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村上ファンドの村上世彰氏と、ライブドアの堀江貴文氏の件のニュース性は薄れつつある様だが、村上世彰氏の公判において、かなりのキーとなるような証言があったようだ。 2月7日の日本経済新聞朝刊の報道によると。ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反罪に問われている村上世彰被告の2月6日の東京地裁での第9回公判において、ライブドア側が2004年11月時点で村上氏に対して、ニッポン放送株の大量取得方針を伝えたとされる件で、証人として出廷した元ライブドア代表取締役、熊谷史人被告は、その時点では『社内には現実感は全くなかった』と証言し、検察側の描く事件の構図に疑問を呈したとのことである。 この時期にライブドア前社長の堀江貴文被告は『日本テレビを買収すればジャイアンツがついてくる』という発言をしており、メディア買収に意欲を示していた堀江前社長がニッポン放送だけにこだわっていたわけでは無かったことを熊谷被告は証言したとされる。 同年12月にライブドアが買収資金調達のメドがついていたという事実に関しては、証券会社側には『タワーレコード買収の資金調達と伝えていた』とも証言し、買収対象がニッポン放送であることを伝えて資金調達を申し込んだのは『05年1月26日だった』と熊谷被告は述べたとされる。 これらの証言により、検察の作り上げた事件の構図は崩壊することになり、村上世彰被告は、無罪の公算がかなり強まったのではないか?仮に、熊谷被告が嘘の証言を行っていれば、熊谷氏はその件でも罪に問われるわけであり、偽証証言をする理由も特に無いと思われる。 村上氏は以前の公判では、法廷の傍聴席に自分の妻と子供を呼んでおり、『自分が罪を犯して裁かれる場に、自分の妻と子供を呼ぶということは、自分が罪を犯していないということに関しては、かなり自信があるのではないか?』と言われていた。 一方、ホリエモンこと、粉飾決算にまつわる証券取引法違反の罪に問われている堀江貴文被告の方は最終弁論で『投資ファンドを介在させた自社株売却収入を売り上げに計上した取引について、ファンドは決算の連結対象か否かという基準しかなく、ダミーという概念はないので、「当時の会計規則、基準を前提にすれば違法ではない」』という主張をしたようだ。 その一方で、堀江氏の基本的な態度が、『宮内氏等の部下が主導したことで、自分は知らない』という論理を展開しているようであるが、事実がそうであるかどうかは疑わしい。また、例え、事実がそうであったとしても、粉飾決算を構成した巧妙な自社株取引による利益の売上げ計上という手法の合法性が証明されない限り、社長としての何らかの管理責任は免れないように思える。『部下が総てやったことで、社長の自分は知らないので、自分は無罪である』という論理は、社会通念上受け入れられることはないのではないかと思う。 『出るクギは打たれる』の日本社会の風潮の中で、彼らは裁かれるわけであるが、どうやら村上世彰氏は無罪放免、堀江貴文氏は有罪ということで、今回の騒動の結末となるのではないかと思う。やはり、村上氏の方が上手だったということなのか? 両者共にエネルギーのある男なので、何らかの形で社会に復活するであろうが、これにメゲルことなく、将来はまた何かで日本社会の中に一石を投じるのではないかと思う。 無罪と有罪に関わらず、心情的には今後の彼ら二人に応援をしたい。日本的なシガラミに恐れることなく挑戦してゆく彼らの姿からは、普通の日本人にはない勇敢さのようなものが感じ取られたからである。
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経済関連
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村上世彰氏によるインサイダー取引の謝罪会見および逮捕という急展開を見せた今週始めからのこの事件に関する報道をまとめると、主として検察側による捜査情報の垂れ流しと旧ライブドア幹部の発言が情報源となっているようであるが、次のような事件の荒筋の構図が浮かびつつある。 村上ファンドは2003年9月の段階でニッポン放送の筆頭株主に既になっており、2004年3月には16.6%を所有する大株主になっていたが、株の売買で利ざやを稼ぐのが目的のファンドとしては、ニッポン放送株は実際には簡単に売り抜けられるような状況はなく、むしろ持て余し気味であった。 そこで、村上世彰氏は一計を案じて、ライブドアの堀江社長に近づき、当時のニッポン放送はフジテレビの大株主であったことを強調して、堀江社長にニッポン放送株の取得によるフジテレビの経営支配を含めた提携の可能性の実現を説いた。