宇田川耕一の「天まで昇れ札響通信」

札幌交響楽団の更なる飛翔(昇天ではありません)を願い、ほぼ全てのコンサートをレビュー!

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指揮とお話に「アキラさん」こと宮川彬良を迎えた特別演奏会「アキラさんのモダン・コンサート2010」を聴いた。アキラさんの名編曲と新井鴎子の巧みな構成は今回も見事に決まり、理屈抜きで楽しめる2時間となった(敬称略)。
 
「第1部」ミュージカル、スクリーンから ★★★★☆
「第2部」東京・大阪 そして札響 ★★★★
(10点満点 ★=2点 ☆=1点)
 
大型連休入り直前、しかも例年になく寒く小雨がぱらつくという最悪のコンディションで、毎回完売を誇るこの公演にも今回は若干の空席が見られた。それでも人気はさすがで、ステージ袖からアキラさんが登場するだけで、自然に拍手と笑い声が起こる。
 
タイトルからは分かりにくいかもしれないが、このコンサートは、ポピュラー音楽やクラシックの名曲をフル・オーケストラにアレンジして聴かせるという、いわゆる「ポップス・コンサート」とは一味違う工夫が加えられているのが特徴である。
 
たとえば、前半の第1部では「半音」をテーマに、作曲家が「愛情表現」にいかに「半音」を上手く使っているかを、自らピアノを弾きながら解説する。ベートーヴェンの「エリーゼのために」を用いて、出だしのフレーズを「うじうじうじうじじ〜」と節をつけながら弾き語りする。それだけで、いかにもベートーヴェンらしい、不器用な愛情表現が一発で客席に伝わる。
 
その解説があればこそ、ルグラン:シェルブールの雨傘やマンシーニ:ひまわりなどの選曲が生きてくる。これらの曲にも、確かに半音が効果的に使われている。作曲家・宮川彬良の分析力が、このコンサートを一本筋の通ったものにしているのである。
 
後半の第2部も同様の趣向だが、こちらはやや凝りすぎの感もあった。「東京ドドンパ娘」などは、もう少しストレートな表現でも良かったのではないかとは思う。しかし、ここでもアキラさんの意図は徹底していて、「表現者としての強い意欲」は十分に伝わった。
 
プロ中のプロによる、表面的には面白いがじつは真剣な再現芸術の凄みに、思わず背筋を伸ばす瞬間が幾度となくおとずれた。

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