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1977年から始まったスペースオペラ「スター・ウォーズ」シリーズの通算8作目の作品で、前作「フォースの覚醒」に続く続3部作の2作目である。

世界中で最も愛されている映画シリーズのひとつであり、それ故に新作が公開されるたびに肯定派と否定派の間で激しい論争が巻き起こっている。

そしてその論争の激しさは本作が過去最高なのではないだろうか。

ライアン・ジョンソンが監督を務めた本作は明らかに過去の「スター・ウォーズ」を破壊したと言っても過言ではないほど挑戦的で、野心的な作品である。

恐らくこれまでのSWを好きであればあるほど本作には抵抗があるだろうし、また逆に言えばこれまでのSWが好きだからこそ全く新しいSWが生まれたことに感動するのではないか。

制作を務めるルーカスフィルムはすでに「EP9:Black Diamond」(仮題)の公開後に、更なる3部作が制作されることを発表している。

そしてその3部作の内の(少なくとも)第1作を監督するのがライアン・ジョンソンなのである。

ルーカスフィルムの社長キャスリーン・ケネディは、元々EP9の監督を務めていたコリン・トレボロウと来年公開予定の「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」の監督だったフィル・ロードとクリス・ミラーを降板させている。

キャスリーンは自分若しくは会社の意向にそぐわない監督を降板させることに抵抗がなく、それはつまり本作で破壊的なSWを制作したライアン・ジョンソンと(少なくとも現時点では)意気投合していることの証明なのである。

今後のSWは本作のライアン・ジョンソン、トレボロウに代わってEP9の監督に復帰したJ・J・エイブラムスのどちらか、あるいは両者が現場レベルで指揮権を握るのは間違いなく、続3部作と言われる「フォースの覚醒」、「最後のジェダイ」に否定的な人間にとってはこの先もSWを楽しめない可能性がある。

もっとも、将来的に予定されている3部作はこれまでの物語とは切り離した作品とのことなので、ある意味ライアン・ジョンソンは適役であると言えるし、本作に否定的なファンも肯定的に捉えることが出来るかもしれない。

さて、本題に移るが、劇場のスクリーンで観るオープニングクロールはやはり感動的である。

昨年公開されたスピンオフ「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」にはオープニングクロールはなかったため、多くの観客にとって2年ぶりのオープニングクロールとなったが、これを観るとSWの世界に戻って来たぞ!と言う感じがする。

オープニングクロールが終わり、宇宙を舞台にしたアクションで物語は幕を開けるのだが、ここでポー・ダメロン役のオスカー・アイザックとハックス将軍役のドーナル・グリーソンのコミカルなやり取りに自分は即座に心を奪われてしまった。

オスカー・アイザックとドーナル・グリーソンは「フォースの覚醒」公開後に「エクス・マキナ」で共演し、そこで奇妙な上下関係を築いていたが、本作の冒頭の会話はそれを彷彿とさせ実に面白かった。

本来であればレジスタンスの絶体絶命のピンチを描いているシーンであり、多少のユーモアはあれどここまでコミカルに寄せる必要はないのだが、これはつまりライアン・ジョンソンによる自らの意思(これまでのSWとは違うぞ!)を示したシーンであり、結果として本作はSW史上最もコミカルで笑える作品となっている。

この冒頭のアクションシーンではスローモーションが使用されているが、これは恐らくSWでは初めての演出ではないだろうか。

演出の話で言うと、レイがルークから修行を受けるために滞在していた島でのシーンで回想が使われているのも印象的だった。

非常にコミカルな作風はもちろん、ライアン・ジョンソンは映像や演出面でもかなり自分の色を出しているのが分かる。

本作においての過去作との最も大きな変化のひとつはルーク・スカイウォーカーのキャラクター性だろう。

そもそもを言えば旧3部作でもルークは強烈な個性を持っているわけではなく、イケメン属性のジェダイと言った印象しかないのだが、そんなルークは本作ではお茶目なおじいちゃんとして描かれている。