堀江社長はその話を魅力的に思い、フジテレビの支配の可能性も視野に入れて、ライブドアはニッポン放送株の買収による経営権獲得に乗り出した。 ライブドア側から見れば、村上氏にニッポン放送株の取得に関して売り込まれたわけであるから、実際にその計画を実行することを会社として決めた段階で、村上氏にその計画を言うというのは自然の成り行きだと思う。その事実を聞いた時点で、村上氏は、ライブドアがニッポン放送株を5%以上は確実に買うという証券取引法に定めるインサイダー情報を知ったわけである。 村上世彰氏がこの段階でニッポン放送株の買い増しを行わなければ、問題は起らなかったのであるが、インサイダー情報を知った後に、ニッポン放送株の買い増し行為を行い、買い増し部分の株式を高く売り抜けたことで、法律上のインサイダー取引の要件が成立する。このことが逮捕の直接の理由となったのである。 これとは別に、村上ファンドが元々所有していたニッポン放送株をライブドアに売ったり、市場で売り抜けること自体は当然問題とはならない。 しかし、今週報道されて来たようなことを村上氏は当初より画策し、ライブドアへのニッポン放送株の勧めたのみではなく、フジテレビ側にも、村上氏から役員に同株を勧めたという事実もあったとのことであるが、持ち株を高値でさばく為にかなりダイナミックな行動に出ていたことになる。 村上氏は逮捕前の記者会見でのコメントの中で「きりがなくなった」という表現を用いていたが、それが正直な感想なのではないか?人間のお金に対する欲望にはきりがない。お金が人間を変えて、思わぬ行動に走らせるという部分はあったのだと思う。 村上氏も村上ファンドもシンガポールへと拠点を移したことの理由の一つには、日本で起るかもしれない検察の追及から逃れる目的もあったのかもしれない。事実かなりの重要書類をシンガポールに移送済みで、日本の検察も簡単には手を出せないとのことである。 しかし、村上氏は用意周到のように見えたが、一つの大きな誤算は「人の恨み」という部分をあまり考慮してなかったのではないか? 堀江氏を含む旧ライブドア幹部は刑務所の中で、自分達に嫌疑の掛けられた偽計や粉飾決算等は村上氏とは無関係であるものの、村上氏に乗せられてニッポン放送株を買って世の中を騒がせ末に捕らわれの身になったが、当時、村上氏側からは「ライブドアが35%を取得すれば、村上ファンドの持株と合わせれば過半数を取得することになり、フジテレビの経営支配も力を合わせれば可能になる」と説かれていたとのことである。 ところが、いざライブドアが35%を取得し、ニッポン放送株が高騰すると、村上氏は「方針が変わった」と言って持株を高い価格で売り抜け、ライブドア側を裏切っていたとのことである。このことをライブドア側は刑務所の中で恨みに思っていたに違いない。 村上氏はニッポン放送株で大儲けをして、阪神株買収等を行って時代の寵児になり続けていたことで、その恨みも大きく膨張して行ったのだと思う。堀江氏は刑務所の中では完全黙秘をしたと言われているが、村上氏を妬み・恨むその他の旧ライブドア幹部は、村上氏のやり方のかなりの部分を、取り調べの中で検察側に言ったに違いない。 また、村上氏側は注意深く、一連の件で書物はあまり残していないとのことであるが、ライブドア側は村上氏とのやりとりに関して詳細な書物の記録を残していたことが、村上氏のインサイダー取引の立件につながり、致命傷になったようである。 ライブドア側の書物の記録がなければ、村上氏の行ったことは株取引のプロの間では“常識の範囲”のことであるらしい。株のプロの間ではそういう類のことでお互いを訴えたりしないらしいし、書物も一切残さないので、インサイダー取引という形では発覚しにくいのだそうだ。 旧ライブドアという会社は大きな粉飾決算を行うという事実から見ても、ある意味ではビジネス世界では素人集団のような側面があった。村上氏の誤算はそういう素人ビジネス集団を相手にして、相手側が素人であるが故に、株の取引のプロでは通常は起らない書物の記録が多く残ったという誤算も生じていたということになる。 また、検察自体も、「あぶく銭を稼ぎ世の中を騒がしている」堀江氏と村上氏の一方だけを捉えて、他方はそのままというのは許せないという考え方もあったのかもしれないし、その意味で村上氏は狙われていたということも背景の一つにあったのかもしれない。 村上氏が逮捕前の会見では実質インサイダー取引を認めていたが、インサイダー取引で有罪になっても、懲役3年以下か罰金300万円以下という罪であるから、無罪を主張して法廷闘争を長く行うことよりも、罪を認めて、情状酌量に訴えた方が得策であると考えたに違いない。 一説によると村上氏は100億円程度の個人資産を貯めたと言われており、罪を認めて、実刑ではなく執行猶予の判決を勝ち取り、株の世界からは引退して、貯めたお金で何か他のことをやってゆくつもりなのだと思う。但し、今回の件等で思わぬ民事訴訟等が起り、自分の貯めたお金が無くなってしまう可能性は無いとは言い切れないとは思うが…今後何が起るかわからないという不透明さは当分残りそうだ。 いずれにせよ、最近の日本に新風を巻き起こした堀江貴文氏と村上世彰氏、それぞれの光と影を世の中に見せたが、現在は敗れ去る形となっているが、両者共に新しいことにチャレンジして、それぞれの才能と経験を生かし、今度は“虚業の世界”ではなく“実業の世界”で実力を発揮して再起を図ってもらいたいと願うものである。
