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未知との遭遇 〜 7inch EPに録音された ジャズの 批評と研究

Art Ellefson(ts,as,bs,b-cl,cl)  Johnny Clark(p) Bill Stark(b)
Andy White(ds) Rec.1957
■クラリネットを吹く姿を見てスルーしてはいけない。Art Ellefsonの名前を見てピンときた方はきっと7inch EPの世界に関心を持っているジャズファンだろう。イギリス SAGA レーベルからリリースされたドラマーAllan Ganleyの赤いジャケットが記憶に残るリーダー作<The High Priest>でタビー・ライクなエッジの効いたテナーソロを聴かせていたのがArt Ellefsonである。ここで紹介するのは彼のファースト・リーダー作で彼のマルチ楽器奏者としての才能が多重録音により存分に発揮された素晴らしい1枚である。聴きどころはやはりハードドライビングなテナーサックスとクールなトーンのアルトサックスである。良く歌うアルトが淡々とソロを重ね音数少ない冷ややかなピアノが味わい深い「Opus Mentis」、アップテンポに乗ってテナーとアルトのソロがシンクロする中 豪放なバリトンがスイングする「Let Yourself Go」、バスクラとテナーの図太いソロの絡みが魅力の「Mile-a-Minim」、Andy White(ds)の叩く繊細で軽快なリズムに乗ってテナーがご機嫌なソロを展開する「Mad About The Boy」はベストテイクだろう。
アルバムタイトル<Ellefsonの芸術>にふさわしい内容の稀少盤である。
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Sarah Catine(p)  unknown (b)&(ds)  Rec.1960's
■女性ピアニストSarah Catineがトリオ編成で聴かせるジャズ・ファンクな1枚。経歴や共演者についての情報は無いが、ライブ演奏でのジャジーでブルージーなモダンジャズを楽しめる。珍しい作品ではないが時に針を落とす1枚である。ファンキーな香り漂う「Chit'Lins A' La Carte」、曲名通りの演奏が繰り広げられる「Feeling Good」は彼女の淡々としたプレイにベースが程好く絡む。ファンク〜ソウル系の作品に位置づけされることが多いがモダンジャズ・ピアノトリオとしての魅力を感じる。
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Tania Maria(piano,vocal) & Conjunto de Izio Gross  Rec.1960's
■1948年ブラジル São Luís生れ シンガー&ピアニストとしてブラジリアン・ジャズのトップ・シーンで活躍。伸びやかな歌声とワイルドな表現で日本でも名実共に評価されている。そんな彼女が1970年代のブラジリアン・ミュージックをリードしたIzio Gross率いるグループとポルトガルはリスボン近郊の都市で、コスタ・ド・ソル(太陽の海岸)と呼ばれる一帯にあるヨーロッパ有数のリゾート地 ESTORILで録音した幻の7inch EPと言われる作品。彼女のファースト・リーダー作が1966年の録音であるが極めて近い時期(同時期)の作品であることはAlvoradaレーベルの番号からも推測できる。
この頃から彼女のボッサでグルーヴィーな乗りと余裕すら感じる伸びのある初々しい歌声は素晴らしい。全4曲が収録されているが聴けば誰もが記憶に残っているBOSSA JAZZの名曲も収録されている。
魅惑の旋律に彼女の歌声が冴える「Agua de Beber」、後半のパッション溢れるピアノが記憶に残る「Aula de Matematica」、哀愁を漂わせるボッサのメロディーと彼女の歌唱力が素晴らしい「Felicidade Ligeira」、唯一のバラード「Magoa」はしっとりとした彼女の歌声が楽しめる。ジャケ無し盤は見かける機会はあるが、なんといっても彼女のキュートな姿がデザインされているオリジナル・フォトジャケットの存在は貴重である。
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Andy Launer(p)  unknow  (b) & (ds)  Rec.1968
■アップテンポの躍動感に溢れた曲の組立と粒立ちの良いピアノがジャズの快感を改めて心身に刻んでくれる。ジャズを愛して良かったと感じさせる1曲がこの作品に収録されている。元々ジャケットの存在しない7inch ドーナツ盤に○○Trioとの記載がある作品に多々出会う機会があるが視聴できない場合、はたしてどのような楽器編成なのかは不明である。長年愛してきたピアノトリオとの期待と可能性を込めて「えいや〜」と入手を試みる。針を落として初めて気づく至福と落胆・・・
