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〜プロローグ〜 人はなぜ、夢を見るのだろうか。自分の求める理想を少しでも感じたいからなのだろうか。それとも現実世界から逃げたいからなのだろうか。 どうして桜はピンクや白なのだろうか。それは彼らが望んだ色だからなのだろうか。それとも、人が望んだ色だからだろうか。 なら、なぜ人はこの世に生きているのだろうか。何のために生きているのだろうか。 ―――宿命?使命? わからない。 なら、なぜ自分はここにいるのだろうか。なぜ、生きているのだろうか。 ・・・自分の存在意義とはなんだろうか。 考えていくうちに怖くなってくる。自分というものがこの世界に果たしてどれだけの価値があるものなのだろうか。答えなんてわからなかった。ただ、自分は・・・ 「おーい、長谷川。おきてるかぁ」 「あ、はーい」 突然の教師の言葉に驚きつつも、平然さを保ち、答えた。 「おし。なら、この問題やってみろ」 「・・・わかりました」 面倒くさいことこの上ない。まぁ、今はあのことを考えなくていいことだけよいことにしよう。 (存在意義・・・) 彼女は黒板に文字を書き始めた。 第8話 日常 ―――きーんこーんかーんこーん・・・ やる気のなさそーなチャイムと同時に生徒がいっせいにたち始める。皆ようやくかったるいことがひとつ片付いてひと段落しているのだろう。まぁ、それはみんなの話に過ぎないのだが・・・ (それにしても・・・) 今回の俺はちょーとばかしそんな気にはなれなかった。まぁそれもそのはずで・・・ 「燈真、次って何の教科?」 これが原因だ。なにをかくそう、なんとこの鷺野宮に明里がいるのだ!! 「お、おぉぉ、たしか現代社会だったとおもうぞ」 「じゃぁ、教科書みせてね」 「あ、あぁ」 なんだ、なんていったらいいのか、動揺しまくっている。それも仕方ないだろ。ここにいるはずもない人がいるのだから。それに何だ、うれしいには変わりないのだが、あんまり人前でカップルだぁと見られることは恥ずかしくてあまり好きではない。特に・・・ 「ったく、知り合いだったのかよ!」 こいつ、蓮二にだけは知られたくない。知られたら最後、冷やかしの対象になっちしまう。いや、1時間もあれば学校中に知れ渡ってしまう。できれば明里とは静かに、そう、静かーに付き合いたい。 「まぁな」 「ええ、少し前に駅であって」 明里にもそれは朝のHR後速攻で説明した。彼女もできれば茶化されることなくひっそりと付き合いたいということで納得した・・・と思う。 「んだよぉ、燈真ちゃん。それだったら紹介してくれよ、つれないなぁ」 「うるせぇな、お前に教えたら最後だろうが」 「もう、意外と奥手なのよ、燈真ちゃん」 「あっそ」 そんなたわいもない会話をしている。だが、いつもとは違う。ここに明里がいるんだ。それだけでもまた違った感じだ。 「へーー燈真もなかなかやるじゃないの」 (どこから沸いてきた、綾乃よ) 「余計なお世話だ」 「まぁまぁ、2人とも」 こんなしょーもない話をしつつ、授業は気がついたら第6限目も終わり、放課後になっていた。 「じゃぁな」 綾乃はハンド、蓮二は陸上。それぞれ部活があるため帰宅は明里と一緒だった。こういうときに2人のがんばりは役立つ。部活がんばれぇー! 「んじゃ、かえろっか」 「うん、そうね」 彼女は笑顔でそう答える。 思えば出会ってから彼女は本当に変わった。まるで中に縛られていた鎖が打ち砕かれたかのように、今はものすごく「今」を強く生きている感じがする。 (俺のおかげかな・・・) 自意識過剰も激しすぎるな、俺。 そんなことを考えていると・・・ 「あ、朝霧くん」 「長谷川先輩じゃないですか」 亜子さんだ。彼女もまた今日始めて話したという感じだ。意外と見た目よりも明るく男勝りな一面が印象的なかただ。 彼女はみつけたぁとばかりにこちらに向かって走ってくる。 「どうしたんですか」 「うん、実はね・・・」 亜子さんは明里の方を見る。一瞬信じられないというような表情をみせたような気がするのは気のせいだろうか。 「これ、商店街でもらったんだけど、今日までなんだって、ケーキフェア。5個までなら食べ放題だよ!」 「まじっすかぁ、ああでも」 ここで明里のほうを見る。明里はしまったという顔を一度してから。 「あ、ああ、はじめまして。岡寺明里です」 「岡寺明里・・・明里ちゃんか!わかったよー。あなたもいかが?」 「えっと・・・」 明里は俺のほうを見る。俺はうなずいてみせる。 「ぜひご一緒にさせてください」 「いいよぉ、ついでにここら辺のことも教えてあげる」 かくして2人の女子とデートすることになった俺。ふ、ざまあみろ蓮二め。 といっても、何だろう、亜子さんのあの一瞬みせた表情は・・・ 「あーケーキ楽しみね、燈真」 「あ、そうだな」 明里のいうとおり、ケーキは楽しみだ。この件はひとまず保留にしよう。 俺たち3人はたわいもない話をしながら丘を降りる。なんだ、今年はやっぱりいい年じゃないか。 (ほんと、人生なにがあるかわからんものだ) もっともケーキを食い終わった俺たちは、そこら辺のゲーセンをぶらぶらし終わった後、亜子さんとわかれ、いつしか明里と俺は、あの日であった駅のホールにいた。 「そういえばさ、燈真」 「ん?なんだ」 彼女はすこし考えたふりをしてからくちをひらく」 「なんで燈真は部活やってないの?」 「ああ、それは・・・」 「それは?」 「バイトしてるからだよ」 「そうなんだぁ、てっきりめんどうくさいからだと」 「それも多分正解だ。どうせ動くなら金もらったほうがましだ。」 「ふふ、それもそうね。」 ああ、青春だな。俺は感動してるよ。 「それより、そんなんだったら日曜日デートしてよ」 デート・・・いい響きには違いない。ってデート? 「まじか!」 「いや?」 いやなわけではない。ただどこにつれてけばいいのか検討もつかなかったのだ。 「うんと、どんあところいきたい?」 「燈真に任せる」 それが人間一番困る答えなんだよ、明里さんよ。 「・・・わかった」 「楽しみにしてるよ」 はぁ、明里さんよ、そこまで期待しないでくれ。仕方ない。あさってまでの宿題だな、こりゃ。 いつもと違う日常。こんな日常がまさかじぶんにくるなんて思ってもいなかった。でも、いやな気はしない。 ―――さて、明日は何があるんだろうか。 「・・・そう・・・わかったわ」 携帯を閉じ、ソファに深くもたれる。 「そうか、彼女はもうここにいたんだ」 彼女の顔がかすかに微笑んだ。 (ただ・・・) 燈真がいることは以外ではあった。まぁ、同じ学校だから仕方はなくはないが、まさかあれほどまで接触を図っていたなんて。 「さて・・・」 彼女は必死に頭をめぐらせた。自分の存在意義を見つけるために。自分のすべてを果たすために。 第8話 終わり
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