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三.爆破予告(中)

 同夜の捜査会議で、本多正勝なる人物につき報告。港南区上大岡のアパートには依然不在、「十全閣」にも先月十六日以降出勤・連絡なし。
「半月の間行方不明……匿っている女でもいるのかな?」
「そうかもしれません。実はアパートの住人が数度、女性を目撃しています。いつもサングラス姿で、顔を見られるのを避けていたようです。ここ一年は姿を見せていないそうですが」
「そもそもこの本多という男が本星なのかどうか。磯貝君の話通りだと、女のほうも気になるが」
「現時点ではチケット裏取引以外、接点はありません。部屋を見れればいいのですが……」
「わかった。家宅捜索令状申請と、外事の記録チェック。この男が北朝鮮絡みならデータがある筈だ」
 工藤の指示で会議が終わりかけた時
「あの……」
 挙手した者がいた。中川だった。
「何だ?」
 工藤は面倒臭そうに発言を許可した。
「この男、見ました」
「何?」
 工藤は目を剥き、全捜査員の視線に中川はたじろいだ。
「日時は?」
「四月十九日夕刻。都筑区大棚町四五〇、トウェンティーフォー大棚店の正面」
「おい……それ、お前ん家(ち)の近所だろ?」
 加藤が頓狂な声を挙げた。
「本多に間違いないのか?」
 工藤が訊いた。
「そう言われますと、自信はありません」
「もう少し詳しく状況を聞かせてくれ」
「はい。同日十八時半頃同店を訪れ、約五分後、店内より視認。道路の向かい側からこちらを見ており、店を出たところ姿を消していた」
「他の客や、店員を見ていた可能性は?」
「咄嗟に確認しましたが、その男の視線の範囲にいたのは自分だけだったと思います」
「だとすると強盗の下見とか、店自体がトラブルを抱えていた可能性は低いが……君自身、心当りは?」
「公務上、恨みを買うようなトラブルですか?」
「公私全般でだ」
 首をかしげた中川を、尚子が心配気に見上げている。
「傷害を三件扱いましたが、いずれも不起訴処分。事件関係者に、似た人物はいなかったと思います」
「わかった。中川巡査部長は、その三件を再チェック。コンビニには都筑署に聞込みを指示。以上」