この1枚は間違いなく数年に一度の至福の出会いである。
オハイオ州出身のピアニストAndy Launerは音楽一家で育ち、高校時代にはバンドで演奏を始めOhio Wesleyan schoolで音楽を学ぶ。その後は音楽教授やピアニストとして多様な編成で活躍。残念ながら素晴らしいプレイをこの1曲でも聴かせているベーシストやドラマーは不明のままである。このレコードを録音制作したオハイオ州のMusicolは John Hullなる人物により設立されレコーディング・スタジオとしてスタートしたが、1966年頃に場所を変え1969年よりレコードの製造も始めました。カタログを確認するとレコーディングの90%近くがロック/ソウル/カントリー/ポップス系の音楽で占められており、この7inch EPは 地元のピアニストにスポットを当てた異色の存在でもある。ともかく「That's Where It's At」を聴いて欲しいと思う。何度も記載するがこの演奏にはジャズの良質なエッセンスが凝縮されている。
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Denise Lor(vocal) with JOE LEAHY Orchestra  Rec.1954
■Denise Lor 1929年アメリカ生まれのポピュラーシンガー。
1950年代の人気番組<The Garry Moore Show>のレギュラースタッフとして活躍しその美貌とともに人気を得ていた。その後はナイトクラブやラジオ番組、Gypsy, Annie and Sweeney Todd等のMusical Comedieにも出演する等 多彩な才能を発揮していた。彼女のヒット曲には時同じくして1954年Doris Dayが歌い人気を得ていた この作品のタイトルにもなっている名曲「If I Give My Heart to You」などがある 。時にセンチメンタルにそしてドラマチックに歌う彼女の個性的な歌声とスタイルは一度聴けば記憶に残る。
他に「Every Day Of My Heart」、「And One To Grow On」、「Hello Darling」を収録している。真紅のキュートなジャケットが魅力的であるが、このJoe Leahyが立ち上げたMAJAR DISCS INCORPORATEDからのレコードは見かける機会が非常に少ない稀少盤である。特にこの7inch EPはプレス数も少なかったのか存在は認識していたが手にするまでに数年を要してしまった。この作品は なぜかオーストラリア(W&G Record)からもリリースされており、そちらの方が流通しているように感じる。
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Alvin Thomas(sax,fl) with his band Producer John Berthelot 
Rec.1978
■ジャズ・ファンク系の演奏ではあるが、カークが時に聴かせるボイスを混じえたアグレッシブなプレイではなく、ロウズのような鳥のさえずりの如くリリカルなプレイでもないブルージーでソウルフルなフルートがどこかで聴いたような旋律を淡々と綴っていく「The Roach」(Written By / John Berthelot)が何といっても魅力的である。この一曲が収録されているため人気の1枚となっている。一転「The Streetcar」はAlvin Thomasのメローな泣きのサックスがダンサブルなソロを聴かせるフュージョン・ナンバー。録音時期からもサンボーンの影響を受けているのは明らかなプレイである。「The Roach」を聴くための1枚。
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Julian Lee(p)  Johnny Edgecombe(g)  Jango Kahn(b) Rec.1958
■Julian Lee(p)ニュージーランド生まれ Pianist, arranger and conductor。
1950年代初頭から オーストラリアで活躍し いくつかのセッションに参加し何枚かの7inch EPを残している。この作品は数少ない7inch EPのリーダー作で バッパーというよりは ラウンジ系のジャズピアニストで都会的で洒落たスタイルでスイングしており、ドラムスが参加していないためメリハリのあるタッチなど彼の個性がより強調されている。
