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アベンジャーズに所属する雷神ソーを主人公とした「マイティ・ソー」シリーズの3作目であり、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)通算17作品目の作品である。

いわゆるユニバース作品(複数の作品の集合体)では、メジャースタジオの単独作品やインディーズ作品よりもスタジオ側の意向が強く反映される傾向にあり、クリエイターが本来持っている作家性を表現することはなかなか難しい。

「アイアンマン」シリーズのジョン・ファヴロー(俳優としてはまだ参加している)や「アベンジャーズ」シリーズのジョス・ウェドンは方向性の違いを理由にMCUを離脱している。

ジョス・ウェドンに至ってはまさかのライバルユニバースであるDCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)に所属してしまった(笑)

そんなMCUにおいても、例えば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの監督であるジェームズ・ガンは(ある程度の制限はあるのだろうが)自らの作家性を前面に押し出してシリーズを成功へと導いた。

その一方で例えば「アントマン」の当初の監督を務めていたエドガー・ライトがスタジオ側と揉めて降板したように、やはり極端に個性のある作品に対してはスタジオ側は許可を出さないのである。

そういう意味ではジェームズ・ガンは非常にマーベル・スタジオと上手く調整を取っていると言えるが、そのジェームズ・ガンに並び、またしてもMCUに個性的な作家性を持った監督が加わった。

それが本作の監督を務めたタイカ・ワイティティである。

ワイティティは日本のみならず恐らく世界的に見ても知名度のない監督であるが、本作を機に一気に名を上げるのは間違いない。

彼の才能がどれだけ素晴らしいものかは本作のオープニングの数分を観れば一目瞭然である。

1作目のケネス・ブラナーが生み出し、2作目のアラン・テイラーが引き継いで来た「マイティ・ソー」シリーズの世界観をワイティティは即座にぶち壊し、オリジナリティ溢れる視点で再生してみせた。

レッド・ツェッペリンの「移民の歌」をバックに、ソーがムスペルヘイムの王スルトと戦うオープニングシークエンスには、明らかに前作までとは違う柔軟性を持ったソーのキャラクター性や全く見たことがなかったアクションが含まれ、本作が前2作とは全く違った作品に仕上がっていることを端的に示している。

記憶に新しいところではデヴィッド・フィンチャーの「ドラゴン・タトゥーの女」でも使用されていた「移民の歌」だが、本作でも実に効果的に使用されており、オープニング以外でもう一度流れるシーンでもその効果は抜群である。

結果として出来上がった作品はオリジナリティ溢れる意欲作なのだが、その一方で部分的には古今東西の作品のパーツが多く使われている。

例えば「スター・ウォーズ」的であり、「スター・トレック」的であり、さらに「メン・イン・ブラック」や「ハンガー・ゲーム」など多くの映画を参考にしているはずである。

さらに言えば製作時期からして完全に偶然なのだろうが、絶壁でメンターに教えを乞うシーンは完全に来月公開の「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」と呼応している(本作で言えばソーとオーディン、「最後のジェダイ」で言えばレイとルーク)。

様々な映画の要素を取り入れたいわゆる闇鍋的作品ではあるが、前述のようにそれを上手くカスタマイズして、オリジナリティへと昇華させたワイティティの手腕が光る。

さらに作品の大半をアドリブで撮影したことが功を奏し、キャラクターが前2作以上に魅力的になっている。

キャラクターが魅力的と言うのは本作においては特に重要で、実は物語の中盤明らかに脚本がグダグダしており、非常にテンポが悪くなるのだが、それを補うのが個性豊かなキャラクターたちなのである。

ソー、ロキはもちろん、今回初登場のキャラクターたち、そしてMCUファンにはたまらないサプライズゲスト(予告で堂々と登場しているため全くサプライズではないが…)のセッションは実に楽しい。

ケイト・ブランシェット演じる死の神ことヘラが本作のメインヴィランなのだが、そのヘラを放置して別の星でひたすら仲間とワイワイガヤガヤしているシーンで物語を紡いでいくワイティティの自由奔放っぷりはある意味爽快である(笑)

とは言えこの星での出来事が終盤のカタルシスに繋がっているわけで、当然ながらきちんと計算して物語が作られているのは間違いないだろう。

とにかく序盤から終盤まで独創的で個性的な物語や演出が見受けられ、良くも悪くも監督の作家性が存分に表現されていて(個人的には大満足!)、1作目はともかく、何の特徴もない平凡な大作でしかなかった2作目と比較するとその差は歴然である。

やはりジェームズ・ガンの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」もそうだが、監督の作家性が表現されている作品を観るのは非常に楽しく、もちろんそれによって作品の好みはより分かれるのだろうが、それが本来持っているクリエイターの役割なのではないだろうか。

そもそも来年でいよいよ10年目を迎えるMCUにおいて、未だにこうした意欲作が製作されること自体が素晴らしいことであり、MCUはマンネリなどとは完全に無縁の存在なのだろう。

全く新しい形で生まれ変わった「マイティ・ソー」シリーズ最新作、文句なしの大傑作である。


評価 90点

2017年11月10日 劇場鑑賞

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    私も今日見てきました。満足しました。
    この快感は止められないですね^^

    猫

    2017/11/13(月) 午後 8:10

    返信する
  • 猫さん♪

    最高に面白かったですよね!!
    次回作の「ブラック・パンサー」にも期待してます。

    れじみ

    2017/11/19(日) 午前 7:36

    返信する

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