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ロボカップジュニア2009福岡ノード大会がロボスクエアで行われました。
ロボスクエアの磁気的環境の劣悪さはよく知られているところですが、関係各位のご尽力により、前回の第12回ロボチャレンジ大会から「フィールドを台上におく」というロケーションの改善がはかられました。
この改善により、ロボスクエアの磁気的環境は大幅に改善されるはずでした。確かにほとんどのフィールドで磁気的環境が改善されましたが、残念ながら一部のフィールドに「磁場の乱れ」と呼ばれる現象が見られました。

ロボカップジュニアで一般に「磁場の乱れ」によるとされるロボットの動作異常は大別して2つあります。
1)フィールド上のロボットの位置によってロボットの向きが変化してしまう。
2)ロボットの向きが安定しない(揺れ続けたり、回転したりしてしまう)。

1)は会場内で発生した磁場(電流による磁場や磁化された鉄などによって生じる磁場)と地磁気の合成磁場の向きがフィールド上で「一様でない」ため、その向きをセンサで検知したロボットがフィールド上の位置によって向きを変化させてしまう。
2)は会場内で発生した磁場が時間的に変化すると、地磁気との合成磁場の向きが「一定でない」ため、その向きをセンサで検知したロボットが時間を追うごとに向きを変化させてしまう。または、会場内で発生した磁場の向きと地磁気による磁場の向きが逆向きの場合、その合成磁場は打ち消しあって小さくなり、ロボットに搭載されたコンパスセンサでは検知できなくなる。その結果、ロボットが向きを制御できなくなる。
と考えられ、そのような磁場を実験室で作り出すことによって、ロボットの動作異常を再現することができます。

前回のロボチャレンジ大会、および今回の福岡ノード大会で観察されたロボットの動作異常は上記(2)の動作異常で、フィールド上の特定の位置でロボットの向きが不安定になり、ほとんどのロボットがその場で回転していました。

もちろん、このようなロボットの動作異常は「磁場の乱れ」と呼ばれるものの他、プログラムのミスはもちろん、電波の影響によって引き起こされるとも言われており、「ロボットの動作異常の観察」のみで原因を特定することは困難です。(注:電波によって、特定位置のコンパスセンサのみに継続的に影響を与えることができるか、またそのような電波の照射が私たちの生活圏内で可能かどうかの実験はしていませんが、これが原因だと主張される方もいらっしゃいます。)

そこで、宗像高校電気物理部の生徒、その場に居合わせたロボカップジュニア世界大会出場経験者3名、及びロボスクエアのご協力を得て、いくつかの実験を行いました。
<仮説>
フィールドの設置高は十分にあり、床下配線などの影響は無視できると考えられる(平成20年度宗像高等学校電気物理部「磁気シールドに関する研究」より)。また、身の回りの鉄製品が地磁気に影響を与える程度に磁化されていることは珍しくない(同上)ことから、フィールドを設置している台(テーブル)の天板下にある鉄パイプ(あるいはそれを止めている木ねじ等)が磁化されており、その磁場の向きが地磁気を打ち消す方向であるために、合成磁場が小さくなり、コンパスセンサが測定不能になっているのではないか。

<実験1>
ロボットの異常動作が見られる位置でコンパスセンサの向きを変化させ、その出力を調べる。続いてフィールドをロボットの下から移動させて、ほぼ同じ位置の空中にロボットを保持してコンパスセンサの向きを変化させ、その出力を調べる。
<結果1>
ロボットの下にフィールドおよびテーブルがある場合、コンパスセンサは異常動作(本来360度回転させると8種類の電圧を出力するが、4つあるいは2つ程度の電圧しか出力しなくなる)をするが、フィールド及びテーブルがない場合はコンパスセンサは正常に動作する。
<考察1>
コンパスセンサの異常動作にフィールド自体あるいはその下のテーブルの「有無」が関係している。

<実験2>
フィールドを180度回転させて設置し、ロボットが異常動作した位置(会場に固定された座標で同じ位置、およびフィールドに固定された座標で同じ位置)で実験1と同様にしてコンパスセンサの出力を調べる。
<結果2>
コンパスセンサは正常に動作する。
<考察2>
コンパスセンサの異常動作にフィールド自体あるいはその下のテーブルの「向き」が関係している。

以上の実験は、会場の片づけの合間の数分間に実施したため、正確さや再現性に問題がある事は認めますが、「フィールド上の広い範囲でロボットがまともに動かない」という状況が「フィールドの向きをテーブルごとくるりと回すだけ」で大きく改善される可能性があることがわかりました。

ロボカップジュニアのサッカー競技の開催、運営に関わる方々の参考になれば幸いです。
また、実験に協力していただいた方々、特に片づけの最中にも関わらず実験の許可をしていただいたロボスクエアの関係各位に厚くお礼申し上げます。

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