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新元号決定

 私は知ってしまった。日本全土を揺るがす重大な情報を。識者、政治家、はたまた一般市民までをも巻き込んだ、あの騒動の真実を──。

 新元号。その名称。

 言ってはいけない。言ったら守秘義務のある情報提供者に迷惑がかかってしまう。だが、言いたい。私は何日も何日も悩み苦しんだ。だが、この体の中から湧き上がる、言ってしまいたいという衝動は、抑えきることができない──。

 よし、言ってしまおう。私は決心した。本日、3月31日という、正式発表の前日に。

 ガセだと思われるのも心外なので、選考理由についてもお話しする。そもそも、平成という時代はどのような時代であったか。バブル崩壊、失われた20年、災害もあった。しかし、その中でも希望はあった。
 クールジャパン。漫画、アニメ、ゲーム、カワイイ。
 戦争がなかったことも特筆すべき特徴だ。
 つまり、平成とは捨て去りたい過去ではなく、次に向けて継承、発展させるべき時代だったと言えるのではないだろうか。
 継承、発展、新名称──。
 さて、これを読んでくださっている皆様にも、そろそろピンとくるものがあるのではないのだろうか。アニメで人気といえば、ドラゴンボール。アイドルといえば、ももクロ。これら現代を象徴するものに共通する、日本人のDNAに訴えかけてくる名称といえば──。
 それでは発表しよう。次の元号は。

 「平成Z」

 言われてみれば、これほどぴったりな名前は他にないだろう。
 だが、皆さんは一つだけ疑問に思われるかもしれない。英字での略号はどうするのかと。昭和はS。平成はH。ローマ字で書いた際の頭文字が略号になっている。平成と平成Zでは、重複してしまうのではないかと。
 それに関しても、この新元号には素晴らしい解答が込められている。そもそも英字1文字では、元号の種類があまりにも限られてしまう。英字は26文字。これでは、元号は26種類しか作れなくなってしまう。しかもQやXは使えないのだ。
 それならばどうするか。略号を2文字にしてしまえばいいのだ。昭和はS、平成はZ、平成ZはHZ。
 どうだろう。完璧というのは、こういう時に使う言葉ではないだろうか。
 さあ、皆さん、心して新元号の発表を迎えていただきたい。そしてその時、私のことを思い出していただけることを願っている。

CM No.17

 こちらは「千文字小説」というサイトで行われている、「掲示板でコンテスト!」というイベント用に、私が勝手に書いたCM用のお話です。


 地下室。 外から覗かれることもなく、中の音が漏れることもない、地下室。俺は今、その中でパソコンに向かい、キーを叩いている。家族には表向き書斎と言ってはいるが、ここは私の裏の活動の場。いま書いているこの文章。これが公開されれば、人々は驚愕し、世の中がひっくり返るような騒ぎになるだろう。        
 さあ、できた。これをあのサイトに送れば完了だ。俺は笑みをかみ殺しつつ、 送信ボタンをクリックした。  
 ん?エラー。
 カチカチと繰り返しマウスのボタンを押すが、エラーの表示が出るばかり。  
 なぜ送れない…… ?
 ハッ!もしかして私の行動を誰かが監視……検閲している?      
 確かにこれが世に出れば大騒ぎになる。騒乱を恐れる政府が妨害してもおかしくない。いや、それとも某国の諜報機関か。なにもこの文章に触発されるのは、我が国だけとは限らないのだ。  
 どうしよう。携帯で打ち直して送るか。いや、 そんな暇はない。約束の時間は間近に迫っている。それとも近所のネットカフェから送るか。いや、それとて身元は知られている。ああっ、どうしたらいいんだ!      
 そのとき、ドンドンドン!入り口のドアがノックされた。 俺は驚いて飛び上がった。
 「な、何だ!」
 思わず怒鳴る俺。
 ドアの向こうからは妻ののんきな声が聞こえてきた。  
 「あんたー、パソコン使ってるー?」
 「あ?ああ」
 「さっき間違えてモデムの電源抜いちゃったー。ごめーん、入れ直しといたからー!」
 俺はパソコンに向き直る。クリックする。文章は何事もなく無事送信された。    
 よかったー、間に合った!『第17回掲示板でコンテスト!』の締め切りに!

CM No.15

これは以前、とあるサイトのコンテストのCM用に書いたものです。私は運営者ではないので、勝手に書いただけですが。
なお、この回のお題は『小説・漫画・アニメ等のキャラクターの固有名詞を使用する』でした。

