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別冊マーガレットで連載されていた「先生!」を実写化したラブストーリー。

女子高生と教師の禁断の恋を描いた作品と言えば、すぐに思い浮かぶのが10月に公開された松本潤と有村架純による映画「ナラタージュ」である。

本作と「ナラタージュ」における近似性はそういった設定だけではなく、教師役にジャニーズのタレントを起用している点や女子高生役に旬の若手女優を起用している点などがある。

さらに言えば、どちらの作品でも教師は社会科の担当であり、驚くことに社会科準備室におけるシークエンスまで似通っており、互いの制作者が情報を共有しながら作ったのかと思うほどだ(笑)

もちろん本作の監督である三木孝浩と「ナラタージュ」の監督である行定勲には公開されている情報の中では特に親交はなく、これらの近似性はただの偶然なのだが、こう言った作品が同時期に公開されたと言う事実は実に面白い。

個人的には「ナラタージュ」と不倫を結び付けて語るべきではないと思っているが、「昼顔」に端を発する不倫あるいは禁断の恋ブームは、「ナラタージュ」、そして本作を経て、さらに活発になっているように感じる。

ネット上では不倫への異様なまでのバッシングが続いているが、ことフィクションの世界ではそういった作品群が一定の支持を受けているのは事実であり、人々が不倫や禁断の恋に対して潜在的な願望を持っているのでは?との推察が出来るのではないだろうか。

もっとも、逆説的な意見になってしまうが、本作では定義上は禁断の恋模様が描かれるのだが、物語そのものはそれを感じさせない爽やかさに満ちている。

また、「ナラタージュ」が時系列を崩して、いわゆる映画的な物語になっていたの対して、本作は時間の流れをそのまま映し出しており、設定はともかくとして、真っ向勝負で挑んだ青春・ラブストーリー映画となっている。

本作から禁断の恋感を打ち消している最大の要因は、言うまでもなくヒロイン島田響を演じた広瀬すずの存在にある。

「ちはやふる」以降、「怒り」、「三度目の殺人」において、非常に重苦しい設定を背負った少女を演じていた広瀬すずだが、本作では等身大で純粋無垢な女子高生を演じており、恐らく広瀬すず史上最高にキュートな演技であろう。

残念ながら演技そのものの質で言えば、例えば「三度目の殺人」に比べれば明らかに劣っているが、本作では演技の質どうこうよりいかに島田響と言うヒロインを可愛く見せるかが重要なのであって、そういう意味で広瀬すずはまたしても最高の仕事をしてくれたのである。

「ナラタージュ」のヒロイン工藤泉は好きな相手に自分の気持ちを素直に伝えられなかったが(相手の状況も関係しているのだが)、それに対して本作のヒロイン島田響は一途に自分の気持ちを相手に伝えており、その健気で純粋な姿に共感を覚えた観客は多いはずだ。

生田斗真演じる伊藤先生はいわゆる少しSっ気のあるタイプの教師であり、特に序盤における島田響とのプラトニックな関係性は観ていて非常に心地良い。

「ナラタージュ」の葉山先生が影があり感情の変化を読みづらいキャラクターだったのに対し、ぶっきらぼうではあるが、それなりに感情表現をしてくれる伊藤先生には感情移入もしやすく、キャラクターへの好感度と言う意味では本作における島田響、伊藤先生の方が遥かに高いのは間違いないだろう。

ただし、島田響が伊藤先生を好きになっていく推移は丁寧に語られるのだが、一方で、伊藤先生がどの段階で島田響を好きになったのかと言う視点は完全に削ぎ落とされていて、消化不良感は否めない。

あれだけ可愛い女子高生なんだから好きになって当然と言うメタ的視点で語るのも悪くはないが、やはり映画である以上感情の変化を映像あるいは演出として見せて欲しかったところではある。

さらに、半プラトニック的な関係性を描いた序盤から中盤の物語は非常に見応えがあり、高い評価に繋がるのだが、後半における、いわゆる社会的制裁を受ける展開や、その後に続く悪い意味での邦画あるあるの連続には辟易してしまう。

全力で走りながら転ぶ、思いっきり叫ぶ、号泣すると言った、前時代的な演出は最近の邦画においては影を潜めていたかに思えたが、本作ではそれが見事に復活してしまっており、相も変わらず邦画界に蔓延る病巣の深さに暗澹とした気持ちになってしまった。

思い返せば、三木監督は「くちびるに歌を」でも最終盤でそういった演出をしており(最終盤以外は傑作)、これは三木監督の良くも悪くもカラーと言える。

個人的には三木監督は物語を起こすのは上手いが、結ぶのが下手と言う印象である。

そういう意味では本作の終盤でもある種のなげやり感が出てしまっており、前半の物語が素晴らしかっただけに、何とも口惜しい気持ちになる。

キャストについて語るなら、前述のように広瀬すずは素晴らしく、その陰に隠れて若干印象は霞んでしまうが生田斗真も好印象ではあるが、個人的に強く印象に残ったのは、伊藤先生の同僚を演じた比嘉愛未である。

ツンデレ的だが、デレがないためただのツンなのだが(笑)、伊藤先生とはまた違った意味でのS的な女性教師像は個人的なツボを大いに刺激されてしまった(笑)

残念だったのは、比嘉愛未が演じた中島先生の描写には一定の時間を割いていたにもかかわらず、きちんとした結末を示してくれなかったことだ。

中島先生に関係する生徒の描写も多かったはずなのだが、何故かそれが曖昧になってしまっているのは(あるいは想像の余白として処理したか)非常に勿体ない。

生徒役を演じた若手のフレッシュさも本作の魅力であり、恐らく彼らは今後の邦画界で重宝されるような存在になっていくことだろう。

作品そのものへの評価はともかく、実に映画的に仕上がっていた「ナラタージュ」に比べ、本作はあくまで平均的な青春映画の域を出ていないが、魅力的なキャストに彩られたことで一定の満足感を得られる作品になったのは間違いないはずだ。


評価 75点

2017年10月31日 劇場鑑賞

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