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ケージ・ダイビング中に起きた事故によって海底に取り残された姉妹の顛末を描くパニックホラー。
1999年公開の「ディープ・ブルー」を最後にサメ映画は衰退を辿り、それ以降はB級映画専門の映画スタジオ、アサイラムのおもちゃにされてしまった。
とは言えアサイラムが制作するB級サメ映画も一部でカルト的人気を集めており、一概にそのやり方を否定する気はもちろんない。
そんな折、昨年公開された「ロスト・バケーション」は批評家から絶賛を集め、また旧来のサメ映画ファンを満足させ、現代においてもサメ映画に一級品の価値があることを証明してみせた。
それから約1年後に公開された本作もその期待に違わず、素晴らしい作品だった。
「ロスト・バケーション」も主人公の行動に制限のあるシチュエーションスリラーだったが、本作もそれと同じ形式をとっている。
休暇でメキシコを訪れた姉妹が、地元の人間に紹介されたケージ・ダイビング中に事故に巻き込まれ、ケージごと47m下の海底に落ちてしまう。
当然船とケージを繋いでいたケーブルは切れているし、距離が遠すぎて無線は通じず、酸素にも限界があり、周りには巨大なサメがうようよしている。
さあここからどうする?と言ったストーリーである。
地元で出会った男性と意気投合し、きちんとした手順も踏まずにケージ・ダイビングをやってしまったケイトとリサの姉妹。
ここまでの展開を観ていると、不慮の事故とは言え、休暇で浮かれていた姉妹の愚かさが目に付くのだが、海底に取り残されてからは一転して、妹はスキューバダイビングの経験を活かして的確に行動し始め、失恋して心此処にあらず状態だった姉も見違えるような逞しさを見せる。
多少のご都合主義も感じなくはないが、ギリギリ許容範囲と言ったところか。
海底47m、視界はゼロと言うわけではないが、すこぶる悪い状況の中、突如突進してくるサメの描写はかなりの迫力である。
いつどこからやって来るか分からないサメの恐怖が存分に描かれていた。
ただし、リサは流血しているし、ケージにはライトが付いているし、そもそも姉妹揃ってケージから出てわりと自由に行動しているにもかかわらず、思っていたよりサメが彼女たちを狙ってこない状況には若干の不自然さも感じる。
基本的に次から次へとトラブルが起きるのであるが、サメの描写自体をもう少し増やしても良かったのではないだろうか。
とは言え、終盤の水中+発煙筒+サメの映像は実に美しく、スリリングで見応えのあるシーンだった。
何とか生き延びようと必死に行動する姉妹とは裏腹に、船上の男性たちは基本的に指を咥えて眺めていることしか出来ない役立たずとして描かれている。(一部例外の描写はあるが)
本作の製作総指揮にはつい最近セクハラ報道で話題になったハーヴェイ・ワインスタインが入っている。
自身が制作した作品を売り込むために強引な手法を取ることで有名なワインスタインだが、今回のセクハラ騒動(セクハラと言うレベルを超えてもはや犯罪なのだが)によってそのキャリアはほぼ終わりを迎えたと言って良いだろう。
しかしながら、本作のような女性が活躍し、男性が何もしない作品に対しても出資をしている状況を見ると、一個人としては最低の人間だったが、少なくとも映画制作者としてはやはり有能だったのかもしれない。
さて、本題に話を戻すが、ソリッドシチュエーションの中で、次から次へと姉妹を襲うトラブルは非常にスリリングであるし、この手のジャンルの醍醐味を感じさせてくれた。
言ってしまえばこの姉妹はリスクマネージメントが全く出来ていなかっただけなのだが、小学生の時に「ジョーズ」を観て以来海はおろか一時期プールにさえサメがいると思っていた自分からすれば、サメがうようよいると分かっている場所で潜るなどとんでもない話である(笑)
ちなみに2010年代のサメ映画の決定版になるであろう、ジェイソン・ステイサムvs太古の巨大鮫メガロドンを描く「MEG」(原題)は来年3月に全米で公開される予定だ。
評価 75点
2017年11月30日 DVD鑑賞
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