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未知との遭遇 〜 7inch EPに録音された ジャズの 批評と研究

Dorothy Ashby(Harp)  Clarence Isable(b)  John Tooley(ds)
Rec.1960's
■コアなモダンジャズファンの中にも「実はドロシー・アシュビー好きなんです」という方によく出会う。特に アメリカでの彼女の作品の人気の高さには驚かされる。彼女のつま弾く美しくも力強いハープの旋律は幻想的で心に響き思わず陶酔してしまう。カデットに録音されたフルートやビブラフォン等が加わったエキゾチックでスピリチュアルな演奏もオンリーワンな魅力に溢れているが、私的には スタンダードをスインギーに演奏するPrestige New Jazz の In A Minor Groove に針を落とすことが多い。
この7inch EPは希少なPERIDOTレーベルに録音された作品でトリオ編成で演奏される名演「Swan Lake(白鳥の湖)が収録されていることでコレクターに知られる。音楽史上屈指の名曲をAshby(Harp)は見事に乗りの良いモダンジャズとして聴かせており、彼女にしか表現できない音世界に身も心も釘付けになり言葉では表現できない空気が漂う。John Tooley(ds)のサポートも見事である。お馴染み「Round Midnight」は Ashby(Harp) のソロによる演奏で自身がエモーショナルな歌声を聴かせる。
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Sarane Ferret(g)  vib & g & b & ds  Rec.1957
■Sarane Ferretは1912年生まれのGypsy jazz guitarist。1910年生まれのDjango Reinhardtとはまさに時代を共有し刺激し合った仲であったであろう。両者の演奏はいわゆるGypsy guitarスタイルという大きな括りでは同じであるがSarane Ferretのほうがよりメロディックでここではvibが加わっている事からも哀愁が漂う。お馴染み「Body and soul」はしっとりとしたテーマに続き爪弾かれるFerret(g)のソロに酔う。vibが主導する「Coquette」はミディアムテンポでスイングするFerret(g)のソロがご機嫌である。
The man I love」はFerret(g) の畳み込むようなスインギーなソロが印象に残る。vibによるテーマの明示から Ferret(g)が絡み一気にスイングする「Tendre piege」はまさしくGypsy guitarの魅力が楽しめる。ジャケットの気迫がこもったFerret(g)のシリアスな表情とはかけ離れた楽しめる作品である。
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Bob Davis(p)  & (b) & (ds)  Rec.1960's
■Bob Davis(p) 1927年ミネソタ州生まれ。18歳の頃からジャズ・ピアニストとしてローカルステージで演奏。後にSarah Vaughn, Dizzy Gillespie等 著名ミュージシャンとも共演を果たしている。彼の作品ではZephyr Records の Jazz From The North Coastがサックスを加えたQuartet編成によるスインギーな好盤であった。この作品は彼のリーダー作としては珍しいライブ録音のピアノトリオによる演奏でバップの香り漂う躍動感溢れるフレーズが楽しめる。ベースが気持ちよくリズムを刻む「B. D. Blues」は演奏の進行とともに熱を帯びていくDavis(p)のプレイが印象に残る。一転 テンポを落とした「No Such Thing As Love」はロマンチックな演奏で「B. D. Blues」からは想像できない一面を聴く事ができる。この曲はピアノ・ソロで演じられているのではと感じるほどベースとドラムの存在感はない。
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Raimonds Pauls(p) A. Timšs(b)  G. Gailītis(ds)  Rec.1966
