水虫道場

水虫を治しましょう。

水虫道場・完結編

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爪水虫とは!(2)

前回の記事で、爪水虫の患部では爪に無数の孔があいているために、爪が持っているバリア機能がなくなっている、ということをご紹介しました。
爪患部では爪に無数の微小な孔があいており、その孔の中に菌がむき出しのままで横たわっているわけですから、爪組織への浸透性がある薬剤を使えば一撃で菌を殺せるはずです。

ご紹介する症例は、親指爪全体が爪水虫になっている例です。
処理前の爪の状態は、次の写真に示します。
処理前
イメージ 1

爪水虫の患部では周辺の皮膚にも水虫があることが多く、この場合にも爪周囲の皮膚に水虫があることがわかります。
爪水虫では爪患部の一番奥にまで菌が入っていますので、そこまで処理液を届けてやることが先ず必要です。
このため、市販の巻指サック(Lタイプ、100円ショップで購入)に処理液を入れて、それを親指全体にかぶせて、1日間浸漬処理を継続しました。
処理時間を長くしたのは、徹底的に菌を殺したい、という目的のためです。
処理直後の爪の状態は、次の写真に示します。
処理直後
イメージ 2

この症例では爪全体が菌に侵蝕されて無数の孔があいていましたので、そこへ液がしみ込んで爪全体がふやけた状態になっています。
爪周辺の皮膚も、液が浸透してふやけた状態になっています。
このあとも、数日に1回程度の頻度で浸漬処理を行いました。

最初の処理から半月が経過したあとの写真を次に示します。
半月後
イメージ 3

写真からおわかりのように、爪根元からピンク色の健康な爪が伸長してきおり、もとの侵蝕された爪が爪先へと押し出されていることがわかります。
つまり、最初の浸漬処理で爪根元(爪母)の菌が死滅し、爪の新陳代謝能力が回復されて新しい爪が伸びてきたのです。
手の爪は伸びるのが早く、僅か半月でこんなにも爪が伸びるんですね。
ここまでくれば、あとはこのまま処理を続けて爪全体が新生するのを待つだけです。

この症例でおわかりいただけるように、爪水虫の患部に寄生している菌を殺すことは決して難しくはない、ということです。
そして、爪根元にいる菌を殺してしまえば、一撃で爪水虫を治せる、ということです。
この症例では処理液浸漬法を使いましたが、塗布法で爪根元の菌を殺せるように工夫すれば、液を塗るだけで爪水虫を治すことが実現します。

爪水虫を治すことの大変さは、爪組織の新生にはとにかく時間がかかる、ということです。
この間、他からの菌の感染があればたちまち爪水虫が再発しますので、何らかの処理を続けることが必要です。
今回の症例でも、爪全体がなんとかきれいな状態にまで回復したのは7ヶ月もあとのことです。
回復した爪
イメージ 4

爪全体が菌に侵されていると、爪母にある爪製造組織の機能が回復するのにも時間がかかります。
爪水虫を治すのは、根気がいりますね。


爪水虫とは!

爪水虫は、数十年前までは「不治の病」といわれていました。
そして今でも、爪水虫を治すためには内服薬療法を行うしか方法がない状況です。
この内服薬療法では、5%程度の肝機能障害などの副作用が発生し、また、内臓疾患がある人は内服薬療法を受けることができません。
しかし、爪水虫とはそんなにも治らないものなのでしょうか?
私の判断は、明快にNO!!です。
爪水虫は簡単に治すことができます。
ただし、爪水虫では爪が菌によって侵蝕されて死んでいますので、爪根元から新しい爪が伸びてきて入れ替わるのを半年〜1年以上も待つしかない、という不可避な条件はあります。