*****

掲示板でコンテストが間近に迫ってきた。投稿者たちはそれぞれの方法でアイデアを練っていた。ある者は瀧に打たれ、ある者は重いコンダラを引き、ある者は漫画喫茶に籠った。
 そして僕は……ひたすらキーボードと格闘していた。
「えっと、Dはここかな……あ、違った」
  そこに父上が通りかかった。
「息子よ、何をしているのだ」
「父上、私はキーボードを見なくても字が打てるよう、練習をしているのです」
「タッチタイピングというやつだな。よし、父が特訓してやろう」
  そう言うと父上は、僕の前に背中を上にして寝転んだ。
 「さ、私の背中をキーボードだと思って、打ってみるのだ。まずは『A』」
 僕は目をつむり、人差し指で「A」のキーのあたりを押す。
 「うむ、もう少し下……いや、「S」だ。「S」を押してみろ。おお、いいぞ。繰り返し押すのだ。S、S、S。人差し指ではいかん。親指で、もっと力を込めて!」
 こんな調子で特訓は1時間にも及んだ。
 「よし、もういいだろう」
 「父上……何やら父上の背中のツボを押すのに使われただけのような気もしますが……」
 「そんなことはない。キーボードに向かってみろ。それ、D、A、I、……」
 「ホントだ!父上、すっかりキーの位置を覚えています!」
 「そうだろう。ついでにもう一つ、極意を授けて進ぜよう。息子よ」
 「はい、父上」
 「いくらキーを見ないで打てるようになってもだな」
 「はい」
 「お前のように指一本で打っているうちは、タッチタイピングとは呼べないのだぞ」
 「え〜っ、そうなんですか〜?」

CM No.14

 これは以前、とあるサイトのコンテストのCM用に書いたものです。私は運営者ではないので、勝手に書いただけですが。
 ですので、小説の範疇には入らないのですが、本数がたまってきたので、いくつかここにも載せてみようと思います。
 なお、この回のコンテストの名前は、「第14回掲示板でコンテスト!」でした。


***


 風呂上がり。冷蔵庫から取り出したビールを片手にTVの前に座る。リモコンを取り上げ、スイッチを入れた。
 刑事ドラマが映る。あるマンションの一室。鑑識が慌ただしく行き交う中、刑事二人が苦い顔で遺体のそばに立っている。被害者は刑事たちの張り込みの最中に殺害された、とナレーションが入る。つまり、ある種の密室殺人だ。
 遺体は手に鉛筆を握りしめ、その脇には一枚の紙片が落ちている。刑事はそれを拾い上げた。
 紙には乱れた筆跡で、次のように書かれていた。

 『ダイ14カイケイジバンデコンテスト』

 「何でしょうね、これ?」
 二人の刑事のうち、後輩らしき若い男が聞く。
 「これは、ダイイングメッセージだな」
 先輩刑事が答える。
 「ダイイングメッセージ?」
 「そうだ。被害者が死に際に犯人を知らせようとして書いたものだ」
 「とすると、これの意味がわかれば」
 「そう、おのずと犯人にたどり着く」

 「最初の、『ダイ』って、何でしょう」
 「これは、まさしくダイイングメッセージの『ダイ』だな。被害者はこれがダイイングメッセージであることを明確に示したかったのだ」
 「14は」
 「次の『カイ』と合わせるんだ。14の怪。つまり、14の怪しい出来事があるということだ」
 「それはまたずいぶん多いですね。次の『ケイジ』は」
 「……もしかすると、俺たちのことかもしれん」
 「『バン』は」
 「刑事の番……つまり、張り込みの最中に、ということだ」
 「なるほど。確かにこの事件は私たちが張り込みをしている最中に起きた……と、ここまでは事実とぴたりと合いますね!」
 「そうだ。そして次の『デコンテスト』だが」
 「外国語っぽいですね」
 「そうだな。おそらく後半の『テスト』は、試験や試すという意味の『テスト』だろう」
 「どういうことですか」
 「被害者は『デコン』という、過酷な試験を受けたのだな。しかしそれに失敗し、死という制裁を加えられた……」
 「つまり、デコンの意味がわかれば……」
 「そう、事件は解決する」
 「デコン……」
 「デコン……」

 観ている私も、思わずこの謎に夢中になった。デコンとは何だろう。デコン、でこん、DECON……。

 考えているうちに、番組はCMに切り替わった。


 (投稿時はここに第14回掲示板でコンテスト!のCMを入れました)。

 ♪雪が溶けて川になって流れて行きます。
  つくしの子がはずかしげに顔を出します。
  もうすぐ春ですね。
  ちょっと気取ってみませんか。


 春になると父がよく歌う歌。
 その歌を自然と私も口ずさんでいた。

 新しい服が欲しくなり、街に出かけた。
 ショップには春らしい明るい色が並んでいる。
 N君、こんな服を着た私を見たら、どう思うだろう。

 職場でよく話しかけてきてくれる男の子がいる。
 「夕ご飯、一緒にどう?」なんてメッセージも来る。
 今までは断っていた。
 いい人なんだけど、私の気持ちがついて行けなかった。


 ♪風が吹いて暖かさを運んで来ました。
  どこかの子が隣の子を迎えに来ました。
  もうすぐ春ですね。
  彼を誘ってみませんか。


 私は昨年、ひどい失恋をした。
 一方的に別れを告げられた。
 泣いて、怒って、また泣いた。
 街を歩いているカップルを見るのもつらかった。
 私はひたすら地面を見ながら歩いていた。


 ♪泣いてばかりいたって幸せは来ないから
  重いコート脱いで出かけませんか。
  もうすぐ春ですね。
  恋をしてみませんか。


 家に帰ったら、N君にOKのメッセージを送ろう。
 この服を着て、会いに行こう。
 いつもと違うイメージに驚くかな? 喜んでくれるかな?
 そんなことを想像すると、自然と口元が緩んだ。





 キャンディーズの「春一番」という歌を使っています。
 歌詞はこちらから。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=35536

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