■Raimonds Paulsは1936年ラトビア出身のコンポーザー、ピアニスト。彼は1970年〜1990年代を中心に多くの作品に参加。活躍したジャンルもポップスから現代音楽、クラシカルな作品まで多岐にわたる。この作品は彼の最初期の演奏で初めてジャズにアプローチした4曲と言われている。ピアノトリオによる演奏はバップを基調としつつモダンなアプローチも随所に聴かせ全4曲楽しめる。side-1 魅力的なワルツ調のテーマからハードバップなフレーズに移行する「Sens Motivs」はこの作品のベストテイクだろう。哀愁を帯びた甘さに流され過ぎないメリハリのあるプレイは素晴らしい。ブラシのリズムに乗ってチャーミングなフレーズのソロで明るくスイングする「Pavasariga Noskana」、ドラムとピアノとの掛け合いから背筋が伸びるバップ調のフレーズを聴かせる「Slikts Sapnis」はG. Gailītis(ds)のプレイも際立つ。アップテンポで疾走する「Strīds」は切れ味鋭いプレイが魅力的な1曲で彼の非凡さが認識できる。ホワイトレーベルは見かけることは少なくないが全てロシア語表記のブルーレーベルは珍しい。
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Jimmy Forrest(ts)  Pauline (vocal) and Chick Foster's Band 
Rec.1960'
■Jimmy Forrestは1920年生まれ 1940年代のエリントン楽団を経て自身のコンボを結成する。原曲のメロディーを崩さず忠実にアドリブで綴っていく 貫禄のソウル・テナーはワンフレーズで雰囲気を大人の世界に変えていく。ここで紹介するのはJimmy Forrest(ts)がPauline なる女性ボーカリストの歌伴を務めた珍しい 1曲 side-2「Raindrop Blues」を収録した作品。なんともブルージーでレイジーな雰囲気のスローブルースであるが熱く訴えるかのようなPaulineの歌声に寄り添いながらソロを聴かせるForrest(ts)が激渋で味わい深い。side-1「Night Walk 」はジャズというよりもR&B系の演奏で Forrest(ts)のソロを楽しむという趣ではない。
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Andy Bey (p, vocal) Geraldine Bey(vocal) Salome Bey (vocal)
 Kenny Dorham (tp) Barney Wilen (ts) Paul Rovère (b)
 Kenny Clarke (ds) Rec.1959 in Paris
■アメリカ生まれのピアニストAndy Bey が姉妹と結成したボーカルグループ。1956年に行ったニュージャージでのコンサートが話題になり、それ以降フランスを始めヨーロッパでの活躍が中心となる。洗練されたハーモニーに醸し出されるジャジーな雰囲気は寛ぎに溢れておりもっと評価されても良いグループではないだろうか。数ある作品の中であえて紹介する この7inch EPの2曲はその素晴らしいゲストミュージシャン故である。Barney Wilen (ts)の名作1959年、パリ、クラブ・サンジェルマンでのライブ「Barney」(RCA-France)と同年の録音でメンバーもKenny Dorham (tp) Barney Wilen (ts) Paul Rovère (b) は共通しており「Smooth Sailing」「Scoubidou」の2曲でバックを務めている。トランペットの音色にKenny Dorham を感じることはできるが、Barney Wilen (ts)のエッジの効いたソロは満足できるほどのスペースはない。「Bye Bye, Blackbird」「Fascinating Rhythm」は同1959年の録音ながらメンバーのクレジットはDiscographyにもない。注目を浴びる作品ではないがBarney Wilen やKenny Dorham コレクターには難関の1枚かも知れない。
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Andrew Hill(p)  Malachi Favors(b)  Wilbur Campbell(ds)  Rec.1956
His first Leader work.
