ドイツの生活 Mein Leben in Deutschland

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Sommerblumen

暑い夏は、両親のことを思い出します。母が亡くなったのは、8年前の暑い夏の日だったし、その後一人
暮らしをしていた父が倒れて、姉と病院や役所を駆けずり回ったのも夏のことでした。子供の頃のことを
思い出すのも夏のシーンが多いです。それも何故か、引越しをする前の、それは私が8歳の頃のこと
でしたが、4畳半と6畳二間の狭い市営住宅に住んでいた頃の夏の思い出が多いです。まだ幼かったので、
父との関係がそれほど悪くなかったから、かもしれません。

我が家の夏の食卓の定番は母が漬ける『ぬかみそ』漬けでした。母は毎年夏になると新しくぬか床を作って
いました。漬け始めの頃は上手く馴染まないのですが、夏も本番になってくるにつれて、母の『ぬかみそ』は
美味しくなっていきました。近くの農家で新鮮なナスやキュウリが手に入ると母は嬉しそうでした。特にナスは
見事な色に漬かるので、母はいつも得意げに「綺麗な色につかったねぇ」と言いながら『ぬかみそ』漬けが
盛られた器を食卓に運ぶのでした。私と姉はそれを待ち構えていて、競うように箸でつっつき、『ぬかみそ』
漬けをおかずにご飯をもりもり食べました。夏の終わり頃になると、ぬか床に残された『古漬け』が増え、母は
それを細かく刻んで水にさらし、ショウガのみじん切りと一緒に和えました。父は普段はほとんど『ぬかみそ』
漬けを食べませんでしたが、この古漬けだけはお茶漬けの友として好んでかっ込んでいました。

『ぬかみそ』漬けにお醤油をかけすぎると「塩分の取りすぎになる」と注意され、綺麗な色のナスばかりを
つっついていると、「そうやって選るんじゃないの」と怒られました。『ぬかみそ』漬けとご飯ばかりいっぱい
食べすぎて肝心のおかずが食べられなくなってしかられたこともありました。これらの記憶の中の食卓
シーンは、ダイニングテーブルではなく、ちゃぶ台の上で繰り広げられています。


さて、モザイクの作品に「意味を込める」ことの重要性が書かれた本を読みました。今の私には伝えたい
政治的、あるいは哲学的なメッセージはなく、好きだから(例:黒猫)、綺麗だから(鳥と花)、おもしろいから
(フンダートヴァッサー風)という理由だけでモチーフを選んでいます。それも自然に頭に浮かんでくるもの
なのですが…。

IKEAで買った安物の鏡にモザイクを施そうと思い、あれこれ考えていたら、2色使いのシンメトリーな
感じにしたくなりました。どうしてかはわかりませんが、何かを見てそんなアイデアが頭の中に残っていた
のでしょう。その2色を何色にしようか、と悩んでいた時、「意味を込める」ということを思い出しました。ふと
何か特別なメッセージでなくても、個人的な出来事や思い出に結びつけるというのもアリだ、と思いました。

そして選んだのが紫と緑。この時期、母の命日にちなんで作るモザイクの色は、そうナス色とキュウリ色。
もう二度と味わえない夏の食卓の思い出の色に決めました。ただし、モチーフはナスとキュウリでは少々
絵にならないので、なんとなく桔梗もどきの花にしてみました(母が桔梗が好きだったかは覚えていません)。

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