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本当は「本」の書庫に入れる記事ですが、「攻殻」に入れちゃいます。
そして、かなりネタバレです。先入観なしで読みたい方は、この記事を読むのをご遠慮ください。
「光の帝国」は、不思議な力を持つ人々の物語を集めた短編集です。
その一番最初のストーリーが「大きな引き出し」。
主人公「光紀」は、両親と姉の4人家族。
彼らは「しまう」能力があり、姉は今シェイクスピアを原文で「しまっている」最中で、
光紀は、ホルストの惑星を「しまっている」。
そう、「しまう」っていうのは、データ入力のようなもの。
これって「攻殻」だよぉ〜。
プラグを差し込んでひゅ〜って、いろんなデータを自分のものにできるんだもの。
で、「大きな引き出し」では、
中学生である光紀は、「しまう」ことはできてもまだ「響いて」いない、時期で、
とっても不安定。
そんなとき、彼は老人の死に際にあい、老人の人生全てを「しまって」しまう…というより、
老人のメッセージが彼の心に「響いて」しまう。
そのシーンは、まるで「攻殻」の1st、第2話、
ロボットに自分の脳をつないだ青年が、ロボット化(義体化といいます)に反対だった両親に
自分の姿を見せに行くストーリーのラスト近く、
ロボットのプラグをぬいた少佐が、その際、その青年の人生のフラッシュバックを目にするシーンを
ものすごく思い出してしまうのでした。
少佐はそのことによって、「親への復讐」と思われていた青年の行動が、
実は復讐ではないかもしれない…と感じました。
光紀の場合は、どちらかというとこの後「シックスセンス」みたいになるんだけどね。
恩田陸の場合、どこかで読んだようなストーリーでも、
彼女のテイストがしっかり効いていて、不思議な魅力で、とりこにしてしまう力があるんだよね。
実際、この「不思議な力」を持つ人々が、その力を利用しようとしている人々と戦う
というモチーフは、記憶は確かじゃないけど、筒井康隆の「七瀬」シリーズを思い出すし…。
でも、この短編集、いろいろな料理をされていて、戦時下の悲しいストーリーあり、
えたいの知れないものとの戦いあり、高校生の女の子の不安なストーリーあり…で、
「飽きがこないおいしさ」があります。
このストーリーに出てきた人が、違う話でも出てきたりとかもあるので、
何度も読み返してしまいました。おすすめの一冊です。
すでに続編が出ているようですが、文庫になるのは、まだまだかな。
早くならないかな。
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