調査の結果、データの改竄はそれほど深刻なものではないようだが、全地球の大気の状態についての大規模なシミュレーションには大きな不確実性があり、これを政策の根拠とすることには疑問も多い。
だが、この報告書には批判が多い。2.8度ぐらいの気温上昇で世界のGDPが20%も失われるという被害想定も疑問だが、最大の問題は100年後の被害のコストをほとんど割り引かないで政策コストと比較していることだ。
長期プロジェクトの効果を評価する時は、毎年3%ぐらいの割引率を使うのが普通である。これによれば、100年後にの完全実施によって被害が防止される効果を1兆ドルとすると、その割引現在価値は約500億ドルで、対策のコスト1兆ドルを大きく下回る。
政治的に決められた排出枠は日本の損失
それでも国民が損失を承知で温暖化対策を実施したいというなら、民主主義のもとではやらざるを得ない。この場合、か排出権取引かという政策が問題である。
課税というのはありふれた政策手段で財政的にも望ましい。一方、排出権取引のためにはエネルギー関連のあらゆる企業に政府が介入し、排出権を割り当てる統制経済が必要になる。
排出権取引は、もともとやを防止するために考案されたものだ。米国の一部の州で実施されているが、その考案者も「これはローカルな制度で、国際的な排出権取引は不可能だ」と反対している。排出量の正確な測定やペナルティが実施できず、中国やロシアなどが詐欺的な取引を行なう恐れが強いからだ。
かといって、国内だけで鳩山イニシアティブを実現しようとすれば、政府の推定でも新車の90%をハイブリッド車にし、ガソリン価格を数倍にし、すべての住宅を断熱住宅に改築するよう義務づけるなどの大規模な統制経済が必要で、GDPは3.2%も下がる。
根本的な問題は、CO2の排出枠が政治的に決められていることだ。で定められた排出削減基準には科学的根拠がなく、その割り当ても各国でバラバラだ。
削減基準が1990年に決められたのは、東欧の編入によってCO2の排出量が大幅に上がったタイミングを、欧州が政治的に利用したからだ。このため欧州は東欧の設備を近代化するだけでの基準を達成できる。
だが、世界で最もエネルギー効率が高かった日本が不利になった。削減の限界費用を欧州と均等化すると、日本は90年比で排出量を増やしてもよいほどだ。
は、科学の問題である以前に、まず経済問題である。温暖化を防止するコストがそのメリットに見合わない場合は、対策を取らない方がよい。
ただ、資源の枯渇を考えれば、化石燃料を大事に使うためにをかける必要はあろう。科学的根拠のない「総量規制」でエネルギー産業を統制経済にするより、の効果を見ながらいろいろな環境対策を総合的に実施するのが賢明だ。
来年は地球だけではなく頭も冷やして、温暖化対策の経済効果を冷静に考えてはどうだろうか。
JBpress「頭を冷やして地球温暖化を考えよう」
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▼ 「ストップ温暖化」を謳う民放連のCMには非常に違和感を感じる。
こういう狂信的な煽りCMをマス媒体で流すことは間違っていると思う。
そもそも一国ではいかんともしがたい地球全体の環境問題を自国民の生活を犠牲にしてまで行うことであろうか。戦争を止めさせるために弾の飛び交う戦場に両手を広げて飛び出すようなものだ、一種のヒロイズムで脳内花畑の人種がやりそうなことだ。
▼ 自分の区でもゴミ分別がより細かくなった、さらに一部のゴミを水道水で水洗いしてだすことなど本末転倒も良いところなのだ。
ゴミを分別して収集するコストは分別する分ふだけ倍増する、しかし分別したゴミがその後どうなっているのかそのコストに見合う成果が出ているのかという疑問が沸く。
経済性を優先させたほうが将来の日本のためには良いと思う。
まるで日本社会の死仕度のようだ。そういえば断捨離って流行っているんだけど同じような感覚なのだろうか。