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うちの父はまるで巨人の星に出てくる星一徹みたいな人 でした。私が子供の頃、まだダイニングテーブルを使って いなかった時代があって、父はリアルにちゃぶ台をひっくり 返したりしていました。厳しくて殴られることもしょっちゅう だったので、こんな横暴な親父からさっさと独立したいと いつも思っていました。 両親ともに子離れしていたのか、それともただ単に自分 勝手な親だったのかわかりませんが、学校を卒業してからと いうもの、こちらのお願いを聞き入れてくれることはほとんど ありませんでした。私が海外で生活している時に「○○を 送って」なんて頼んでも日本から小包が届くことはまず なかったし、日本に戻ってからも、たまには家族で外食 でもしよう、なんて言うからホイホイ出かけていけば、 支払うのは私だったり。 社会人になってから、親に何かを買ってもらったなんて こともなく、こちらが仕送りをしていたくらいなのですが、 ある時父がふらっと私のマンションにやってきて、どういう わけか小さな「浅漬けポット」を置いていったのでした。 最初は何これ?と思いましたが、もしかしたら一人暮らしで 野菜が不足がちになるからとわざわざ買ってくれたのか、と 勝手に納得することにしました。 何も言わず無言で「浅漬けポット」を置いていった父。 そこに口下手な父親の愛情を少しだけ感じました。早速 スーパーで浅漬けの素なる液体を買ってきて、カブだの きゅうりだのを漬けてみることにしました。けっこう簡単に おいしい浅漬けができるので、私は浅漬けにはまり、父から もらったこの浅漬けポットは愛用品となりました。 ドイツに来るときも迷わずこの浅漬けポットは船便で送り ました。割れずに無事届いたときにはなんだかとっても 嬉しかったのを覚えています。しかし、ドイツには日本の ようなカブは売っていないし、大根もスが入っていたり、 きゅうりはでっかすぎるし、それよりもなによりもトビが あまり漬物が好きではないようなので、浅漬けポットが 活躍することはありませんでした。 今回、日本に一時帰国した際、姉の家で偶然、収納戸棚の 中に箱に入ったままの「浅漬けポット」がしまってあるのを 見つけました。それは私が父からもらったものと全く同じ ものでした。「あ、これ、もしかしてお父さんからもらった んじゃない?」そう姉に聞くと、姉は迷惑そうな顔をして 「ずいぶん前にさ、どっかのスーパーの閉店セールで300円 だったからって持ってきたんだよね。実家にも3つくらい 転がってたよ。」と言いました。 なんだ、そうだったのか。私の食生活を心配して買って くれたんじゃないんだ…。ただ単に安かったからまとめ 買いしただけなんだ…。無言の愛でもなんでもなかった…。 まぁ、冷静に考えればあの父親が私の食生活の心配など するはずもないのですが…。あはははは〜。 さて、日本の暑さにすっかり夏バテしてしまった私。ドイツに 戻っても食欲もなく身体もなんだかダルくて仕方がありません でした。こんなときはやっぱりお酢が一番です。久しぶりに 浅漬けを漬けてみることにしました。こっちには浅漬けの素 なんてない(あっても高い)ので、適当にりんご酢に砂糖、塩、 だしの素を混ぜてラディッシュを漬けてみました。そうしたら けっこう上手に漬かりました。さっぱりしておいし〜。 父親がくれたこの浅漬けポット。どういう理由で父が買ったと
しても、私はずっと愛用していくことでしょう。そうだ、 デュッセルドルフにも持っていこうっと。 |

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