それでは、爪水虫は治せる、ということをご紹介していきましょう。
最初に、爪組織の簡単な解説をします。
爪の組織
イメージ 1


①爪甲は、普通に「つめ」と呼んでいる部分であり、この部分が菌によって侵蝕されて白くなったりすることは皆さんご存知の通りです。
⑨爪床は爪甲の下にある部分で、血管や神経もあるそうですが、菌はこの部分も侵蝕します。
⑧爪母は、爪組織を製造する部分であり、ここにも菌が必要とする栄養が豊富にありますので、菌が好んで住み着く場所になります。
④爪根部はできたての爪の部分で、まだ柔らかいそうです。
⑩爪下皮は,図では爪の下の露出している皮膚部分を表示していますが、実際には爪床の部分にある程度は皮膚が入り込んでいるでしょう。

皮膚には皮膚バリア(角層バリア)が存在していて外部からの侵入物を遮っていますが、爪組織では硬い爪がありますので、これ以外のバリアはないようです。
つまり、皮膚ではバリアがあって水虫薬も通りにくくて、菌は皮膚バリアによって保護されています。
一方爪では爪以外のバリアはなく、そして爪水虫では爪がボロボロになって巨大な孔があいてバリアがない状態ですので、水虫薬は爪患部へと侵入して菌と直接接触することができます。
おわかりでしょうか、無数の孔があいている爪の中へ侵入する能力を持つ薬剤を作れば、爪の中の菌などは一撃で殺すことができるはずです。
今の水虫薬は単に爪への浸透性がないために効かないのであって、薬剤設計を改良すれば良いのです。
もちろん、薬剤成分そのものを変更する必要もあるでしょうが・・・。

少し前置きが長くなりました。
次回は、1回処理で爪水虫を治した症例をご紹介します。

前回の記事で、カンジダ菌による角質増殖型水虫が露出してきたことをご紹介しました。

皮膚カンジダ症
イメージ 1

写真でおわかりのように、この症例では足裏の皮膚全体が分厚い角質増殖型皮膚で覆われています。
この水虫を治すためには、処理液を根気よく塗って皮膚表層部にいる菌を殺し、その結果として菌が死んだ皮膚部分の新陳代謝能力を回復させ、新しい皮膚の新生を起こさせて病巣皮膚と入れ替えていく、という地道な作業を繰返すしかありません。
慢性化した水虫の病巣では、このように皮膚組織そのものが重度の損傷を受けていますので、この損傷した組織を再生させることが必要なのですが、このことがとてつもなく大変な作業になるのです。
それでも、この大変な作業をやり遂げないと、水虫を治すことができません。
頑張るのみですね。

この症例でも、処理液を塗る作業を行ってもらいましたが、ご本人が病巣皮膚を手ではがすという悪癖を持っており、次の写真のような状態になりました。

処理中の写真
イメージ 2

薄茶色の病巣皮膚をはがした様子が歴然としていますね。
病巣皮膚を手ではがすと、皮下から新鮮な皮膚が供給されますので、菌にとっては新鮮なエサが供給されることになり、菌が大繁殖するという結果になります。
このことをご本人に説明して、薬剤処理だけを行うように助言しました。
そして、少しマシな状態にまで皮膚が回復しました。

皮膚が改善
イメージ 3

このように皮膚が改善すると、ご本人は治ったと思うのでしょうか。
おそらくは油断して処理をやめてしまうのでしょう。
そしてまた、次の写真のように、振り出しに戻ってしまいました。

症状の露出
イメージ 4

写真でおわかりのように、障害された皮膚が再度表面化しており、皮膚をはがしたあとが歴然としています。
ご本人の習慣はとても根強いもので、簡単には直らないようです。

角質増殖型水虫の一症例をご紹介しています。
処理前の症状を下の写真に示しますが、この皮膚症状の病原菌はアルテルナリア(植物病原体の一種)でした。

処理前
イメージ 1

この足を処理して障害された皮膚を取り除きました。
すると、一見してきれいな皮膚を回復しました。

回復
イメージ 2

ところが、指や趾間に分厚い皮膚が残ったままでしたので、さらに処理を継続しました。
すると、きれいに見えたはずの皮膚がどんどん変化して、足裏全体に分厚い病巣皮膚が露出してきました。
これがこの水虫の正体であったわけです。

