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街は留まることなく進化を続けた。
有機的な生き物であるかのように、それは無意識に委ねられて触手を拡げる
アメーバのように面妖なる意識を拡張し、静かに、ただ静かに、進化を続けた。
古びた大木から自然と新たなる芽が息衝くように、人たちの役割は入れ替わり、
嘗て子供を支配していた大人たちは年老い、自ら古びた威厳高き椅子を退き、
嘗て見よう見真似に大人を手本にし、或るいは大人を裁き、選び、軽蔑していた子供たちは、
気づけば自らが大人となり代わり、社会というものの中に組み込まれ、「責任」を持つようになった。
矛盾の中で花は咲いた。
それはいつの時代にも変わらぬことであった。
咲いた花の裏側には無数の搾取が存していた。
その花を王様は、我が物顔で自らのものとし、毟り取った。
王様の殆どが小山の大将であった。
狭い世界での支配を強いられること、多くの人にとって、
それが日常であり、ルールであり、責任であり、
惰性であり、屈辱であり、常識だった。
大人になった人は思うだろう。
大人と子供の境界線はどこにあるのかと。
大人の振りをすることが大人なのかもしれない、
ルールに屈するのが大人なのかもしれない。
しかし、それが大人ならば、何故にレジスタンスは起こり得るのか。
大人になれば感情が消えうせる訳ではない、
ただ少し、欲が少なくなるのかもしれない。
愛が在るならば信じ抜くが、
大人になるに連れ人は合理性を増してゆくかもしれない。
愛は愛のままではいられず、いつか形を変えるかもしれない。
それはメッキに塗れたフェイクに過ぎなくなるかもしれない。
でもどこかにきっと愛の灯は残っているかもしれない。
例えば深夜に珈琲を飲みながら二人で夜空を見上げる時に。
街は留まることなく進化を続けた。
有機的な生き物であるかのように、それは無意識に委ねられて触手を拡げる
アメーバのように面妖なる意識を拡張し、静かに、ただ静かに、進化を続けた。
死と生は静かに移り変わった。あなたと私は静かに移り変わった。
君と僕は静かに混ざりあった。解けない謎はそのままでいいとさえ思えた。
風が冷たく心地良く吹いていた。
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