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村上世彰氏ら4人、週明けにも一斉取り調べ ニッポン放送株の売買を巡る「村上ファンド」のインサイダー取引疑惑で、同ファンドを率いる村上世彰(よしあき)氏(46)と幹部3人の計4人が、不正売買に深く関与した疑いの強いことが3日、分かった。 東京地検特捜部は、証券取引法違反容疑でこの4人を立件する方針を固め、週明けにも一斉取り調べを行うなど、本格捜査に踏み切るとみられる。一方、村上氏は特捜部の任意の事情聴取に対し、インサイダー取引を否定した。 村上氏のほかにインサイダー取引の疑いが持たれている幹部3人は、いずれも、村上ファンドの中核会社だった「MACアセットマネジメント」(投資顧問業を先月廃業)の元役員。うち2人は村上氏の側近で、同社を設立した1999年以降、取締役を務めていた。残る1人は、2004年6月から、村上氏の後任として、同社の代表取締役に就任していた。 村上ファンドは、05年1月5日までの約3か月間に、MAC社を通じてニッポン放送株約200万株を買い増し、保有株数は発行済み株式数の18%超に達した。その後、ライブドアが05年2月8日、同放送株の35%を取得したと発表した。 関係者によると、村上氏はライブドアがニッポン放送株の買収に乗り出す前に、前社長の堀江貴文被告(33)に面会。「自分も(ニッポン放送の)株を持っているので、フジテレビを一緒にやろう」と話し、フジテレビジョンの筆頭株主だった同放送の株買い占めを提案したという。 同席したライブドア元幹部が特捜部にこうしたやりとりを供述していることから、特捜部は、ライブドア側から株買い占め情報を事前に入手して同放送株を買い増した村上ファンドのインサイダー取引に、村上氏が中心的役割を果たしたとみている。また、ファンド幹部3人も当時、MAC社の取締役として、同放送株の買い増しなどにかかわっていたことも判明した。 一方、村上氏は特捜部の事情聴取に対し、「ライブドア側からの情報でニッポン放送株を取得した事実はない」と、インサイダー取引を否定。保有していた同放送株の大半は、ライブドアが株買い占めを公表して株価が高騰する以前に売却しており、高値で売り抜けた事実はないなどと説明したとみられる。 (2006年6月4日8時45分 読売新聞) 本件の立証は村上ファンドが元々ニッポン放送株の筆頭株主であったことから、具体的な立証となるとかなり難しい部分があるようにも見える。但し検察側もこれだけ報道された以上村上氏逮捕にまでこぎつける可能性は大きいと思われる。但し実際の裁判で有罪に持ち込めるか否かは全くわからないと思う。
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村上ファンド側がTOB受諾方針、阪急・阪神統合へ 朝日新聞2006年06月03日16時51分 阪急ホールディングスが実施中の阪神電気鉄道株の株式公開買い付け(TOB)に、阪神の筆頭株主である村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が応じる方針を固めたことが明らかになった。TOBの成立は確実視され、10月1日に阪急と阪神が経営統合して、「阪急阪神ホールディングス」となる。私鉄大手同士の統合は戦後初めて。売り上げ(06年3月期、連結ベース)で東京急行電鉄、近畿日本鉄道に次ぐ第3位の私鉄グループになる。 3日、阪急側の関係者が「村上氏側は今後1週間以内に応じてくるだろう」との見通しを明らかにした。阪急は5月30日から、村上氏側との合意がないまま、阪神株を1株あたり930円で、阪神の発行済み株式総数の45%以上を目標に買い付けるTOBを開始。阪神の発行済み株式総数の約47%を保有する村上ファンドが大半を放出し、一般株主の一部も売却に応じるとみられ、TOBは成立する見通しになった。村上ファンドの売却株式数などについては、なお調整が続くとみられるが、同ファンドは巨額の売却益を手にする見込みだ。 村上氏側は阪急のTOBの条件に対して、「我々の想定価格とは開きがある」とのコメントを発表したまま、沈黙を守っていた。今月2日になって、村上ファンドがニッポン放送株の取引を巡って証券取引法に抵触した疑いで東京地検の捜査を受けていることが表面化。