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「衝撃の本」というのは、そう人生の中で何冊も出会う訳ではないが、この本はまさしくその中の一冊で
あろう。何かの雑誌か新聞のブックレヴューで紹介されているのをフト目にして、読みたいと思っていた
本だったが、最近、近所の図書館で見つけてさっそく読んでみた次第。
「ほんと凄いよ。空を見ると渦まいている。火っていうのは風を呼ぶんだ。煙がモウモウと凄いところま
で上がって太陽を隠してしまう。それで火がウオオと唸っている。火の粉がたくさん舞い上がってね。
凄いもんだよ。鶏の叫ぶ声もするし、子供は泣き叫ぶし、女性の叫ぶ声も聞こえる。阿鼻叫喚の地獄だ
よ。想像を絶しているよ。今でも忘れられないね。」(文中より抜粋)
86歳の普通のどこにでもいるような、人の良さそうな温厚な雰囲気の下町のおじいちゃんがかつて、
元「日本兵」として中国大陸で経験した戦争体験を赤裸々に語った書。
「日本はとにかく悪いことをした、でも・・・。」
その「でも」の部分を肯定的、かつ、結果としてよかったじゃないか論 を呈する傾向が強い昨今。
ただ、どちらの論を支持するとかではなく、僕が知りたかったのは僕らの祖父たちが、本当に「そういう
ことをやったのか。」という事実だけ。
偏らず、ただありのままの過去の事実を知りたいだけ・・・。
その事実を知っている人たちは年々高齢化し、この世を去りつつある。 それを語ってもらえるのは今し
かないだろう。だから、金子さんが語った話しは衝撃だった。吐き気をもよおすくらいに・・・。
●「金子さんの戦争」 熊谷伸一郎著 リトルモア刊
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