狼の山の魂

■■ A N I M A L T E M P L E ■■ 動物たちの真情を伝えます。全世界の動物たちを祈ります。

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<2010年9月17日>

熊が里に降りたと言う。

民家の庭の柿の木に登って柿を食べたと言う。

家人が通報し、害獣駆除隊員が来て、熊を追い払おうとしたと言う。

熊はその家の倉庫に逃げ込んだと言う。

動転した熊は、まず視界に入った倉庫に飛び込んだのだろう。

だが外には隊員たちがいるから、もうそこからは出れない。

もはやそこで息を殺してじっとしているしかない。

やがて、痺れを切らした隊員たちが、得物を手にして入ってきた。

ワイヤーの投げ輪が飛んできた。

そしてそのワイアーの輪は首に嵌り、素早く締め上げられた。

そしてそのワイアーの端は柱に括り付けられた。

もう夜になっていたので、熊駆除の作業は中断され、隊員たちは去っていった。

倉庫の柱に首をワイアーで縛られた熊の、長い長い夜が始まった。


とにかく、暑かった。

まだ残暑の熱暑の最中だった。

倉庫の中は、息をするにも苦しかった。

ましてや恐怖と興奮で、身体は火のように暑かった。

それでも、なんとしてでも、ここから逃げなくてはならない。

今度人間が来れば、この身がどうなるか?? 無事でいられるはずがない・・・・・

それを想えば、なんとしてでも脱出するしかない。

だが、首に鋼のワイアーが巻かれている。

逃げるには、このワイアーを断ち切るしかない。

熊は、渾身の力でワイアーを咬み続けた。

口の中は切れて血だらけだ。

歯茎もアゴも悲鳴を上げている。

熊はそして渾身の力でワイアーを引っ張った。

ワイアーが首に食い込み、皮膚を裂き始めている。

中の筋肉は、もうズタズタだ。

もうその首は、元には回復できないほどに壊れ始めた。

首と口の痛みで、気も狂わんばかりになる。

まるで業火で焼かれているような激痛が間断なく襲う。

熊はもう、逃げられないことを覚った。

いや、初めからそれは知っていた。

だが最後まで、抵抗を試みたのだ。


長い長い夜だった。

暑さと痛みと苦しみの、拷問の夜だった。

夜が終わりを告げる頃、熊は孤独と絶望の中で死んだ。


いつも思うのだが、

里に降りた動物に対する「対策」は、いったいどうなっているのだろうか??

長年に亘って山の動物たちが頻繁に降りてきているというのに、

それに対する適切な対処が成されているとは到底思えないのである。

未だに、旧態依然の原始的な対策のままに思えるのだ。

世の中は、これほどにハイテクを競っているのに、

こと動物に関してはまるで進歩を感じられないのである。

動物対策ごときに、技術開発の金など使えないということか??

金どころか、時間さえ費やすことが惜しいのか??

おそらく、動物ごときに細かな配慮など不要だと考えているのだろう。

そうとしか思えないほどに、技術進歩を感じないのである。

<ある県のある民間組織は精力的に考えているようだが、まだまだ途上に思われる・・・>


そして、「ネットワーク」だ・・・・

これもいつも思うのだが、

どこかで山獣問題が発生しても、局限的なアイデアで対処しているような気がする。

そのエリアのその管轄の中だけで対応しているように感じる。

全国規模で探せば、「熊のオーソリティー」はどこかに居るはずだ。

今やネットで探せば、そのような人や組織が一発で分かるだろうに。

なんで即座に連絡してアイデアを仰ぎ、そして連携して行動しないのだろうか??

なんでみんなで知恵を出し合って連携しないのだろうか??

探すのも面倒か?? 電話するのも面倒か?? 連携するのも面倒か??

何もかも分断され、その場の局限で判断され、そしてその繰り返しに見える。

これでは、いつまでたっても一向に進化しないように思える。


たとえば、「麻酔銃」ひとつとっても、改良の余地は大きくあるだろうに。

たとえば、「吹き矢」ひとつとっても、進化の可能性は大きくあるだろうに。

そこで熊をスムーズに鎮静できれば、余計な怪我を負わせずに済むはずなのだ。

<そしてそれらを使いこなす技術の練磨も必要だ・・・>

野生動物が人間に捕まれば、あるいはワナに捕まれば、

彼らの心境がどんな状態になるのか、そんなことは誰だって百も承知のはずなのだ!!!

それとも、そんなことさえ分からないというのか???

それとも、そんなことなど眼中に無いというのか???

たとえば道具の類も、捕獲機の類も、檻の類も、技術の類も、

そういった諸諸の条件の進化を、もっともっと真摯に考えて欲しいと願う。

無理難題など、これっぽっちも言っていないはずだ。

「せめて・・・・」の哀願なのである。


里に降りた山獣たちも、大自然の申し子である。

大自然と直結した申し子の胸中を知らねば、

大自然のことなど何ひとつ分かりはしない。

「自然との共生」などと言えた義理では無いのである。


※左目次に「熊の哀歌」があります。


■南無華厳 狼山道院■


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