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未知との遭遇 〜 7inch EPに録音された ジャズの 批評と研究


Carol Danell(vocal) Con  Piero Umiliani E I Suoi Solisti rec.1957
1950年〜1960年代に活躍したヨーロッパの女性ジャズシンガーといえば、日本では北欧出身のシンガーが紹介されることが多く人気も同傾向と考えられる。北欧というクールで透明感のあるイメージが関心度を高めているのかも知れない。イタリア出身のCarol Danell は我が国では知名度は低く、経歴もなぜか1957年〜1967年までの約10年間のみ音楽活動をおこなっていたとの記録が残っている。その間にリリースしたリーダー作は少なく、しかもポップス系のものが多数を占めているようだ。この7inch EP 彼女にしては最もジャズに接近した1枚と言える。曲によりイタリア語と英語で歌い分け時にジャジーな雰囲気が漂うご機嫌な作品に仕上がっている。ここで共演しているPIERO UMILIANIとの関わりは1950年代からと長く、シネジャズの名盤「I PIACERI PROIBITI 」( 禁じられた欲望)が再発され、そこに参加していたことでも記憶にある。同じく1957年録音にUMILIANIと共演をしたブルーのジャケットに彼女のイラストが描かれた7inchが存在するが、同時期のこのグレーのジャケット作品は見かける事すら少なく入手は困難である。お馴染みHarry Warrenの「I Only Have Eyes For You」は彼女の歌唱力が発揮されたナンバーでジャジーなCarol が聴きどころ。イタリア語で語るように歌うMa L’Amore No」、楽しげにアップテンポで歌う「The Down Town Strutter’s Ball」、ノスタルジックな雰囲気が漂うバラード「T’Amo Dolce Notte」は彼女の個性が味わえる1曲。随所に散りばめられるメンバーのソロも存分に楽しめる。
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Paul Friedman(p) & (b) & (ds)  Eddie Shu(as,tp)  Rec.1960's
■1918年生まれのmulti-instrumentalist と称されるEddie Shuの希少な7inch EP Onlyの録音。彼の名前は認知はしていたがジャズの専門誌においてもクローズアップされることも無くBethlehemのフクロウの10inchを目にするぐらいで恥ずかしながら針を落とした経験もない。彼は as, ts, tp, clarinet,harmonica,  accordion等を演奏するというが、コアなモダンファンならclarinetがクレジットされている時点でスルーしてしまいそうである。
だが・・・・この7inchを聴いたら彼に対する印象は大きく変わってしまった。この作品ではアルトサックスとトランペットを演奏しているのだがモダンでバップの香りを漂わせながら見事なアドリブを展開する彼の実力と魅力を認めざるを得ない。Paul Friedman TRIOの演奏も端正でスインギーで素晴らしい。Eddie Shuがアップテンポに乗って縦横無尽の圧巻のソロを展開する「MEAN TO ME」、Paul Friedman TRIOが先導し満を持してEddie Shuが良く鳴るトーンでソロを聴かせる「BEE'S KNEES」、ワイルダーを彷彿とさせるEddie Shuのソロが味わい深い「ABORIGNAL」、「B GIRL'S LAMENT」は Eddie Shuがトランペットとアルトサックスを持ち替えてソロをとるがエッジの効いたアグレッシブなアルトが聴きどころである。こんな発掘盤が見つかるから7inchの世界からは引退できない。全4曲必聴の名作だろう。
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Roger Roulleaux(vib) Jo Mezzanatto(ts) A. Batista(tp) 
J.Roux(p) B.Chabrol(ds)   Rec.1963
■S' MERRY BOYS QUARTET というグループ名からはDixieland JAZZやボーカル・グループを連想してしまうが、針を落とすと乗りの良い魅力的なモダン・ジャズが流れてきて良い意味で期待を裏切られる。メンバーの中ではRoger Roulleaux(vib) がリーダー的な位置づけのようだが、このグループの経歴等詳細の情報は皆無である。お馴染みのミディアムテンポでのメロディーを渋いテナーサックスがかすれ気味のトーンでアドリブを奏でる「DANS LE BLEU DU CIEL BLEU 」、アップテンポに乗ったご機嫌なテナーサックス ソロが印象に残る「PUISQUE TU T'EN VAS」、バラード「C'ETAIT HIER」「THE NEARNESS OF YOU」は Jo Mezzanatto(ts)の独断場 聴かせてくれます。

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Bob Davis(p)  & (b) & (ds)  Rec.1960's
■Bob Davis(p) 1927年ミネソタ州生まれ。18歳の頃からジャズ・ピアニストとしてローカルステージで演奏。後にSarah Vaughn, Dizzy Gillespie等 著名ミュージシャンとも共演を果たしている。彼の作品ではZephyr Records の アニメジャケで記憶に残るJazz From The North Coastがサックスを加えたQuartet編成によるスインギーな好盤であった。彼のピアノトリオによるリーダー作としては同レーベルに7inch EPのライブ録音があるが、この作品はピアノトリオによる長尺1曲「HEY SELMA (Part 1)」「HEY SELMA (Part 2)」を表裏面に分断して収録したありがちな(残念)な1枚である。しかしながら彼のスタイルはミディアムテンポに乗ってバップの香りを漂わせながら渋く貫禄のあるアダルトなフレーズで身も心も満たしてくれる。