水虫の正体
イメージ 3

この皮膚標本から病原菌を採取し、遺伝子解析を行ってカンジダ菌Candidaparapsilosisであることを確認しました。
この皮膚カンジダ症が原発の皮膚症状であり、そしてこの皮膚を手でいじって傷つけたことなどを介して、植物病原体であるアルテルナリア菌が日和見感染したのです。
皮膚カンジダ症の足裏の症例は、私は初めて見ましたし、貴重なものであろうと思います。
なお、人(ヒト)に対する病原性を有する真菌は僅かしかなく、代表的なものは次の7種類です。
 白癬菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ菌、マラセチア菌、 アスペルギルス菌、クリプトコックス菌。
本来の病巣であるカンジダ症が露出しましたので、処理液濃度を上げて処理することにしました。


角質増殖型水虫の症例をご紹介しています。
処理前の写真を再掲します。

イメージ 1

写真でおわかりのように、この症例では水虫菌に侵蝕された皮膚が足裏全体を覆っています。
この人は、20年来、皮膚科で水虫薬をもらっていたのですが、全く効かなかった、ということです。
それで、足裏全体を処理液に浸す処理液浸漬法で1日1時間処理しました。
障害された皮膚は徐々に薄れて、3ヶ月後にはきれいな皮膚を回復しました。

3ヶ月後
イメージ 2

ところで、この症例の皮膚症状を引き起こした病原菌(病原性真菌)は何であったのでしょうか?
これを検討するために、処理前の患部の皮膚を一部採取し、培養を行って真菌(カビ)のコロニーを分離し、大学の真菌研究室で遺伝子解析を行ってもらいました。
確定した病原菌は、「アルテルナリア(Alternaria)」というカビで、植物に寄生する病原体として知られています。
なんと、植物に寄生するカビが人の足に住み着いていて、重度の皮膚障害を起こしていたのです。

水虫を起こす病原性真菌としては、白癬菌(皮膚糸状菌)あるいはカンジダ菌が知られています。
真菌は膨大な種類の菌種が含まれているのですが、人体に対して病原性を持つものはごく僅かしかありません。
今回分離されたアルテルナリアは、人に対する病原性はありません。
それでは、この患部からなぜ植物病原体であるアルテルナリアが検出されたのでしょうか?
実は、この患部では水虫を引き起こした病原体が別に存在していたのです。
そして、長い病歴を経過するうちに、もともとは人の病原体ではないアルテルナリアが感染してしまったのです。
このような感染様式を「日和見感染」といいます。
水虫は長い病歴を経ていますので、環境中にいっぱい存在している各種の真菌(カビ)が日和見感染して、勝手に住み着いています。
水虫薬は白癬菌やカンジダ菌には効くのですが、他のカビ全部に効くというわけではありませんので、このように雑多なカビが住み着いてしまうと、水虫薬が全く効かないことになってしまいます。
水虫は治りにくいことで有名ですが、その原因の一つがここでご紹介した雑多なカビによる日和見感染が起きていることなのです。

遺伝子解析を用いてカビの種類を同定する技術は、大学の真菌研究室でようやく行われるようになってきた段階です。
皮膚科では、患部の皮膚や爪を分解してカビの菌糸があるかどうかを顕微鏡で調べるだけです。
そして菌糸が見つかれば、「水虫だ」と診断します。
今回の症例でも、皮膚科で診てもらえば、水虫ですね、といわれるだけです。
水虫道場では、水虫患部のカビを遺伝子解析して菌種を同定する作業を数多く行っています。
水虫患部の病原菌を検討することに関しては、世界の最先端を走るトップランナーなのです。
水虫を治すためには、雑多なカビが日和見感染している症状を治す能力を持つ、新たな水虫薬が必要です。
今の水虫薬では、水虫を完治させることは不可能です。


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