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古代ローマ帝国は、その起源を紀元前8世紀半ばの都市国家ローマを起源とし、紀元後476年の西ローマ帝国の滅亡まで,1200年以上存続したわけであるが、これほど永きに渡り『多民族・多人種・多宗教を内包しつつも大きな領域を統治する国家』が存在し続けたことは歴史上まれに見ることである。

何故、それほど永く存在し得たのかの理由であるが、塩野七生女史のベストセラー『ローマ人の物語』の文庫本を15巻まで通勤電車の中で読んできた結果見えてきたことを考えながら、最近起った中国チベット自治区の騒乱に関しての私なりの所見を述べたいと思う。

何故、ローマ帝国が永きに渡り存在し続けられたについての根幹となっていることは、以下の3点に集約されているのではないかと思う。

1)ローマは建国当時は王制であったが、それを早期に廃し、2名の執政官(=コンスル)と元老院(=貴族からなる議会)と護民官(=政策に拒否権を持つ一般民衆の代表者)及び市民集会という構成からなる国家運営方式が基本的に存在していたこと。

2)その国家運営の下に法的整備を常に行おうとする姿勢があり,常に法治国家であらんとしていたこと。

3)他地域の他民族を戦争によって打ち破った後も、征服された地域の人民に対して、搾取してゆく考え方は持たずに、被征服民の自治を基本的には認め、場合によってはローマ市民権をも与えるような融和的な同化政策をとり、ローマという国家に参加させることに重きを置いた政策をとったこと。

紀元前8世紀〜紀元後5世紀とは、日本では弥生時代であり、弥生式土器や稲作中心の農耕社会の確立やその後の古墳時代に重なる時期であり、金印や邪馬台国の卑弥呼が倭国王として存在したり、ヤマト王朝の時代にも連なり、古墳がつくられた時代に重なる。

中国でのこの時期は、春秋戦国時代から、秦の始皇帝の秦の時代、前漢、後漢時代、三国時代、五胡一六国時代、南北朝時代に連なる時代である。

つまり、日本や中国で王制が敷かれていた時代に、ローマでは共和制が敷かれており、現在の民主主義にも通づるような民主的な政治の仕組みの一部が取り入れられており、国家運営の法的な整備も既に行われていたのである。

先に挙げた3つの事柄について、現在の中国共産党独裁政権のやり方を見ていると、2番目の法治国家であることは別にしても、その他の2つの点では、古代ローマ帝国にも及んでいない点があるということに着目したい。

中国がチベット自治区や新疆ウイグル自治区ウイグルで行っていることは、現地人の民族性や文化を否定し、チベット人とウイグル人の人権を抑圧し、漢民族を現地に多く入植させ、漢民族によるチベット人とウイグル人の人種による抑圧政策は、チベット人とウイグル人の人権を無視するような民族浄化政策に近いものであり、反発が起るのは当たり前の話である。

中国共産党政権がチベット自治区と新疆ウイグル自治区を引き続き中国の一部として保っておきたいのなら、中国人はローマ人に学び、それぞれの本当の意味での自治を認めてゆくしかないのである。

その一方で、中国人は、共産党独裁という政治形態に普遍性は無いということに早く気がつくべきである。共産主義というイデオロギーは、ソ連や東欧の例からも明らかなように、事実上100年も持たなかったのである。何千年という歴史の流れの中での共産主義とは、ひょっこり出てきた泡のような存在であり、はかなく消えてゆく普遍性の無いイデオロギーであることを早く認識すべきであると思う。

また、中国4000年の歴史においても同一王朝が続いたのはせいぜい300〜400年であり、1000年には遠く及ばない。現在の中国共産党独裁政権の確立は1949年であるので、せいぜい60年弱の歴史しかないのである。そのような見方をすれば、中国共産党独裁政権は、中国史の中で、極めて限られた時期に出てきた過渡期的政治形態と考える方が自然である。

何故、チベット人が騒乱を起こし、北京五輪の聖火ランナーにウイグル人が妨害活動をするのか?中国人は真摯に、そして謙虚に考える必要があると思う。

中国人は、1000年以上続いた古代ローマ帝国の根幹となる以上に述べた普遍性のある三原則のような事柄の3番目の事項に学び、各人種の人権を認め、お互いに存立してゆくというローマ人のとった他民族との融合政策が国家の永続性や発展性を保つという歴史的事実を学ぶべきである。