それだけでなくジェダイとして宇宙に平和をもたらしたルークがジェダイは滅びるべきと言ったニュアンスの発言をしていることもショッキングである。

やはり過去作とは違って大きくコミカルに振った作風やおなじみのキャラクターの改変は長年SWを愛してきたファンであればあるこそ受け入れ難いと言うのもよく分かる。

しかしながら、ルークのジェダイは滅びるべき発言はある意味でメタ的な発言であり、「フォースの覚醒」より登場したレイ、カイロ・レン、ポー・ダメロン、フィンら新世代のキャラクターたちが非常に魅力的なのにもかかわらず、いつまでも過去の作品に想いを馳せ、こんなものはSWじゃないと懐古主義に走る者たちを敬遠しているようにも思える。

実際、ジョージ・ルーカスは本作を称賛しており、生みの親が称賛している作品に対してこんなものはSWじゃないと頭ごなしに否定するのは如何なものだろうか。

本来作品の批評と言うのは自由に行われるべきであるが、どうもSWの場合は作品そのものの批評と言うより、過去の作品はこうだったと言った比較論が大勢を占めているような気がしてしまう。

自分としては本作を「フォースの覚醒」に続く傑作と評価しているが、読むに値する内容で書かれた否定的な批評を読むと正直納得してしまう部分も多く、非常にアンバランスな作品であるのは確かである。

しかしながら「フォースの覚醒」以降各作品で名を上げた役者たちが(特にアダム・ドライバー!)再びSWの世界に集結する様は同窓会的楽しさがあり、シリーズ最長となる152分の上映時間を一切持て余すことなく堪能出来たことに非常に満足している。

レイの出自を巡る物語であり、カイロ・レンの苦悩の物語であり、ポー・ダメロンの成長の物語であり、フィンの恋物語(ここに係わる人種問題に忖度した描写に関しては一貫して自分は否定的ではある)であり、新世代がそれぞれ魅力を発揮しながらも、ルークやレイアの旧世代が要所要所をグッと引き締めてくる、まさに今年40周年を迎えた長編シリーズに相応しい物語であり、作品だったのではないだろうか。

早くもEP9の公開が待ち遠しい限りである。


評価 85点

2017年12月22日 劇場鑑賞

  • いろいろと衝撃的なSWでしたね。
    ルークの戦いがカッコよかったので満足しましたが、あとになってじわじわと「いや、ないない」という思いも出てきました。
    でもなんやかんや言ってもSW!楽しかったのも事実。
    過去キャラの退場っぷりから新しいSWを作ろうという熱意は伝わってきました。
    新時代のSWがこの路線というなら、それでもとことん付き合う気持ちです。

    TBヨロシクです。

    どらごんづ★

    2017/12/28(木) 午後 4:39

    返信する
  • 顔アイコン

    ルーク・スカイウォーカーは、私の青春のヒーローです。あんな偏屈なオヤジになってほしくない!(笑)

    明らかに旧作からの決別を宣言している映画で、それを頭ごなしに否定するのは、確かにどうかと思いますが、このシリーズを支えている神話的宗教的な隠し味がやはり薄れてしまっているように私は思いました。これは、ライアン・ジョンソンとジョージ・ルーカスの教養の差だと私は思います。

    猫

    2017/12/30(土) 午後 9:08

    返信する
  • どらごんづさん♪

    まさに衝撃的と言う言葉に相応しいSWでした。
    僕とどらごんづさんではSWに対する熱量が違うので、僕はこんなSWも全然ありだぞ!!って感じですが、物凄く好きな人からすればどうしても納得出来ない部分は多いでしょうね^^;
    色々と難のある今回のSWですが、どらごんづさんが仰るように新しいSWを作ろうと言う意思は強く伝わったので、それを個人的には応援していきたいです。

    TBありがとうございます!!

    れじみ

    2017/12/31(日) 午前 6:57

    返信する
  • 猫さん♪

    時の流れは思っている以上に残酷です。素直に受け入れましょう(笑)
    それにしても本当に偏屈なおじいちゃんになってましたね(笑)

    それは元々SWに対して何を期待しているかによるでしょうね。
    猫さんのように作品に対して深みを与える要素を求めているなら否定的になってしまうのかもしれませんが、個人的には好きなキャラクターが好き放題やっているのが好きなので、今回の作品は大いに楽しめました。
    ライアン・ジョンソンとルーカスの教養の差についてはちょっと分かりません(笑)

    れじみ

    2017/12/31(日) 午前 7:12

    返信する

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