水虫道場

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新しい薬剤

これまで、水虫を治すための薬剤(合成抗真菌剤)は数多く作られてきました。
製薬会社は数多くあるのですが、その各社がそれぞれ違う水虫薬を持っている、と言っても過言ではないほどに多いのです。
水虫薬の世界市場は1兆円を超えるほど大きいのですが、それでも類似の薬剤が多くなりすぎていて、これ以上新しい薬剤を開発しても意義がない状態になってしまっています。
また水虫(カビ感染症)はとんでもない強敵で、水虫に対して有効な薬剤がないのが実情です。
これは、皮膚の中に住み着いているカビのタネ(胞子)を殺す手段、薬剤がないからです。
このため、数年前から世界の大手製薬企業は水虫薬に関する研究から撤退しています。
例えば世界最大手の製薬企業であるファイザー社は、「優れた水虫治療剤が開発されたら、それを導入する」という基本方針を決めています。

今回は、新規な抗菌作用機序を持つ薬剤について、述べたいと思います。
安息香酸は、中国産の華佗膏という水虫薬に主成分として含まれています。
安息香酸は強い酸性を持つ物質であり、その酸性が水虫菌を殺します。
安息香酸は、酸であるからこそ水虫菌を殺すのです。

ところが、安息香酸の酸性を中和した化合物である安息香酸ソーダが水虫を治すことを見つけました。

イメージ 1

                    安息香酸ソーダ

安息香酸ソーダは中性の物質であり、酸ではないのでカビを殺す効果はないはずですが、安息香酸ソーダ溶液は水虫を治す効果を持っています。
それでは、安息香酸ソーダはどのような作用機序で水虫菌を殺すのでしょうか?
安息香酸ソーダは、水虫菌が寄生している皮膚の中でカルシウムイオンやマグネシウムイオンと結合し、これらのイオンを奪ってしまいます。
皮膚の中に寄生した水虫菌は、生存のために必要なカルシウムやマグネシウムがなくなるので、死滅します。
このように簡単なことが、これまでは知られていませんでした。

実は私の母が水虫になっていて、手の親指爪が重度の爪水虫でした。
この爪水虫を安息香酸ソーダ溶液を使って完治させました。
もう5、6年も前の話ですが、私には懐かしい思い出になっています。



現在の水虫薬3

現在、日本で一番多く使われている水虫薬はクレナフィン(科研製薬)です。
日本におけるクレナフィンの2015年度売上高は、約200億円です。

イメージ 1

クレナフィンの特徴は、爪水虫を治す外用剤である、という点にあります。
従来、爪水虫を治すためには内服剤の服用しか方法がなかったのですが、この薬剤の登場によって爪水虫を塗り薬で治すことが可能になったのです。
ただし、爪全体が菌に侵食されている場合には内服薬でないと治らないとされています。
また、クレナフィンは薬価が高く、一本の爪水虫を処理するためには3割負担で月額4千円かかるとされています。
1年間使用すれば5万円必要ですね。

クレナフィンの効果がどの程度あるのか、ネットで画像を調べて見ました。
ちょうど目についた画像がありましたので、ここに引用します。
イメージ 2

この画像では、薬剤処理を1年間行なった結果(Week 52、52週)が示されています。
処理前(Baseline)に比べると著明に改善されています。
ただし、私の目から見ると、この2例ともに水虫完治ではありませんね。
まだ菌が残っている状態です。
左の症例では、爪に縦の白い筋が残っており、この筋の一番深い部分(爪根元に達している)に菌が生きています(菌がいなくなれば、完全無欠のピンク色の爪になるはずです)。
また、爪先端部の皮膚が明らかに剥がれており、ここには重度の皮膚水虫が残っています。
クレナフィンは皮膚水虫に対する効果が良くないことがわかります。

爪や皮膚の水虫を完治させるためには、患部にいるカビのタネ(胞子)を消滅させることが必要です。
クレナフィンは、タネに対しては全く無効です。
クレナフィンの有効性には自ずから限界がある、ということですね。



現在の水虫薬2

皮膚科で使われている内服用抗真菌剤の代表選手は、ラミシール(学名、塩酸テルビナフィン)です。
テルビナフィンはノバルティス社によって1990年に開発されました。
その化学構造式は次の通りです。

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                  ラミシール(テルビナフィン)

この化合物の特徴は、ラミシール錠を内服することにより爪水虫を治療できることにあります。
ただし、この錠剤は外用抗真菌剤によって治療困難な真菌症に限って使用できます。
そして錠剤投与前と投与中には、肝機能検査や血液検査が必要です。
これは、この錠剤を使用中に肝障害や血液障害によって死亡した例があったからです。
このように強い副作用と死亡例があったにも関わらずこの薬剤が使用されるのは、爪水虫という不治の病を治したいという需要があったからでしょう。