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Claus Krisch(p)  Martin Krisch(vib)  Thomas Krisch(b)
Elmar Schrepfer(ds)  Rec.1970  PRIVATE  label
■ドイツでジャズミュージシャン、作曲家として活躍していた Franz Krischの3人の息子と友人で結成されたコンボによる自主レーベルからの結成当時の演奏を収録した希少な1枚。管楽器の入らないMJQと同編成による演奏なのでスルーしてしまいそうになったが、針を落とせばベースとドラム(ブラシ)の熟成された極上のブレンドによる躍動感溢れるエキサイティングな演奏とバランスの良い録音に、60年代初頭に神童と言われたNiels-Henning Ørsted Pedersen(b)とAlex Riel(ds)の刺激的な絡みによる快感を思い浮かべてしまう。ジャケット写真からは、メンバー全員が十代後半から二十代の青年のように見受けられるが円熟のプレイとのギャップに驚かさせる。Side-1ジャズを通してドイツTubingenで出会った2人のアメリカ人に捧げたという「Two Americans in Tubingen」はテーマからお馴染みの曲のテーマを引用しながらご機嫌にスイングする。「Ara」はMartin Krisch(vib)のアブストラクトなソロによるテーマの暗示から一気にリズムが加わりテンポを上げ猛然とスイングする1'07"からの快感を楽しむ。Side-2 反戦の祈りを込めたという「Pacific」は7inchとしては5分を超える長尺曲で<ジャンゴ>を彷彿とさせる鎮魂のバラードでテーマの後からのMartin Krisch(vib)のロングソロがずっしりとしたベースに支えられ素晴らしい。出過ぎない端正なソロを散りばめるClaus Krisch(p)のプレイも印象に残る。現在でもKRISCH QUARTETTは活動を行っているがドラムス等メンバーは変更されている。アルバムタイトルIntegration=統合(融合)に相応しい久々に出会ったヨーロピアンジャズの素晴らしい作品である。




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Big Sam Mason Quintet (p,ts,g,b,ds) Rec.1961
■ジャズミュージシャンとしてよりR&B〜SOUL系のオムニバス等にも収録され認知されているBig Sam Mason のコテコテの1枚。とはいっても内容は60年代の熱気を感じる素晴らしいジャズといえるだろう。特に昇華するピアノとザラついたテナーサックスの音色は魅力的である。対照的な曲名の2曲が収録されており想像力を刺激される。貫禄たっぷりのベースがゆったりとリズムを刻みピアノが陶酔しそうなソロを散りばめる「Black Night」、一転テンポが上がりご機嫌なリズムに乗って時にシェップを彷彿とされるトーンでテナーがソロを聴かせブルースフィーリングたっぷりのギターのソロに移行する「Bright Day」。好みの分かれる演奏かもしれないが、つよいアルコールでも飲みながら針を落としたい作品である。
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Tony Kinsey(ds)  Bill Le Sage(p)  Sammy Stokes (b) 
Joe Harriott(as)  Rec.1954
■ Harriott(as)を加えたTony Kinseyコンボの最初期の録音。ここでのHarriott(as)は、60年代のプレイに比べ ややエッジが控えめなマイルドなトーンで魅力的なソロを聴かせている。このコンボでの作品は数多く残されているが、特に ここに収録されている2曲は美旋律で記憶に残る。Charlie Parkerの名演やFrank Sinatraの名唱でもお馴染みの「The Song Is You」、Duke Ellington1931年作曲という古い曲がKinsey(ds) の太鼓によって新たな息吹を与えられた「It Didn't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)」(途中まで引用)。ジャケット裏面の若かりし(27才)Tony Kinsey(ds)の姿も貴重である。



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Jodie Randall(vocal) with orchestra  Rec.1957
■イリノイ州のマイナーレーベルStepheny Recordsに録音されたJodie Randallなる女性シンガーの作品。彼女の経歴等は不明であるがビッグバンドに乗って、ジャジーに明るく堂々とスングする歌声は俳優のセカンドワークではなさそうである。分厚いブラスアンサンブルに導かれ時にキュートに歌う「Little Red Shoes」、一転バラード「Lonesome Autumn Breeze」では彼女のセンチメンタルな感情移入が魅力的で思わず聴き入ってしまう。ちなみにレーベルの顔写真は彼女とは無関係でこのレーベルの創始者など関係者のようだ。
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Don Burrows(cl)  Mal Cunningham(fl)  Frank Smith(as) 
Terry Wilkinson(p)  Freddy Logan(b) Ron Webber(ds)  Rec.1957
■1928年生まれ オーストラリア屈指のクラリネット、サクソフォン、フルート奏者Don Burrowsのモダン寄りの珍しい作品。おそらく 当時 この7inch EPでしかリリースされなかった希少な1枚である。彼は全曲クラリネットに徹しているがフルート、アルトサックスが加わった編成なので個々の多様なソロも楽しめる。アップテンポに乗ってアンサンブルから明朗でクールなトーンのアルトサックス〜ピアノ〜クラリネットとリレーされる「Fixgiog」、バラードで演じられる「It's a Blue World」はDon Burrowsの澄み切ったトーンが印象に残る。テーマから展開される粒立ちの良いピアノ〜アルトサックス〜フルートによるソロが魅力的な「Melindy」、心地よいテンポに乗って個々がご機嫌なソロを展開する「Lonesome Road」ではFrank Smith(as) のプレイが際立つ。
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Hermie Dressel (p) & (b) & (ds)  Rec.1960's
■1970年代にはロック等ジャンルに拘らずProducerとしても活躍したHermie Dressel (p)のピアノ・トリオでプレイした珍しい1枚。この作品以外にピアニストとして録音したリーダー作は確認できなかった。端正でメリハリのあるソロがスインギー心地よい「Easter Parade」、アブストラクトな前奏から後半の陶酔感のあるソロが印象に残る「Just In Time」とくり返し針を落としたくなる記憶に残る作品である。
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