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東北地方太平洋沖地震

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 原発事故を巡って、去年3月末、政府が、原子力委員会の委員長から、「深刻な事態に陥れば、首都圏を含む範囲での住民 避難などが必要になる」という内容の文書の提出を受けながら公表を見送り、去年末まで情報公開の対象にしていなかったことが 分かりました。

 民間の有識者で作る原発事故の調査委員会は、この間の経緯について詳しく調べています。

■“最悪の事態”首都圏避難も


 公表されなかったのは、原子力委員会の近藤駿介委員長が、原発事故から2週間後の去年3月25日に政府に提出した、「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」というタイトルの文書です。

 近藤委員長によりますと、この文書は、当時の菅総理大臣からの要請で作成したもので、今後起こりうる不測の事態とその影響、 それらを防ぐためにとるべき対策が記されています。

 不測の事態としては、原子炉や使用済み核燃料プールに注水できなくなって、格納容器が壊れたり燃料が露出したりすれば、大量の放射性物質が放出されることも想定されるとしています。

 こうした事態が起きた場合、住民を強制的に移転させる範囲が半径170キロ、任意の移転が必要になる範囲が半径250キロと、 首都圏を含む範囲での住民避難などが必要になる可能性があり、こうした事態を防ぐため、原子炉を冷やす手段を多様化する 必要があるなどと対策を示しています。

 文書に記された内容を巡って、菅前総理大臣は去年9月、NHKとのインタビューの中で、最悪の事態を想定したシミュレーション を行っていたと明らかにしていますが、当時、「過度の心配を及ぼす可能性がある」などとして、公表は見送られました。

 また、文書は、去年末になって原子力委員会の事務局に保管されているのが偶然見つかるまで公文書として扱われず、情報公開 の対象になっていなかったということです。


 この間の経緯については、民間の有識者で作る「福島原発事故独立検証委員会」=民間事故調も強い関心を寄せていて、 当時の政府関係者などからヒアリングを重ね、詳しく調べています。

■“菅前首相の要請で作成”

 公開された文書は、原子力委員会の近藤駿介委員長が去年3月22日に政府の要請を受けて作成し、25日に提出した ものです。

 要請を受けたときは、福島第一原発で1号機や3号機の水素爆発が起きたあと、各号機に海水を注水して原子炉を冷やしながら、 外部電源の復旧作業が進められる一方で、燃料プールを冷やすため、連日、消防などによる放水が繰り返されていた時期です。

 文書は表紙を含めて15枚あり、今後、起きうる不測の事態を想定したうえで、その際の周辺への影響のほか、不測の事態を防ぐ ために検討すべき対策が記されています。

 このうち不測の事態は、1号機の原子炉の内部で水素爆発が起きて原子炉へ注水できなくなることをきっかけに、付近の放射線量 が上昇して、作業員が待避せざる得なくなり、4号機の燃料プールに注水ができなくなって燃料が露出し、溶け出すことを想定して います。

 同時に2号機と3号機も、原子炉に注水できなくなり、最終的には格納容器が壊れて、放射性物質が外に漏れ出すとしています。

 さらにこうした事態が起きた場合、放射性物質の放出に伴って、住民を強制的に移転させる必要がある範囲が半径170キロに、 任意の移転が必要になる範囲が半径250キロに及ぶとしています。

 そのうえで、こうした事態を防ぐ対策として、最初のきっかけとなる水素爆発を防ぐために、格納容器を窒素で満たす対策が重要だ としたうえで、原子炉を冷やす手段を多様化することや、当時、原子炉に入れていた海水を淡水に切り替え、水源を確保することが 必要だと指摘しています。

 近藤委員長は「文書は3月22日に当時の菅総理大臣の要請を受けて作成した。最悪のシナリオ』を想定するのが目的ではなく、 起きうる不測の事態を考え、それを防ぐために検討すべき対策を示すのが目的だった」と話しています。

■“公文書”管理に問題は

 近藤原子力委員長が作成した文書は、去年3月に政府に提出されてから去年末まで公文書として扱われず、情報公開の対象 とされていませんでした。

 この文書は去年3月25日、当時の総理大臣補佐官の細野原発事故担当大臣に提出されました。

 その内容について菅前総理大臣は、去年9月、NHKとのインタビューの中で明らかにし、細野大臣も、ことし1月6日の記者会見で 「知っているのは総理と私程度で、そのほかに出していなかった。過度の心配を及ぼす可能性があると考えた」などと、公表しなかった 理由を説明しています。

 こうした事情から、総理大臣の任務を補佐する内閣官房や内閣府も、この文書の存在を把握しておらず、公文書として管理して きませんでした。

 こうしたなか、去年末、情報公開請求が行われたのをきっかけに、原子力委員会事務局が文書を探した結果、偶然、一部 見つかり、初めて公文書として扱われることになったということです。

 総理大臣の職務を補佐する内閣官房では、「総理大臣や補佐官が個人的に受け取った文書については把握しきれず、指示が ない場合は管理できない」としています。

 また、現在、この文書を保管している原子力委員会事務局は「委員長が個人的に作成したもので、本来は原子力委員会として 保管する文書ではない。今回は偶然事務局で見つかったので保管している」という見解を示しています。

 国際政治が専門で、政府の公文書管理の実情に詳しい、流通経済大学の植村秀樹教授は、今回の文書について、「公人が 公人に提出したもので、本来、内閣官房、原子力委員会の両方で保存すべき公文書だ。アメリカなどでは、このレベルの文書は、 出した側、受け取った側の両方が保存している。総理や補佐官に対して提出された文書については、完全な『私信』以外は、すべて 公文書であるという認識を持ち、保存・管理してもらいたい」と話しています。

 
 

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