中国は4000年の歴史はあっても、2000年前に古代ローマ人ができた事でさえ、現在もできていないということになるのである。

日本の歴史も、天皇制という王制と幕府という一種の専制的側面のある武家政治が行われた歴史が長かった。明治維新以降、一定程度の民主主義の萌芽は見られたが、太平洋戦争による敗戦の後に、ローマ人の末裔たるアメリカ中心の連合国の日本における民主主義の確立という基本政策により、日本の自治は基本的には認められていた。敗戦国として、連合国側に搾取をされるようなことはほとんど無く、連合国側の敷いたレールの上で、戦後の民主主義が確立していったという歴史を持つ。

そのような中で、連合国側のとった日本の占領政策は、ある側面では古代ローマ人の行った民族融和策に通づるような気もする。

紀元前より、西洋人は東洋人より、社会の仕組みに関しては、より優れたものを持っており、そのような点では、東洋人は西洋人にまだまだ学ばなければならないことがかなりあるような気がしてならない。

『ローマ人の物語』は、西洋の歴史を描いた日本人の著作として始めて英訳化された歴史書であり、塩野七生女史は、昨年の日本の文化功労者にも選ばれ、イタリア政府からも表彰されたと聞く。まだ中国語訳は出ていないであろうが、英語を読める中国人や、日本語を読める中国人がこれを読み、中国人もローマ人に学ぶべきであることを東洋人の一人として言っておきたい。

欧米社会は、北京五輪はボイコットはしなくとも、北京五輪の開会式への参加を見直す動きが出てきている。日本も皇族が開会式に出席する予定であるとのことであるが、再検討し始めたと聞く。

『チベット人とウイグル人の人権を尊重せよ』との民主国家の一員としての日本のメッセージを、欧米の民主国家と共に発信し、将来における中国の人権尊重を呼びかけることは、将来、中国が民主国家として存在してゆく為の一つのキッカケになるかもしれないという意味において、案外大切なことであるかもしれない。

最近、日中ジャーナリスト会議に参加した田原総一郎氏によると、チベット騒乱において、チベットに西側ジャーナリストを中国側は受け入れないのは不当であると抗議したら、翌日から中国側は、西側ジャーナリストをチベットで受け入れ始めたとのことである。話してもわからない中国ではなく、話せばわかる側面も見せ始めた中国である。それだけにメッセージを中国に向けて発する意味は充分にあるのである。

北京五輪はどうやら、中国側にとっては、各国からケチをつけられたオリンピックになるかもしれないが、世界にとっては、中国の人権尊重と民主化を呼びかける一大イベントになるかもしれないということになる。

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閉じる コメント(5)

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http://blogs.yahoo.co.jp/urajouhou04041/folder/652062.html?m=l

2008/4/4(金) 午後 7:32 [ 11 ]

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「ローマ人の物語」は1998年に台湾版なら出てます。
中国は閉ざされ過ぎて世界基準が分からないのかも知れませんね。

2008/4/6(日) 午前 10:44 [ kkk*140 ]

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台湾版が出ているということは中国語版があるんですね。一方で大陸の中華人民共和国は言論の自由がなく言論統制などもあり、一般の中国人は、今の閉ざされた中国社会以外のことは知ることは難しく、世界基準が見えにくくなっているということなんでしょうね。

2008/4/6(日) 午後 0:58 wor*d*orum*0*7

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どうも、通りすがりのものです。
ローマはしかし、皇帝が代替わりするたびに混乱してましたよね。皇位継承の基準が何もない、という。「王朝」と考えると、一世代ごとに革命が起こっていたようなもので、広域国家としての安定は確かに目を見張るものがありますが、中枢のローマは腐敗もひどく、それほど誉められたものではないように思います。
まあ、細かいことですね。
大筋では同意できます。

2008/4/7(月) 午後 8:35 ルーフウオーカー

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確かにローマは共和制から帝政に変わって行き、最終的には滅亡するわけですから、おっしゃるような側面は確かにあったことは事実であると思います。

2008/4/9(水) 午後 8:39 wor*d*orum*0*7

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