イメージ 2
                  ラミシール125mg錠

テルビナフィン塩酸塩は真菌細胞内のスクワレンエポキシだーぜを選択的に阻害し、スクワレンの蓄積およびエルゴステロールの低下をもたらし、抗真菌作用を示すとされています。

現在、内服用抗真菌剤を用いた場合の爪水虫に対する完治率は、38%であるとされています。
爪水虫の患部では、爪組織が膨大に侵食されて組織障害が積み重なっており、そこに菌が住み着いているわけです。
薬剤の効果で少しずつ菌を殺して、その部分の組織を再生させて、・・・という作業を根気よく繰り返して、少しずつ爪組織を正常化させていくしか方法がないのです。
爪水虫を治すこととは、1年以上にも及ぶとんでもない一大事業であると認識することが必要です。
中途半端な気持ちで「爪を治そう」と思ったとしたら、失敗するだけですね。


現在の水虫薬

皮膚科で現在使われている水虫薬は、合成抗菌剤(抗真菌剤)と総称される薬剤です。
これらのうち、代表的なものをご紹介します。

1972年、バイエル社(ドイツ)はクロトリマゾール(学名、Clotrimazole)を最初の合成抗真菌剤として世に提供しました。
この薬剤の商標はエンペシド(Empesid)で、一つの時代を切り開いた偉大な薬剤になりました。
その化学構造式は下記の通りです。

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                   クロトリマゾール

この薬剤は、経口剤として開発する努力がなされたのですが、実現しませんでした。
エンペシドの抗菌作用機序は、「真菌の細胞膜のリン脂質に結合し、細胞膜に必須のエルゴステロールの生合成を阻害する」ことであり、その結果細胞間成分が失われて細胞死に至る、とされています。

この薬剤(外用液、クリーム)の主な適応は、白癬(皮膚糸状菌感染症)、カンジダ症(カンジダ感染症)、癜風(でんぷう、マラセチア感染症)です。
これらの薬剤は、いずれもクロトリマゾールを1%含有しています。
イメージ 2
このほか、トローチ(口腔カンジダ症)、膣錠(カンジダ膣炎)にも使われます。
局所投与(経皮、経膣)されたクロトリマゾールの体内取り込み量はごく僅かであるので、妊婦でも問題なく使えるとされています。

クロトリマゾールが嚆矢となり、その後、数多くの合成抗真菌剤が開発されることになります。
それらのうちの代表的なものを、次回にご紹介します。



水虫菌のタネ(胞子)を殺す薬剤については、塩素(次亜塩素酸)が知られている程度です。
これ以上の情報は見当たりませんね。
水虫菌のタネに興味を持つ人がそもそもいない(いなかった)、といっても過言ではありません。

実はカビではなくて、細菌についてはタネ(芽胞と呼びます)に関する研究が多くあります。
「芽胞学」という表題の本もあるほどです。
今回は、芽胞(細菌のタネ)に対して殺菌的に働く薬剤をご紹介します。
これらの薬剤は、芽胞の硬い殻を破壊することを目的としています。

1、次亜塩素酸
次亜塩素酸は、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)の存在下で急速に芽胞に対する殺菌効果を示します。
水酸化ナトリウムは、次亜塩素酸が芽胞殻を透過できるように作用している可能性があります。
「カビキラー」も次亜塩素酸と水酸化ナトリウムを含んでいます。

2、過酸化水素
過酸化水素(H2O2)は、水酸化ラジカル(・OH)へと変化してから芽胞に対する殺菌作用を発揮します。
このため、過酸化水素と紫外線照射を併用して・OHを生成させ、芽胞を殺すことが可能です。
ご注意:人体内で・OHが生成すると、DNA鎖が切断されて発ガンの原因になることも知られています。
    これは困りますね。

3、オゾン
オゾンは芽胞に対して殺菌的に作用します。
オゾンは芽胞のアミノ酸、RNA、DNAに作用して芽胞を殺すと考えられていますが、正確な殺芽胞機構は不明です。

4、ヨードおよびヨードホル(ヨードと界面活性剤との合剤)類
溶液中のヨード(I2)は効果的な芽胞の殺菌剤です。
ヨードが芽胞に対して効果的に作用する理由はまだ解明されていません。
「ヨードが水虫を治せるか?」というキーワードでネットで検索してみました。
何件かヒットしましたが、「水虫が治った」という情報はなかったですね。
水虫に塗るとしみて大変だ、ということでした。

5、過酢酸
過酢酸(CH3COOOH)は芽胞に対する殺菌効果を持っています。
その作用機序はまだ不明ですが、アミノ酸のーSH基、SーS結合を破壊する可能性があります。

以上、細菌のタネ(芽胞)に対して殺菌作用を持つ化合物をいくつかご紹介しました。
芽胞は硬い殻で覆われていますので、もともと殺しにくいのです。
ましてや人体中にいる芽胞を殺すことはさらに大変です、人体を傷つけることは許されないのですから。
しかし、人類は不可能と思われる壁をいくつも乗り越えてきました。
これらの挑戦は、今も進行中なのです!


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