Stardust」はお馴染みの旋律を原曲に忠実にスインギーに演奏。流暢な彼のテクニックが楽しめる「I Remember You」はしっとりとしたバラード調から一転テンポが上がりスイングする。落ち着いた演奏が大人の雰囲気を醸し出す「Smoke Gets In Your Eyes」、収録曲の中で最もJohnny Edgecombe(g)の刻むリズムがクローズアップされる「Cheek To Cheek」はアップテンポでご機嫌にスイングするベストテイクだろう。
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Lynn Roberts(vocal) with Combo Rec.1960
※EDUCATIONAL RECORD
■Lynn Roberts 1935年 Brooklyn, New York生れ。日本では知名度は低く、1958年にRKO Recordsからリリースされた三人の女性シンガーが個々に歌った<The Girls>が彼女の歌声も収録してCD化もされたので 超マイナーボーカルとも言えない。トミー・ドーシー楽団との共演経歴もありレコードもリリースされてはいるが、リーダー作の存在も非常に少ないことから、女優等 シンガー以外の領域での活躍がメインだったのかも知れない。この7inch EPはボーカリストを目指す人向けの教則用のレコードらしく「BEATNIKS」という曲を A面で彼女の歌によるボーカル・バージョン。B面ではボーカル抜きのインスト・バージョンを聴くといった志向のレコードのようだ。他にもカテゴリーに拘らずロック〜ポップス系の作品も同レーベルからリリースされている。そんな中では最もジャズに近づいたのがこの作品(この1曲)だろう。インスト・バージョンを聴いても随所でクローズアップされるピアノソロが心地よい。Lynn Robertsの歌声はテーンズボイスのようにキュートで愛らしく、時にファンキーな演奏にも違和感なんく溶け込んでいる。
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Aladar Pege(b) Jeno Balogh(p) Imre Koszegi(ds) Rec.1964
■1939年生まれのAladar Pegeは元々はクラシック音楽をルーツとするベーシストであるが、その超絶とも言われるテクニックを屈指してのハービー・ハンコック等 ジャズミュージシャンとの共演でも知られるところである。私的にはハードバップの名作Imre Koszegi(ds)の<For Kati>が私的愛聴盤だけに、彼のアグレッシブなドラミングにより どんなピアノトリオに仕上がっているのか興味深々で入手した1枚。どの曲もお互いを触発させるような三位一体の名演が繰広げられるが、やはりAladar Pege豪快で良く鳴るベースが脳天を刺激する。A面は暗示的なピアノソロで始まり乗りの良いご機嫌な演奏に移行していく「Blues in bled」、B面はチャーミングな民謡調至福のメロディーが散りばめられながら斬新な演奏が繰広げられる「Kek To」、そして何といっても白眉は「Close your eyes」だろう。フリーに突入する一歩手前のスリリングでスピード感溢れる熱い演奏が緊張感を発散する。とても瞳を閉じるわけにはいかないだろう。ジャケットのPege(b)の表情からも入魂のプレイが聴こえてくる。背筋がピンと伸びる素晴らしい1曲である。
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Bill William A. Russell(p)  unknown  (b)&(ds)   Rec.1970's
■Bill Russell(p) 1950年デトロイト生れ。9歳からピアノを学び12歳の頃にはプロミュージシャンとして演奏、14歳からはComposer, Arrangerとしても才能を発揮、26歳には音楽教育における修士号を取得している。この7inch EPは彼の数少ないリーダー作品で、彼のバップを基調としたご機嫌なアプローチを楽しむことが出来る。お馴染み「SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE 」は程よい縦乗りでスインギーに演奏されるが、彼独特の解釈が新鮮に聴こえる。ベース、ドラムの絡みも出過ぎず控えめ過ぎずで魅力的である。「YOU CAME A LONG WAY FROM ST.LOUIS」はBill Russellが渋い歌声を聴かせるブルース〜ソウル系の演奏で私的には期待はずれの1曲であるが、それゆえにSide-1のピアノトリオによる演奏は貴重。他にリーダー作はと調べてみたがヒットせず。
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