ドイツの生活 Mein Leben in Deutschland

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Oji-chan

父はもう一人暮らしをすることはできないので、姉と私で
実家の片付けをしています。姉も私も大学を卒業してまもなく
独立したので、実家にはもう十何年も住んでいません。近所の
住人はずいぶん入れ替わっていて、昔から知っている方は
ほとんどいなくなってしまいました。朝早くやってきて、大量の
ゴミを出す私は「謎の女」と思われているに違いありません。

ある朝、いつものようにゴミ出しをしていた時のことです。私と
同年代くらいの女性からこんな風に声をかけられました。

「おじいちゃんはもうここには戻られないんですか?」

その女性はどうやら実家の向かいに住んでいる人のようです。
そういえば一度幼稚園生くらいの子供を連れているところを
見かけたことがありますが、軽く会釈をしただけでお話したことは
ありません。

父が老人だから「おじいちゃん」と言っているのかしら?それとも
私のことを父の孫だとでも思ってるの?(←それは絶対ない)
一瞬とまどった私は思わず「私の父のことですか?」と聞き返して
しまいました。

この女性が父のことを心配して声をかけてくれたのはわかりますが、
私の父はその人やその人の子供の「おじいちゃん」ではありません。
もし私が小さい子を連れていたなら、その子の「おじいちゃん」と
いう言い方はできますが、あまり面識のない人に父のことを「おじいちゃん」
などと呼ばれるとちょっと不愉快な気持ちになってしまいます。

電車やバスで席を譲られたお年寄りが「おばあちゃん、どうぞ」と言われ
て気分を害した、なんていう話をよく聞いたことがあります。ドイツでは
それほど親しくない(大)人に対しては、相手が何歳だろうが必ず苗字に
「Herr (Mr)」や「Frau (Ms)」をつけて呼びます。日本なら距離のある
相手のことは「さん付け」で呼ぶのが普通ではないのでしょうか?

私の実家は最寄の駅からバス便利用のとても不便な住宅地にあります。
そういうところに住んで、専業主婦として社会から隔離された生活を
送っていると、そういう常識感が失われていってしまうのかしら?
でも、もしかしたらこの人がただ単に何も気にしない人なのかもしれません。
それともこんなことは大したことではないのに、いちいち気にしている
私の日本語感、あるいは常識感がすでにおかしいのかもしれません。

たったこれだけの会話だったのに、いろいろなことが頭をめぐりました。
どちらにしてもドイツで専業主婦をしていて、あまり付き合いの広くない
私はありとあらゆる感覚が相当ずれている可能性があるのは確かです。
帰ったらやっぱり仕事を探したほうがいいかな?でももっとドイツ語も
勉強しないとな。あれこれ考えつつ、早くドイツに帰りたいと思う私でした。

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