでカチンとスナップしてON(もしくはOFF)をスイッチしているのですが、経年によりスプリングの特性に狂いを生じている様です。これではカム山でスイッチON(もしくはOFF)になるべきところでならず、通り過ぎてしまい何時までも動き続けるという結果となります。
該当マイクロスイッチを取り寄せた新品と交換し、ハンダ付けで配線をしっかりと接続し直し、機器を元通り車上に組み付け直しました。それから、約2週間使用してますが、運転手からは異常動作の再発はないと報告を受けています。不慣れな初めての作業でしたが、1h程の作業時間でした。
|
技術情報
[ リスト | 詳細 ]
|
エアバッグやシートベルトテンショナ−などの安全装備は、現代車においては必須装備となっている。我が国の保安基準も含め多くの国で必ずしも装備が義務付けられる訳ではないが、非装備となると衝突テスト上において著しく低い評価値(HIC値など)となることから、実態としては必須装備となっているのだ。
さて、エアバッグなどのインフレーター内の物質は、単に「窒素ガス発生剤」と記され、具体的な物質名が公表されることはなかった。しかし、エアバッグ装備の初期から2000年頃まで窒素ガス発生剤として使用された「アジ化ナトリウム」が極めて高い毒性(未作動状態)を持つことから、その使用が中止されたことが公表された。そして、今回のタカタ問題を機に、新たな窒素ガス発生剤として使用される2種が公表された。一つはタカタ社が使用してきた「硝酸アンモニウム」であり、もう一つが「硝酸グアニジン」という物質である。そして、NTTSA(米国道路安全局)は、タカタ社に対し硝酸アンモニウムの使用中止を勧告したのだ。今回のタカタ問題のすべてが硝酸アンモニウムに起因するのか未だ不透明なところもある。しかし、硝酸アンモニウムが吸湿し易いこと、そして転移というある温度を境に膨らみ、温度低下と共に戻るという性質があることを指摘する意見がある。この転移により、原型の硝酸アンモニウムのペレットは無数にヒビ割れを生じるという。そして、ヒビ割れ表面積を増したペレットは、作動時に設計値を越えた爆発的な膨張を引き起こすというのだ。
|
|
昨年末に生じた池袋バス火災だが、最近の報道で該当車はH5年式であり平均車齢11年を大幅に超える老朽化が原因といわんばかりに記述には、若干異論を感じつつ私見を述べてみる。
まず、平均車例であるが各種統計があるのだろうが、普通貨物でさえ平均車齢は13年を超えており、それよりも新車価格が高額な大型バスが平均車齢が11年であるはずはなく、別の統計では20年を超えていることが読み取れるのであり、これは日頃から伺える状況と違和感はないのである。
だいたいH5年式となると新車から23年を経過している訳であるが、実態としてこの程度のバスが運行してことに違和感はない。20年程度の使用において老朽化うんぬんというのであれば、数十年、場合によっては50年つまり半世紀の長きを使用され続けている鉄道車両の安全性をどう判断するのであろうか・・・。
ただし、使用期間は短くとも、その点検・整備などの保守については、十分以上の管理が求められるのは当然のことであろう。また、バスなどについては、再販に伴い改造を伴う仕様の変更がなされる機会が多いと想像されるが、この改造時に十分以上の電気配線などの安全上の留意がなされているかが要求されることは当然のことであろう。
|
|
一年前の記事を若干校正し、再掲載してみます。
クルマのボディ寸法の精度のことについて、国産車と輸入車を比較しながら若干講釈を記してみます。 現在のクルマは、各フタ物パーツ(ドア等)は隣接パネル間の隙間(チリ)も小さく均一さが保たれています。そして、国産車に限りますが、フタ物パネルを固定するボルトの根本部がテーパー状となったセンタリングボルト使用されています。これは、ボディの基本骨格となる内板骨格(モノコックシェル)の寸法精度が、相当小さな許容誤差の範囲で管理されていることが判ります。国産車では、今から20年程前で、ボディー寸法の誤差は±2mmと聞いていましたが、よりチリ隙間の少ない現在では、さらに寸法誤差が少なく作られる様になっていることが伺えるのです。 ところで、どんなに高精度な寸法精度のクルマでも、衝突によるボディ変形により各部の寸法は原寸から外れてきます。そして、見た目でも各パネル間のチリの狂いとなって表れてきますので、それらを観察し内板骨格の変形具合を読み取るというのが、事故車見積技術の根本であり、コンピューターにはできないことなのですが・・・。しかし、コンピューターさえあれば素人でも見積はできるなんて、軽率な考えを持つ者(それと宣伝)が多いのは笑止と感じます。※1
ところで、クルマの品質とか魅力がボディ寸法の精度だけによるものでないのは当然です。その前提で、輸入車のヘッドライトとドアの取り付けについて記してみます。
