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今回はちょっと寄り道して、72ピンSIMMに搭載されるバッファについての解説です。
#例によって勝手な解釈なので誤りなんかがあるかもしれません。
72ピンSIMMや168ピンEDO/FP-DIMM(要は非SDRAM)の中でも、サーバ向けなどの高級品には
バッファICが載っているものがあります。
このバッファの役割は、一口で言えば「メモリコントローラからの信号を増幅してDRAMに渡す」
というものです。
メモリモジュールにバッファが載っている場合、メモリコントローラに対する負荷が少なくて済むので
多くのデバイス(DRAM)を駆動するのに有利です。
一方、バッファ付きモジュールでは
・信号経路にバッファを挟むため遅延がある
・消費電力が多い
・製造コストが上がる
・場所を取る(結果的にモジュールが大きくなる)
というデメリットがあります。
その他にメモリ回りの給電能力や基板上の配線取り回しなどの要素も絡むので、バッファがあれば
万能というわけではありません。
続いて、バッファICの種類についての解説。
いわゆる「バッファ付きSIMM」に載っているバッファと、今回作成した自作SIMMのバッファは
厳密には違うものです。
前者の多くが「3ステートバッファ/ラインドライバ」なのに対し、後者は「シュミットトリガ・
インバータ」と「ANDゲート」の組み合わせになっています。
部品だけでなく信号の振り分けも微妙に異なっていますが、この部分はバーテックス製VES-EC128Mを
ほぼ全面的に模倣しました。
両者の相違点は以下の通り。
| | 通常のバッファ付きSIMM | バーテックス型 |
| ロジックの種類 | バッファ(3ステート) | シュミットトリガインバータ | ANDゲート |
| ロジックの型番 | ABT16244などx2 | LV14Ax2とLV08Ax2 |
| アドレス信号 | 同上(1サイド1系統) | LV14Ax2(2サイドで1系統) | --- |
| WE信号 | 同上 | --- | LV08A |
| CAS信号 | なし(?) | --- | LV08A |
| 遅延(5V動作時) | 1ns〜4.8ns | 1ns〜12ns | 1ns〜9ns |
| 遅延(3.3V動作時) | 1.2ns〜5.1ns(LVTH162244) | 1ns〜18.5ns | 1ns〜14ns |
| 出力制御(/OE) | あり | なし | なし |
| 外付け抵抗 | 必要(162244系を除く) | 不要 | 不要 |
通常型は遅延が比較的少ない点が長所になります。
しかし、回路がやや複雑で設計が難しいという欠点があり、2層基板には不向きという印象。
加えて部品の入手性も良くありません。
バーテックス型は一般的なロジックICの組み合わせなので、やや遅延が大きい代わりに
回路が単純で済みます。
また、部品のパッケージの種類が豊富なので設計の自由度が大きいのもメリットでしょう。
僕自身の設計能力とはんだ付け技術を勘案して、0.65mmピッチのパッケージならば
どうにか実装できそうだと判断しました。
こうして出来上がったのが今回のSIMM基板だったというわけです。
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