宇田川耕一の「天まで昇れ札響通信」

札幌交響楽団の更なる飛翔(昇天ではありません)を願い、ほぼ全てのコンサートをレビュー!

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プレイバック09年⇔08年度定期演奏会の締めくくりはブラームスとベートーべンの名曲による重厚なプログラム。客演のハンス=マルティン・シュナイトの指揮、ソリストに07年チャイコフスキー国際コンクールで優勝したバイオリンの神尾真由子を迎えた(3月20、21日、キタラ)。
 
前半はこのジャンルでも屈指の名曲として知られるブラームスのバイオリン協奏曲、実力者の神尾にはピッタリの選曲である。札響は抑えた音色で静かに曲を開始した。シュナイトの指揮はゆったりとしたテンポ設定が特徴である。札響の透明感あふれる音色と相まって、テンポは遅いが粘らない独特の世界が現れた。

そこに決然とした神尾のソロが加わると、音楽が一段階深くなる印象である。とにかく気迫が尋常ではない。音色が美しさを失うギリギリのところまで、ひたすら集中してバイオリンを鳴らしきる様子は、聴き手にも並々ならぬ緊張を強いる。それでも音楽が窮屈にならないのは、シュナイトが指揮する札響による豊かな響きに包まれているためだろうか。逆にその緊張が心地良く感じられるほどであった。 

後半のベートーベン交響曲第6番「田園」は、ソリストがいないこともありシュナイトの意図はより徹底していた。前半同様ゆっくりとしたテンポで、今はあまり聴かれなくなった巨匠的な演奏になっていた。しかし、首を傾げるような瞬間もあった。特に1日目は札響が指揮に完全にはついていけず、3楽章ではアインザッツ(フレーズの出だし)が揃わないところもあった。2日目はかなり改善されたとはいえ、違和感を拭うところまではいかなかったのが残念である。

全曲の終結部での祈るようなシュナイトの指揮はすばらしく、強く印象に残った。いずれにせよ、きわめて個性的なシュナイトとの共演は、札響にとっては新鮮かつ貴重な体験になったのではないだろうか。
 
※当コラムは新聞掲載記事をもとに、筆者自身がリライトしております。オリジナルの著作権は写真(筆者撮影)も含め毎日新聞社にあります。無断転載は固くお断りします。

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