ヘッドライトの取り付け構造ですが、高品質を評価されるドイツ車ですが、ボルト(3〜4本)でボディ本体(コアサポート等)に固定される構造は国産車と同様です。しかし、各取付ボルトが、内径16mmの外ネジ付きスリーブに大平ワッシャ付きの6mmボルトを介して固定される構造となっており、上下左右に最大5mm、スリーブがねじ込み式ですので、スリーブ高さも最大10mm程度は可動できる構造となっています。
ドアヒンジ部で同じくドイツ車(欧州車といっていいかも)では、ヒンジピン部(上下)のボルトを弛めることで外せますから、脱着はし易い構造とされています。また、、ヒンジのボディー本体側は溶接構造となっており、寸法精度がそれなりに高いとを伺えさせます。しかし、ドア側のヒンジを外すと、国産車と違いセンタリングでない通常ボルトが使用され、しかも多くがシム(スペーサ−)が挿入され高さの調整がなされているのを見掛けるのです。
以上のヘッドライトとドアの事例ですが、現代日本車のヘッドライトでこの様な調整代を持つクルマは極少ないですし、ドアヒンジに関わらずボディパネルをシムで高さ調整しているのを見ることはありません。従って、ボディ寸法精度としてみれば、国産車より輸入車が劣ると想像します。そして、この様な調整を生産ラインで行うについては、当然専用治具を使用した上であろうが、作業時間(タクトタイム)を増加させるでしょう。すなわちコスト高となってきますから、メーカーとしてはできれば調整機構は避けたいところでしょう。ついでに、街の板金屋さんの声と私自身の経験からも感じることですが、欧州車は調整代が多すぎて逆に合わせるのが大変で手間を要すことです。
ところで、一部クルマを除き、ホイールアライメントの調整機構(除くトーイン)を有し、製造ラインにおいて同調整(除くトーイン)をおこなっているクルマは、国産車でも輸入車でも少ない様に見受けられます。ですから、輸入車においても、アンダーボデーの寸法精度は国産車に遜色はないと推察するのです。しかし、アッパーボデーの寸法精度は、国産車に若干劣ると考えざるを得ないのです。
但し、幾ら寸法精度が正しかろうと、走行中のクルマは、静的にも動的にも各種荷重を受け、寸法の狂いを生じると考えられます。そして、寸法の狂いが、もし運転車に関知された時、剛性の低いクルマだという評価にもなると思えます。このボディ剛性についても、近年の衝突安全性能の副次的効果により、一昔前のクルマから著しく向上したところでしょう。
この国産車と輸入車のボディ寸法精度の差異は、プレス金型の精度や溶接にあるのではなく、各パネルを寸法通りに組み合わせ固定する治具だとか組立順序などから生じるのではないかと想像しています。しかし、工業製品としては均一な寸法に短時間で組み立てることが優れているのでしょうが、クルマ全体の評価となるとデザインとか諸性能(動力、操安、音振等)、衝突安全、等々が加味されて来ますから、必ずしも国産車が優れているとは思えないところなのです。
※1
チリが狂っているから、その取り付け骨格が動いているとは即断できないことを認識することです。アジャスターの新人教育などで、そういうバカの一つ教えを受けた者を時々見掛けたものです。その損傷パネル自体が変形するに留まっている場合もあり得るのです。具体例を記せば、フロンドドアの前端に12時近い入力を受けドアが後方に下がってリヤドアと接触している事例です。ドアのインナーパネルが変形し、ドアが後退しており、フロント(A)ピラーは変形なし(あってもヒンジ後方が僅かに沈む程度)というのを、フロン(A)トピラー変形大きい3h分みたいな見積を作っちゃうのです。 |
|
時々見られる車両単独の大きな車体変形を伴う事故で、電柱に車体が巻き付いたのごとく食い込んでいる様な衝突形態です。カーブとか交差点などで、車体が横になるドリフト状態で、それなりの高速で電柱などに側面中央部付近を衝突させているものです。この時、車体の前部とか後部であれば、偏心衝突として運動量が車体を回転させようとするモーメントとして働き消費されますから車体の変形はここまで大きくなりません。しかし、中央部付近となると、いわゆる心向衝突となり、運動量はモロに車体の変形に費やされます。つまり、電柱様物は車体の半分を超えて侵入変形さしめ、だいたいこういう事故は、乗員全員死亡という凄まじいものとなります。
写真は、今月2日未明に室蘭市で起きたという事故ですが、車両の前部はほとんど大きな変形は見られず、左側面部が空恐ろしい程の変形を生じていることが見とれます。なお、血中アルコールが検出されたという乗員3名は全員即死とのことです。
15日に軽井沢で起きたスキーツアーバス事故ですが、無残なルーフ部の破壊も、転落高さが3とか5mとか記してありましたが、それだけでは幾ら脆弱なバスのルーフ構造といえども、あそこまでの変形は生じなかったであろうと推察しています。つまり、転落しつつ横倒しになり、全体運動量の内かなりの比率がルーフ上方から受圧させたと見るべきと考えているのです。
|



