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日本を代表するモンスター、「ゴジラ」シリーズ通算30作目の作品で、シリーズ初のアニメーション作品。

三部作構成の1作目であり、2作目は来年2018年5月に公開予定、また本作は劇場公開後にNetflixで配信される予定である。

「ゴジラ FINAL WARS」でシリーズの幕を閉じて以来、10年以上の時を経て昨年公開された「シン・ゴジラ」は特撮ファンのみならず多くの観客の支持を得て、興収・評価共に素晴らしい結果を残した。

言うまでもなく「シン・ゴジラ」の成功が本作の制作を後押ししたのは間違いないのだが、さらに遡ってみれば「シン・ゴジラ」が制作されるきっかけになったのは2014年公開の「GODZILLA ゴジラ」なのである。

ワーナー・ブラザース×レジェンダリー・ピクチャーズによるモンスターバースの第一弾として公開された「GODZILLA ゴジラ」は、「ゴジラ FINAL WARS」の倍以上の興収を叩き出し、日本におけるゴジラ人気の高さを見事に証明してみせた。

それが結果として「シン・ゴジラ」の制作に繋がり、そして本作の制作へと繋がっていったのである。

特撮ファンの願望をひたすら追求しているモンスターバース、311をメタファーとしてリアリズムと特撮を融合させた(ゴジラ的であり映画的な作品の頂点で、恐らく今後十数年このレベルのゴジラ映画は現れないはず)「シン・ゴジラ」、この2本による確立した世界観があるからこそ、本作のような全く新しい(アニメと言うジャンルとしても世界観の設定としても)ゴジラ映画が制作されることが可能になったのだ。

さて、そんな本作の制作陣であるが、劇場版「名探偵コナン」を15作目から引き継いだ静野孔文、実写化が最近話題になった「亜人」のアニメ版を担当している瀬下寛之が共同で監督を務め、脚本には「魔法少女まどか☆マギカ」や「仮面ライダー鎧武/ガイム」などアニメと特撮どちらのジャンルでも活躍する虚淵玄を起用している。

あまり話題にされることはないが、劇場版シリーズ15作目の「沈黙の15分」から名探偵コナンを引き継いだ静野監督であるが、明らかにそれをきっかけにシリーズの作風が変化しており、今年で21作目を迎えた今もなおシリーズ最高の興収を記録した快進撃の立役者であるのは間違いない。

瀬下監督に関しては作品未見のため語れることはないが、今年Netflixオリジナル映画として公開された「BLAME! ブラム」では一定の評価を得ているようだ。

そして脚本の虚淵と言えば鬱展開でおなじみの脚本家で、本作でもその作風を存分に発揮している。

本作の世界観だが、地球に次々と現れるゴジラをはじめとした怪獣の脅威によって、地球離脱を余儀なくされた人類が、およそ2万年ぶりに地球へ帰還すると言うゴジラシリーズの中でも飛び抜けたSF的背景を持っている。

人類が宇宙航行で実際に体感している時間は20年ほどだが、長距離亜空間航行の影響で、地球では2万年の時が経っており、そこで今もなお生態系の頂点として君臨するゴジラにどう立ち向かうかと言うのが大筋の物語である。

本作では、怪獣出現からの地球離脱、そして当てのない宇宙航行の流れをダイジェスト的に描いてしまっているため、20年と言う時間の重みがあまり感じられない。

それはつまり、主人公をはじめとしたキャラクターたちの望郷の念の弱さにも繋がってしまっている。

ゴジラシリーズにおいても比較にならないほどの核弾頭を浴びせても生き延びたゴジラが君臨する地球に戻るより、当てはなくとも宇宙を彷徨っていた方が(人的にも物資的にも余裕がない様子が描かれてはいるが…)生存の確率は上がる気がしてしまう。

例えばそう言った論拠を超越した強い想いがキャラクターにあれば別なのだが、前述のようにそれはあまり感じられず、そもそも地球離脱以降に生まれた者にとっては地球は故郷でさえないと言う設定には少々首を傾げたくなる。

メタ的に見れば映画の登場人物がゴジラと戦うのは当然なのだが、キャラクターそれぞれがゴジラとどうしても戦わなければならないと言った理由がなかったのは残念である。

ただし、それをある意味で全て請け負っているのが両親をゴジラに殺され、ゴジラへの復讐を誓う主人公ハルオ・サカキなのである。

復讐あるいは望郷への想いからゴジラを倒すことのみを至上命題として設定されたサカキは非常にふり幅の少ないキャラクターではあるが、ただひたすらゴジラへと向かっていくその姿勢は清々しくもある。

