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「金平糖の降るところ」 江国香織 2011年 349頁
カリーナとミカエラは姉妹。
ブエノスアイレスで生まれ育ち、大学で日本に来た。
カリーナはそこで達哉に出会い、結婚した。
達哉の前では、カリーナは佐和子だ。
「書店員さんから絶賛の声が寄せられています」という帯で、女性の書店員さんがすごく誉めているのだけれど、
こんな姉妹が近くにいたら、みんな困ってしまうんだろうなとおかしな気分になった。
もちろん、小説としては面白くて、どうなるのかが気になって止まらないんだけど、
登場人物がすごく好きかと言われたら、そんなに好きな人は誰もいない。
「あなたは私に、どっちを浴びせてもいいと思っている。私はあなたのものだから、いつでも好きな方を無自覚に 浴びせる。・・・」「・・・私には、あなたの舌打ちと愛の言葉の区別がつかなくなっちゃったの。だってどこに違いが あるの?想像してみて。両方侮辱に聞こえるだけじゃないのよ。」
佐和子(カリーナ)のこの言葉は少し難しくて、何度か読んでみた。
ああ、確かに。
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ミスプリ発見。107ページの「アジェレン」は本当は「ミカエラ」であるべき。
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本
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「きれいごと」 大道珠貴 2011年 218頁
大道さんは結構読んできたけれど、今回はすごく私小説っぽいなと感じた。
ちょっと検索してみたら父親が自衛隊員だったことや、
その他の家庭環境が大道さん自身のものと同じだった。
古民家を買い、その壁を塗る。
50歳までに子どもを3人産む妄想などをしながら、仲の悪い家族のことや、付き合った女の人、
すごくかまってくるモチヅキさん、飲み友達(?)のゼロちゃんなどを思い出す。
アメリカ映画なんかでは、よく自分の家のリフォームを自分でやっていて、壁も塗る。
でも、日本で壁、しかも外壁を塗る人は少ないだろうな。
塗ってみたい。
無になれる気がする。
永遠に広がる平らかな壁に、これまでの嫌なことを思い出しては塗りこめ、思い出しては塗りこめる美々。
きれいごと無しのひとりごと。
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「ジュージュー」 よしもとばなな 2011年 159頁
朝倉世界一「地獄のサラミちゃん」http://www.shodensha.co.jp/fy/comic/sarami/
をこよなく愛するママが亡くなり、ステーキ屋の看板娘を引き継いだ美津子。
いろんなことがあって、今、パパと進一と夕子さんと生きている。
web上で、少し「サラミちゃん」を読んで見たけど、まだ良さがわからず…。
「ママ」が毎晩寝る前に読んでいたというのだから、すごく何かがあるんだろうが。
親に捨てられた進一の心の傷。
子どもの頃に斬りつけられ死に掛けた夕子さんの心の傷。
17歳で妊娠と裏切りと流産を経験した美津子の心の傷。
あまり細かく描かれてなくても、みんな傷を乗り越えてきたから、
今、とても優しくて、いたわりあって、仕事に人生に前向きですごい。
形が変わっても、いい状態で続いていくことが、なんだかとても心地よかった。
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「あかりの湖畔」 青山七恵 2011年 340頁
2010年7月から2011年4月までの読売新聞の連載?
私、その間ずっと読売新聞だったけど、一度も読まなかったなー。
灯子、悠、花映の三姉妹は湖畔の喫茶店&土産物屋の娘である。
母は15年前に出て行った。
悠が女優を目指して恋人の隆史君と上京、風変わりな青年・橋本君が登場。
静かな湖畔に変化の時。
地味だけど、一目置いている青山さんの作品。
地味で静かな暮らしの中に、ざわざわとしたものが紛れ込み、姉妹の関係、親子関係に
変化が出る。
じっくりじっくり進んでいったのに、母親との再会のところが忙しなく感じられた。
新聞連載だから、後半に焦りが出たのだろうか?
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「マザーズ」 金原ひとみ 2011年 457頁
ずっと、ブログをサボってしまって、ゆっくりながら色々読んだ本たちのことを
片っ端から忘れていってしまう。
あーあ。
「マザーズ」は衝撃的だったから、忘れないように書き留めます。
ネタバレ注意。
ユカ(小説家)、五月(モデル)、涼子(専業主婦)、違う境遇で育児をする三人が
認可外の保育園ドリーズルームで出会った。
育児ノイローゼの様子がとてもリアルで、今まさに育児がつらくて仕方がない人が読んだら
共感し、安心できるのではないかと思った。が、今まさに大変な人に、読書の余裕なんてあるわけがない。
育児しながら感じる小さな破片を煮詰めてデフォルメしたようなところがあり、
なんだか不安にさせる。
出産の痛みも夜泣きも一番大変な時期の育児も、過ぎてしまえば本当に忘れてしまうのだけど、
だからと言って、子育ての先輩が「たいしたことないわよ、誰でも乗り越えてきてることなんだから」なんて
言ってはいけない。子どもは百人百様で、育児は千人千様だから。
一番忘れられない場面は、五月の娘・弥生ちゃんの交通事故だ。
まるで目の前で起こっているように鮮やかな描写、私の手の中で額から血をあふれ出しているかのような
リアルな恐怖と痛み。
その後の五月の心の描写もとても丁寧で上手だった。ああ、そうだろう、きっと私もそうなるだろう。と
納得してしまう喪失感であった。
涼子が初めて虐待する場面も衝撃的だった。
いつまでも完治しない中耳炎、何をしても泣き止まない、乳腺炎で発熱までしているのに乳首を噛む息子、一弥。
誰も理解してくれない、手伝ってくれない、助けてくれない。
痙攣し動かなくなるまで蹴ってしまった。
金原さん自身はユカに近いんだろうな。
二人目が出来て、生まれ変わったように育児と家事に力を入れるユカだけは、一時的でも希望が見えてた。
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