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夜の上海、繁華街中心にあるホテルの近くの路上で、何やら耳元でささやくように話し掛けてくる女性
数名に出会った。「その手の商売」の女性だった。その時、その言葉に少し訛りがあるのに気づいた。
しかも、何となくその中国語がたどたどしいかんじなのだ。それ以上のことは何も聞かなかったが、
(もちろん何もしてませんよ。)後から知り合いの中国人に聞いたところによると、彼女らは実は北朝鮮
からの脱北者だという。
命からがら、北を脱出したのはいいが、中国に身を隠し、公安の追及や密告を逃れるうち、闇ブローカー
らに足元を見られ、人身売買に転落することを余儀なくさている北の女性が実に多いのだという。
経済発展著しい、華やかなネオン輝く中国各地の花街で夜な夜な春を売る脱北女性たち・・・。
香港に近い広東省にも相当の数の北の女性が売られて来ているという。
「キミ、どこの出身?」
「東北です。私、実は朝鮮族なんです。」
「はぁ、どうりで訛ってると思った。」
というかんじだろうか。
国を捨て隣国に逃げ、身を隠し挙句の果てに身を崩す−、そんな女性たちが大勢いることを、ミサイル
発射ボタンに手をかけたあの暴君は知っているのだろうか・・・。
ミサイルが飛んできたあの日、テレビのニュースを見ながら、僕は上海のホテルの前の路上で会った女性
たちのことを思い出していた。
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