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2010年度の定期演奏会シーズンは、首席客演指揮者ラドミル・エリシュカによるチェコ音楽で開幕した。曲目はドヴォルジャーク序曲「謝肉祭」、「交響曲第5番」、そしてヤナーチェク「シンフォニエッタ」 である(敬称略)。17日昼の公演を聴いた。
ドヴォルジャーク序曲「謝肉祭」 ★★★★
ヤナーチェク「シンフォニエッタ」 ★★★★☆
ドヴォルジャーク「交響曲第5番」 ★★★★★
(10点満点 ★=2点 ☆=1点) エリシュカと札響の幸福な出会いと絶妙な関係については、すっかり有名になった。とはいえ、華やかなスター指揮者ではなく、英語もほとんど話せない。そのためリハーサルも当初は困難が多かったが、共演を繰り返すたびに、意思の疎通もスムーズになってきたようである。 以前に練習風景を見たが、とにかく妥協しない指揮者である。自分のイメージが強固にあって、ひたすらそれを実現しようとするプロセスの繰り返しである。ただ、その表現の仕方に嫌みがなく、作品の偉大さに迫ろうとする強い意欲が伝わるので、団員も(楽ではないだろうが)しっかりとついていく。今回は、演奏機会の少ないドボルジャークの交響曲第5番がメインということで、エリシュカの要望により練習日も一日多く取ったという。ここまでの準備をした演奏が、悪かろうはずはない。 そして本番はその期待通り、いや期待以上!まさにシーズン開幕に相応しい、目を瞠るような美しい演奏となった。 「謝肉祭」序曲冒頭から、やや硬質ながらも雰囲気のある豊かな音楽が流れ出す。尾高忠明音楽監督や高関健正指揮者が指揮する札響とは、音色も微妙に違う。これが一年間を通して同じオーケストラを聴き続ける醍醐味でもある。
「シンフォニエッタ」は、かつてチャールズ・マッケラスがチェコ・フィルを指揮した実演を聴いたが、それと同等か、あるいは上回る快演。ただ、金管のバンダが舞台後方のP席に並んでいた(そのため、筆者の定期会員席・定位置から移動した)ため、金管が少し強すぎるような気がした。エリシュカの指示だろうが、この音量バランスだけは不満が残った。
今回最も感動したのは、念入りな練習を積んだというドヴォルザークの交響曲第5番である。実演では久しぶりに聴く曲なので、自宅で先日亡くなったオトマール・スウィトナー指揮シュターツカペレ・ドレスデンのCDで予習して臨んだが、この演奏なら初めて聴く人にも曲の良さが伝わるだろう。 やや冗長な感もある終楽章も、このコンビの手にかかるとスリリングな展開になる。特に民族色を強調した演奏というわけではないのだが、とにかくテンポがピタリと決まっているので、佇まいが美しい。背筋がピンと伸びた演奏で、80歳近い老巨匠の指揮による音楽とはとても思えない。
この日キタラに足を運んだ私は、本当に幸運であったと思う。
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