■これがAndrew Hill(p)のファーストリーダー作。1960年代のブルーノートの諸作ではアヴァンギャルダーとしてのアグレッシブなスタイルを聴く事ができる。特にJoe Henderson(ts)が参加した「ブラック・ファイア」、ヨーロッパ的なテイストを感じる「ジャッジメント!」 は彼の個性溢れる名作で針を落とす機会も多かった。ここで紹介する7inch EPは彼が25歳の時に録音した1枚で、彼のオリジナル2曲が収録されている。ここでは後のハードバップに現代音楽をシンクロさせたようなアヴァンギャルドなスタイルは構築されていないがMal's Bluesではオーソドックスながら独特のタイム感覚とタッチでブルースフィーリングを漂わせスイングする。「DOT」も似た雰囲気で進行するが、彼のピアノはさらに強いタッチで硬質な音使いが印象に残る。ベースには 1965年にシカゴで発足されたAACMのメンバーとして活躍し1969年頃からArt Ensemble Of Chicagoのメンバーとして作品を残すことになるMalachi Favorsが起用されている。ドラマーは 後に知る人ぞ知る名手となりJack DeJohnetteの師としても知られるWilbur Campbellが参加している。なんとも凄いメンバーで録音された1枚である。
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Los Chicanos(p) BeBe(b) PePe(ds) Eugenio(as)  Lupe (per.vo) 
Rec.1962
■南米チリのTVショー、クラブ、キャバレーで活躍したゴットマザーLos Chicanos率いる息子2人、娘2人のファミリーグループの自主レーベルからのファーストアルバム。ジャケットの風貌やファッションからも読み取れるようにナイトクラブでの派手なエンターテイメントも売りだったらしく、特にドラマーのPePeはKing of Drumsとも称され演奏の中心的存在で名実共にこのグループの核であったようだ。地元では人気を博していたようだがここまでマイナーなメンバーだと履歴などは知る由もない。さすがに常にクローズアップされていただけあってPePe(ds)の豪放な太鼓がなかなかの躍動感で迫る「CARAVAN」、フラメンコとジャズの融合がなんともエキゾチックな「LA MACARENA」は娘のLupe (per.vo)がボーカルでも参加し演奏を盛り上げる。
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Bobby Donaldson(ds) with His Combo Rec.1965
■Bobby Donaldsonはアメリカ生まれのアルトサックス奏者との情報もあり、この作品も彼のリーダー作との認識でいたが調べるうちに どうやら1922年生まれのドラマーでHelen Merrill, Mel Powell, Bobby Jaspar, Herbie Mann等 多彩なミュージシャンとの共演歴もありSAVOYレーベルにも多数の参加作のある実力派であることがわかった。収録曲もドラムが刻む安定感のあるリズムがクローズアップされており納得のいくところである。ラテンのリズムに乗って哀愁漂う歌謡調のメロディーが魅力的な「K - L - DEE」はヴァイブとフルートのアンサンブルにギターの絡みが印象的である。60年代ブルーノートを彷彿とするワルツ調ファンキーバップ「Bash Dance」はドラムが叩くリズムに乗ってトランペット〜アルトサックス〜ギターが乗りの良い気合の入ったソロを展開する。
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Dorothy Peterson(vocal) with Franco Cerri(g)'s Group Rec.1962
■1970年代からヨーロッパジャズに注目してきたが、初めて出会って入手した1枚。ライナー等によるとDorothy Petersonはロスで女優や歌手として活躍していたが知名度の高くないローカルな存在だったようだ。調べると
同名の映画女優も何人か存在するが活躍した時代やルックスが異なり別人であった。彼女の経歴等プロフィールは不明のままで、それが余計に好奇心をそそられる。そんな彼女がイタリア滞在中に当時から名実共に広く認知されていたFranco Cerri(g)のコンボと共演した非常に珍しい作品である。彼女の僅かに鼻にかかったまろやかでノンビブラートの魅力的な歌声とエラやサラとはカテゴリーの異なるテクニックは非常に好感が持てる。またスタンダード4曲全てで随所に聴かせるFranco Cerri(g)の素晴らしいソロもこの作品の価値を高めている。1:03からのCerri(g)が聴き所の「Makin' Whopee」、ベースとドラムだけをバックに歌いだす「Bye Bye Blackbird」はこの作品の白眉でやはり0:55ぐらいからのCerri(g)に釘付けにされる。「Sweet Georgia Brown」はSide-1の2曲よりもさらにアップテンポで安定感のある歌唱で疾走するスインギーな曲で彼女は只者ではないオーラを発散する。最後はJ.Kernの「Yesterday」でしっとりとしたエモーショナルなバラードで幕を閉じる。センスの良いフォトデザインとテカテカのコーティングジャケットが独占欲を刺激するが、こちらを向いてくれないので美貌は幻のままである。Franco Cerri(g)には歌伴を務めた作品も多々あり見かける機会もあるのだが、この作品は皆無だった。他にDorothy Petersonの録音は存在するのだろうか・・・もっと聴いてみたいシンガーである。
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