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さほど遠くない将来……
もはや一部の金持ち以外、ガソリンで走るクルマを乗る物好きはいない。若い世代の中には、電気以外で動くクルマがあったことを知らない者も多いだろう。
われわれの若い頃はガソリン車がほとんどで、電気自動車の普及率は1割程度だったと思う。それが徐々に2割、3割と増えだした頃から、いくつかの問題が浮上してきたのだ。
一つ目は航続距離の問題。当時フル充電で走れる距離は300キロくらい。充電ポイントが増えてきていたとはいえ、長距離運転の際には躊躇してしまう。
二つ目は充電時間の問題。ガソリン車の場合、給油にかかる時間はせいぜい5分から10分。電気自動車は早くても30分かかり、ほぼ満タンの充電だったら1時間は必要だ。つまり充電ポイントが混んでいた場合、とんでもなく待たされることになる。「ウチに帰って充電した方がマシ」という声がよく聞かれたものだ。
三つ目はわれわれには直接関係ないが、税金の問題。ガソリン車が主流のときはガソリン税(揮発油税及び地方揮発油税)がかけられ、さらに消費税までかけられていた。二重課税じゃないのかという声にも政府は知らぬふり。「税金は取りやすいところから取る」という分かりやす過ぎるお上の方針だ。ところが電気自動車の燃料は電気なので、電気代しかかからない。電気自動車ユーザーからどうやって税金をむしりとってやろうか……と政府が考えていたかどうかは、私は知らない。
これらの問題は、いかにして解決されたのか。
まず航続距離の問題は、高密度のバッテリーが開発され、フル充電で700〜800キロ走行が可能になって解消された。これは本当に革新的な技術だと思う。ただし残念ながら充電時間の問題は解決されなかった。800キロを可能にする高密度バッテリーをフル充電しようとすると、急速充電器でも半日以上かかってしまうのだ。
最終的に選択されたのがバッテリーのユニット化だ。複数個のバッテリーが取り外し可能になっていて、充電スタンドで充電済みのものと交換する仕組みだ。そうすれば長い充電時間を待たされずに済む。
もちろんこれにはバッテリーとクルマの規格統一が必須であり、当然ながら民間企業と政府の共同事業として進められた。なもので、勝手にバッテリーを転売したり、改造を加えようとすると厳罰に処されることは言うまでもない。
バッテリーのユニット化によってガソリンスタンドだった場所は充電スタンドに変わり、雇用創出にもなった。なおかつバッテリーのユニット交換には「レンタル料」がかかり、これが税金として徴収される仕組みだ。
家庭用の電気自動車用充電器にも計量メーターがつけられ、使用料に応じて税金が課される。違法な変換器を使った一般用のコンセントからの充電は、脱税行為とみなされる。
……とまあ、こんな具合に電気自動車がわれわれの社会に浸透していったわけなのだ。
充電スタンドで洗車してもらっていると、先輩がスポーツタイプのBMWでやって来た。
「やあxxクン、洗車かい?」
「年末ですしね。先輩、いいクルマ乗ってますね」
「いや、このクルマはスポーツタイプだろ? 高性能バッテリーじゃないとマズイんで、維持費が大変だよ」
「昔で言うハイオクみたいなもんですね」
「xxクン、もうその言葉は通じないよ」
「確かに。ちなみに俺は一般タイプのバッテリーなんですが、冬場はちょっと心配ですね」
「そうだな、このクルマでもクソ寒い日に渋滞にはまったときなんかは、ひやひやするよ。ヒーターを止めようか?とか考えるものな」
「ガソリン車に乗れた頃がなつかしい……」
「忘れろ忘れろ、今や博物館か金持ちのガレージの中でしか見られんからな」
「地球温暖化の元凶みたいに言われてましたからね」
「そういえばまた1基、火力発電所の跡地に原子力発電所が建つらしいよ。クルマ社会を支えていくには電気が足りないんだとさ。石油が枯渇しているんじゃ文句も言えないしね」
「昔はあんなに反原発って騒いでいたのに。世の中は良くなっているのか、悪くなっているのか……」
「誰にも未来に関しては確かなことはわからないよ。今をせいいっぱい生きるだけさ」
「言えてますね」
今年もあっという間に大晦日になってしまいました。今日、本を少し整理していたら講談社ブルーバックスの「物理のアタマで考えよう!」が出てきたので読んでみると、バッテリーの充電密度が革新的に大きくなっても、充電スピードはそれほど上げられない、なんてことが書かれていました(自分の理解が間違っているかもしれませんが)。その記事にヒントを得て書いたのが上記の(未来での)ヨタ話ですが、テキトーな内容なのでご批判は容赦願います。だいたい電気自動車のバッテリー交換というインフラを作ろうとすると、かなり難しいハードルをいくつも解決しなくてはいけないらしいので、実現するのかどうか……
しかし本当に早い1年だった……
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