関係者の間では「村上ファンドには出資者からの圧力も予想され、TOBに応じて阪神株を売却せざるをえないのでは」との観測が強まった。 阪急は今年4月に入ってから、阪神との経営統合を検討。村上ファンドから阪神株を買い取る交渉も同時に始めた。高値での売却を求める村上氏側に対し、阪急はできるだけ安く買い取る意向で、交渉は難航。阪急は双方の合意がないままのTOBに踏み切った。 阪急のTOBは今月19日に締め切られる。阪急と阪神は、統合への手続きを進め、ともに6月29日に予定している株主総会で経営統合を正式決定する考えだ。阪急と阪神は経営統合後もプロ野球・阪神タイガースの球団名をそのまま維持する考えで一致している。両社はともに手がけている鉄道、不動産、百貨店、レジャーの各事業ごとに統合計画を詰める。 村上世彰氏が東京地検の任意の取調べを既に受けたという情報もあり、今後の村上ファンド側への地検の捜査が本格化すれば、村上ファンド側は阪急電鉄との阪神電鉄株の価格交渉はもはや有利に進められる可能性が低くなったことや、阪神株の市場での値動きもTOB価格の930円に近いものになってきており、TOBに応じた方が現実的であると現時点で判断したものと思われる。
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昨日と本日の新聞テレビ報道においての「村上ファンドインサイダー取引疑惑」について素朴な疑問を感じた。 読売新聞の昨日の夕刊のに拠ると、村上ファンドのニッポン放送株などをを巡る時系列での動きは以下のようになっている。 2003年9月30日 村上ファンドがニッポン放送株の6.3%を取得し、筆頭株主に 2004年3月31日 村上ファンドのニッポン放送株の持株比率が16.6%に増加 2004年9月10日 フジテレビがニッポン放送株の12.3%を取得し、第2位の株主に 2005年1月5日 村上ファンドが80万株を買い付け、保有比率は18,57%に増加 2005年1月17日 フジテレビがニッポン放送の完全子会社化を目指して株式公開買い付け(TOB)を発表 2005年2月8日 ライブドアがニッポン放送株大量取得し、持株比率が約35%に 2005年2月10日 フジテレビがTOBによる取得目標を50%超より25%超に引き下げ 2005年2月28日 村上ファンドの保有比率3.44%に低下 報道によると証券取引法では、発行済み株式を5%以上を買い占める行為を「投資家の投資判断に影響を及ぼす行為」と位置付けられており、こうした買占め情報を買占めに実行者から聞いた者が、その公表前に株を購入するとインサイダー取引にあたるとのことである。 検察が村上ファンドの行為に目をつけたのは、村上ファンドが集中的に買い増しを続けた04年10月〜05年1月のことであると思うが、その時点で村上ファンドは既に16.6%以上を所有していたので、計算上は買い増しとは言っても、追加の1.97%(=18.57%−16.6%)を買い増ししたにすぎない。 この村上ファンドの買い増し分の1.97%分の株式購入について、村上ファンド側は「ライブドアがその後ニッポン放送株を大きく買い占める計画」をその計画の公開前に知っていて、買い増しを行ったのではないか?というインサイダー取引嫌疑が検察によりかけられたということのようである。 しかしながら、村上ファンドは2005年2月28日の時点で3.44%を保持していたということは、数字の上では、買い増しをした1.97%分を売り抜けたわけではなく、元々所有していた16.6%の中から15.13%(=18.57%−3.44%)を売り抜けたということであるなら、何ら問題はないはずである。 また、村上世彰氏からホリエモン氏にニッポン放送株の取得を勧めたという事実があるようだが、自分の所有する株を買うのを勧めるという意味での行為なら、普通の株取引行為の一つであると思う。 以上のように、純粋に数字上からは、インサイダー疑惑は成り立たないように見えるのだが、旧ライブドア幹部の取調べ等で報道されていない事実を検察が掴んでいる可能性も当然否定はできない。 しかし、阪急ー阪神の統合に向けての阪急による阪神株のTOB進行中/村上ファンドと阪急間の阪神株価格交渉の真っ只中という状況の中での大々的な「村上ファンドインサイダー取引疑惑」の報道は、誰かが明確な意思を持って「村上バッシング」を行っているようにも見える。 当ブログは村上ファンドを応援するブログでは決して無いが、何故このタイミングに、上述したように純粋な数字の上では、インサイダー取引のようにも見えない事象であるにも関わらず、「村上ファンドインサイダー取引疑惑」の報道が大きくなされるのかについて、少々首をかしげる次第である。 以上できるだけ公平な見方をして書いたつもりである。
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