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ぼくは非公式ながらケルン音大においてある記録を保持しています。
それは「入試演奏最短記録」!!(笑)
誰もがさっさとすませたい入試の実技試験。
ケルン音大では20分のプログラムを組んでくるように指示されています。
当然ぼくも20分のプログラムを組んでドキドキの入試に挑んだのです。
さあ、自分の番。
部屋に入ってまずはていねいにお辞儀。
もうカッチンコッチンに緊張していたのは言うまでもありません。
プログラムはあらかじめ提出してあったので、そのままいすに座り呼吸を整える。
まずは指の感覚を取り戻す意味もあってそれほど難しくなくて短いプレリュード。しかし、その1曲を弾き終わったとたん、もうびっくりするくらいの拍手。
みんな「ブラボー!」とか言ってるし、もう何が何だか分からない。
しかも、「もう弾かなくてもいいよ」とか言ってる。
まだドイツ語もあまり出来なかった頃なので、もうパニック!
「1曲で帰れってことはダメだったってこと???」と思いましたよ。
あわてて、「せっかく20分準備してきたんだから全部弾かせてください!」と言いました。
すると、ガンバの教授(ライナー・ツィッパリング/18世紀オーケストラとかで弾いてます)が
「合格したんだからいいじゃないか!」とおっしゃってくださって、やっと落ち着きました。
さて、ぼくが演奏した時間は・・・・たったの20秒!
なぜそんなに短い演奏時間で合格できたのか?
それは、リュート科の試験はギターとガンバと一緒にやるのですが、リュート科はその中でも一番最後、しかもその年はやたらと志望者がいたらしいのです。
みんな朝から延々と続いた試験演奏を聴くのにすっかり疲れ果ててしまい、
どうにかして早く家に帰りたいということしか頭になかったらしく、
「合格したんだからいいじゃないか!」には続きがあって、
「もう朝からずっと君らの演奏を聴いていて、疲れ果てた。もう何も聴きたくないんだ。」
そう言われて試験官たちの顔を見ると、みんな早く家に帰りたいって顔をしている。
20秒で良いと言われれば、確かにそれに越したことはないけれど、20分ものプログラムをがんばって準備した労力が報われないようで、何か腑に落ちない感じがしたのでした。
20秒なんて曲自体、試験用に準備する人もいないでしょうから
この記録はそう簡単には破られないと思う。
こんないい加減な入試をしているからと言って、うちの音大は別にいかがわしい学校ではありませんよ〜。
ちなみにその時の試験官は先にでてきたツィッパリング先生のほかに、リュート科のユンクヘーネル先生、ギター科からはロベルト・アウセル先生、フーベルト・ケッペル先生がいらっしゃいました。
今となっては懐かしい思い出です。
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