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2009年/韓国/129分 ★★あらすじ★★ 静かな田舎町。トジュンは子どものような純粋無垢な心を持った青年。漢方薬店で働く母にとって、トジュンの存在は人生の全てであり、いつも悪友のジンテと遊んでいることで心配の絶えない毎日だった。そんなある日、女子高生が無惨に殺される事件が起き、容疑者としてトジュンが逮捕されてしまう。唯一の証拠はトジュンが持っていたゴルフボールが現場で発見されたこと。しかし事件解決を急ぐ警察は、強引な取り調べでトジュンの自白を引き出すことに成功する。息子の無実を確信する母だったが、刑事ばかりか弁護士までもが彼女の訴えに耳を貸そうとしない。そこでついに、自ら真犯人を探すことを決意し行動を開始する母だったが…。★★allcinema ONLINEより★★ ※ネタバレしているかもです!!勘のいい方は絶対分かります。 ご注意ください。 昨年は巷で大変な映画豊作年との呼び声が高く,そんなものか,と思っていたのだが,確かに好き嫌いは別にしてもガツンとくる作品が多かったと思う。 対して今年(2009年)はイマイチインパクトに欠けるというか,いやーそこそこ面白かったんだけどね,的感想ばかりが(わたしの中で)目立つという,微妙といえば微妙な年であった。今年に比べたらそりゃ去年は豊作だったよねぇ,と今更ながらに思うのだ。 しかし今年も残すところあと二ヵ月となったところでドカンと一発これが来たか,と鑑賞後一気に力が抜けた。鑑賞しながらどうしても力が入ってしまうのだ。 監督は【殺人の追憶】【グエムル-漢江の怪物-】のポン・ジュノ,そして何よりウォンビン兵役後五年振りの復帰作として話題になった。 五年振りということで本当にお久しぶりのウォンビンだが,作中「あの瞳は奇跡よ」と言わせる「小鹿のような」ピュアな瞳が強い印象を与える。 その「奇跡」的な「小鹿のような」瞳を片方手で覆い,片目だけで射抜くように見詰めながら過去のある出来事を語るシークエンスは,思わず固唾をのむ。母の絶望と,思い出してしまった息子の絶望が重なるが,だが息子(ウォンビン)はまたこのことをすぐに忘れるのだろう,しかし母は息子が覚えていたという衝撃を,絶望とともに生涯背負っていかなければならないというやり場のなさ感が辛い。 この「母」を演じたキム・ヘジャの存在感が凄い。個人名はなく,ただ「母」として存在している感じなのだが,女性にとっても男性にとっても,多分「母」とはこんな感じなんだろうな,という雰囲気を見事に演じている。女性は自分が母になった姿を重ねるのだろうし,男性は自分の母を彼女にみるのであろう。 無償の愛というには生臭い,共依存を超えた近親相姦に近いような愛が,冒頭薄暗い漢方薬店で薬を刻みながら表の息子を窺う母から濃厚に醸し出る。 バカと言われたら怒りなさい,と母は繰り返し幼いトジュン(ウォンビン)に言い聞かせてきたのかもしれない。それは障害があるからと健常者にバカにされることをトジュンが受け入れないこと,馴れないこと,それは不当だと訴えること,つまりは周囲に負けない意思を持つことだっただろう。この子を守って生きていく,ということは,相当の覚悟がいることだ。 しかし,その思いが裏目に出た。信じがたい真実を知った時,人の衝動がどこにいくかという波のようなものに説得力があると思った。嘘だ!と強烈に信じたいことがあるとき,それに反する発言をした人に対して嘘つき!嘘つき!!と衝動的に感情が爆発するのはわたしにとってとても説得力があった。もともとがそんなに理性的な人間ではないので,あの感情凄くわかるのよ,と言ったらヤバいけど(笑)。 ポン・ジュノの作品を観るといつも思うことなのだが,役者に魅力があったと思う。殺人の〜のソン・ガンホ,キム・サンギョンの顔力は普通じゃなかった,グエムル〜のソン・ガンホ(またかよ:笑),ペ・ドゥナ,パク・ヘイルの捨て身の演技も忘れ難い。割と正統派美男美女は使わない(すみません)のかと思っていたらいきなりウォンビンですよ。 しかし今回はウォンビンも「こいつ純情な振りして意外にバッくれてんじゃね?」的な胡散臭さを出しつつ,あの「小鹿のような」瞳で周囲を取り込んでいく演技がはまっていたと思う。監督曰く「今まで僕の映画に出てくれた中で一番のイケメン」だそうですが,それを言っちゃ各方面差しさわりが出るのでは(笑)??ウォンビンの兄貴役のチン・グも途中何かが降りてきているのでは,という感じだった。遊園地のシーンなど,秀逸。 しかしこのイケメン(?)ウォンビンがまたいつ思い出すか分からない状況で生きていかなければならないキム・ヘジャの生き地獄を思うと胸が詰まります。わたしならもう耐えられないかもしれない。それでもこの母子はこうして生きていくのでしょう。映画ならでは,という物語は今年ピカ一かも。しかし後味の悪さもピカ一ですわ・・・ 尚,液体が零れ出る映像が繰り返し使われるのにも注目。覆水盆に返らず,ということですか。
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凄い映画でしたね。でも正直、かなり参ってしまいました・・・。
こういう映画を作ってしまっていいんだろうかとさえ思えて。
キム・ヘジャとウォンビンの演じる親子の絆も、他者の視線とか全く眼中になくて、凄い迫力でした。本当の母性ってこういうものか・・・と驚愕でした。
後味はかなり悪かったですが、ベストに入る映画でしょうねー。
TBさせてくださいね。
2009/12/3(木) 午前 10:22
かりおかさん。コメントをありがとうございます!!
好き嫌いは別として,ガツンとくる映画でした。しかもすべて計算されつくしているというか,何というか・・・わたしも正直参りました。二度は観たくない,と思いました・・・
母性のあり方が何かを超越しているような感じでしたね。
キム・ヘジャもウォンビンもエラい迫力でしたね・・・特にウォンビンはかなーり初期の脇役でチラっと出ていたドラマを見ているので,あの棒読み棒立ちで犬の散歩してた人と同一人物か,と思いました。
わたしもTBに伺いますね!
2009/12/6(日) 午後 11:54 [ wxrfd775 ]