例えば自分、あるいは仲間の隊員の命さえ犠牲にしてまでゴジラと戦おうとするサカキには、戦前の日本軍の悪しき信念を感じざるを得ないが、絶対絶望の展開になれば即座に撤退の判断を下しているあたりを見ると、実は科学的根拠に基づいた作戦を展開し、その上でなお必要な犠牲は致し方なし(それが良いとは言わないが)と言う姿勢を持っており、決して仲間の命を軽んじるような人物として描かれていないことには好感が持てる。

他の登場キャラクターもアニメ映画的なテンプレを脱しないキャラクターばかりではあるが、それはつまり基本的なツボは抑えていると言う意味でもあり、このあたりは名探偵コナンで経験を積んだ静野監督の手腕が発揮されていると言える。

全てが全く新しいキャラクターと世界観で描写されており、そこに魅力を感じないと、ゴジラと戦っているシーン以外では退屈に感じてしまう可能性もあるが、上映時間は89分ほどなので、それほど苦にはならないのではないだろうか。

実際自分も前半のドラマパートは、退屈とまでは感じなかったが、あまり面白いとは思わなかったし、思い入れもなかったのだが、後半でゴジラとの戦闘が始まると一気に作品の世界に引き込まれた。

これまでのゴジラシリーズに決して空中戦がなかったわけではないが、本作では機動力を駆使した空中戦が多く展開されており、これはアニメ映画だからこそ出来る対ゴジラアクションである。

そして肝心のゴジラであるが、キャラデザは2014年のギャレス・エドワーズによる「GODZILLA ゴジラ」、いわゆるギャレゴジを参考にしていると思われる。

スペックとしては体高300メートル(劇中でそう言っていたはず…)、歴代最大である「シン・ゴジラ」のゴジラが118メートルであるため、言うまでもなくダントツでシリーズ最大の大きさである(笑)

そして実はさらに…と言うのはネタバレのために自主規制。

その大きさだけでなく、なんとバリアを張れるため、ありとあらゆる攻撃を無効化してしまうもはや怪獣なのか?と言えるほどの反則スペックの持ち主。

公開されているスペックとしては間違いなく歴代最強のゴジラに対して、戦力で圧倒的に劣る人類がどう戦っていくのかと言うのが大きな見所でもある。

ゴジラの移動によって生じる衝撃音、それに付随する様々な効果音、そして咆哮、全身にビリビリと伝わってくる音響効果は劇場ならではの体験であるため、これは是非とも劇場で体験して欲しいものだ。

しかしながら、残念なことにすでに各所で指摘されているように、今回の制作陣はどうやらゴジラに対してあまり執着と言うか興味がないようなのだ。

圧倒的スペックを誇るゴジラは確かにスクリーンに存在しているのだが、ゴジラの描写はそれ以上でもそれ以下でもなく、制作陣からゴジラを魅力的に描いてやると言った姿勢が一切感じられない。

俺の好きなゴジラはこれだ!と言わんばかりに庵野秀明カラーに染められた「シン・ゴジラ」を観た後だと、ほぼ個人的な主張を感じないゴジラには物足りなさを感じてしまう。

恐らくゴジラと言うアイコンを描きたかったのではなく、ゴジラに対して立ち向かっていく人類をメインとして描きたかったのだとは思うが、そちらの描写もあまり効果的ではなく、正直なところ中途半端な作品になってしまっている感は否めない。

また、映像の質は別として、ビジュアル的に非常に淡白な作りになっており、はっきりと言って視覚的にはつまらない作品になっている。

希望を失った世界を描く際に、色調を抑えた映像を使うのは理に適ってはいるが、もう少し工夫が欲しかったところである。

2万年経っている地球にあまり変化が感じられなかったり、歴代最大であるゴジラに対しての比較物がなかったり、映像面での工夫は今後の大きな課題である。

物語が主人公の都合の良いように動きすぎとの指摘もあったが、これに関してはゴジラを倒す、ただそれだけを至上命題としていた主人公の希望からの絶望を描く上ではある意味で効果的であり、虚淵脚本が成功していると言える。

今後のシリーズへ向けての伏線になり得る要素も各所で押さえつつ、ラストの二部への引きは素晴らしかった。

これは断言しても良いが、間違いなく二部は一部より面白くなるはずである。

ギャレゴジに近しいルーツと「シン・ゴジラ」の第五形態のその先を予感させるスペックを併せ持ったゴジラは、アニメと言う今までとは全く異なるジャンルに足を踏み入れ、これまで以上にその世界観を広げていくことになるだろう。

ミレニアムシリーズで苦汁を味わった自分としては、ギャレゴジに端を発するゴジラブームの再来を決して途切れさせて欲しくないと切に願っている。


評価 75点

2017年11月17日 劇場鑑賞

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