 同時刻。
 小田が赤坂Oホテル地下一階のバーを訪れると、井出はカウンター席を過ぎた一番奥のボックス席の下座にいた。テーブルを挟んだ上座には、スーツ姿の男が二人。
「こちらは朝鮮社会主義人民共和国の盧康徳(ノガントク)通商部副部長(経済産業副大臣)、隣は護衛の柳慶国(ユキョングク)氏。訪米からの帰途で、都内に滞在中だ」
 井出の紹介に小田が戸惑いながら名刺を取り出すのを、盧康徳は流暢な日本語で制した。
「今夜我々が会うことは極秘にしたいので、私も勘弁させてもらいますよ……どうぞ、座って下さい」
「失礼します」
 井出の隣席に小田が腰を降ろすのを待っていたように、早速本題に入る。副大臣クラスとなれば井出より上位だが、小田への言葉遣いは気味悪いぐらいに丁寧だった。
「今度の総書記訪日警備の、陣頭指揮を執られるとか?」
「はい」
「狙撃計画があるとか?」
「……つまり、事実だと?」
「否定したら、信用していただけますか?」
 小田が返答に窮し横を見ると、井出は薄く笑っていた。
「最初に、ずばりお伺いします……狙撃計画リークは、お国の意向ですか?」
「ごまかしは効かないようですね。そう、私が井出局長にご相談しました。背景からちゃんとご説明する必要がありますね。続けてよろしいですか?」
「どうぞ」
「実は先日、政府内で大きな人事異動があったのですが、こういう時損をした者はよく、手段を選ばず取り返そうとするものです」
 例の政変を盧はそう表現した。
「つまり、今回もそのケースだと?」
「その通り。局長に伺った通り、優秀なかただ」
 盧は笑った。井出も笑っている。笑わなかったのは小田と柳だ。会話が核心になかなか触れないが、彼らは自分に何かをやらせようとしている。その内容も、小田は大体予想がついた。
「通商部副部長と伺いましたが?」
「四月に拝命したばかりです。今回の訪米もアメリカ側との顔合せが目的でした」
「その通商部が接触してこられた真意が、失礼ですがよくわかりません。お国の通商部は、こういう案件も扱われるのですか?」
「小田君、その言い方は失礼だぞ」
「いや、尤もな疑問ですよ。小田さんは私の、一つ前のポストをご存じないようですから……組織部副部長(内務副大臣)でした」
「では……これは平壌の内意、と解釈していいのですね?」
「結構です」
「もう一つ。サロメを雇ったのもあなたがたですか?」
 小田が言った途端三人は顔色を変え、柳のほうは右手をわずかに浮かしている。小田は、その背広の下に隠した拳銃に気づいていた。何かあればこの男は躊躇わず、小田に銃口を向けるだろう。
「確かに、共和国は内々に彼女と契約を交わしました。内容は狙撃計画の阻止」
「……」
「お願いしたいのは、契約の実行を妨害しないでいただきたいということです」
 案の定、と思いながら小田は盧を見返した。
「法を犯しても?」
「彼女はプロです。無用な殺人は避ける筈です」
「無用かどうかは関係ありません。目的が何であれ犯罪行為があれば検挙する、それが治安というものでしょう」
「責任を取らせてほしい。共和国の国内問題であり、我々の手で解決したいということです」
「……お話はわかりました」
「では、お願いできますか?」
「それは、できません」
 柳がごくりと息を呑み、盧は瞑目し考え込む。井出は無表情。沈黙が暫時ボックスを支配した。
「なぜですか?日本にも悪い提案ではない筈ですよ?」
「そうでしょうか?テロの対応を国外に委ねるわけには決していかない……お国もそれは同じ筈です。例えば先年の小宮山(こみやま)首相訪朝時、日本の右翼が潜入・狙撃したら、責任を転嫁できたと思いますか?」
「それは……」
「それと同じです。万一の場合はお国も相応の対応を取らざるを得ない筈だし、他国への信用も失墜します。お国が責任を取るという理屈がその時通るか否か、あなたもよくご存じの筈です」
「なるほど、最悪の事態も想定しておいでなのは賢明です。だがあなたは、一番大事なことを忘れている。失礼ながら……日本の警察は独力で狙撃を防げますか?」
「……」
「小田さん、おわかりと思いますがこれが万一公になれば私の首ぐらいでは済まない、それを覚悟で打ち明けたのは狙撃を何としても未然に防ぎたい、それだけです。申し上げたくなかったが彼らは、恐らくお国のどの警察官よりも優秀なスナイパーです」
「それでもしなければならない。自分もあなたを信頼してお耳に入れますが、いやもうご存じかもしれませんが、警備本部で関心を持っている変死事件があります」
「……」
「我々はこの事件の延長に狙撃計画があると考えています。犯人が既に潜入している可能性もあり、今はあくまで単独対処の建前を貫くべきです」
「それは君の判断することじゃない」
 既にという小田の言葉に、潜入を看過した平壌への非難を察知したらしい井出が割り込んできた。
「いや、小田さんの仰ることは正論ですよ。お国には優秀な警察官がいらっしゃいますね」
「恐れ入ります。お国がこの件を真剣に考えているのは、今日あなたがリスクを冒して重要な情報を下さったことでよくわかりました。今後も何か事態に変化がありましたら、何卒ご協力をお願いします」
 小田はそう言い起立、深く頭を下げた。

三.爆破予告(上)

 五月一日、港北署大会議室。
 正面に新横浜駅・競技場周辺の地図が張り付けられ、捜査員が見守る中、工藤がその前をゆっくり往復しながら、警備の細部を一つ一つ確認している。
「マルタイ(警護対象者)のスケジュール。十七日に横浜入り、夕刻新横浜プライムホテル泊。十八日、客室で昼食後一時半出発。一時三十五分、競技場に到着し待機。正面玄関真上の西一般ゲートは、マルタイの通過前後十分に限って閉鎖。二時キックオフ。四時半に新横浜駅直行、十七時十分発『のぞみ四五号』で京都へ移動」
「競技場までの詳細な経路は?」
「いちょう通りを直進、ワールドカップ大橋を渡り労災病院北側、新横浜元石川線経由で競技場北側に到達。復路は労災病院北側交差点で新横浜元石川線を右折、新横浜駅着」
 話し疲れたのか、工藤はそこで一旦言葉を切った。
「この他には、環状二号線を駅前まで南下、新横浜元石川線に入る経路もあり、予備経路に充てます」
「駐車場の扱いは?」
「屋内は関係者専用とし、一般利用は屋外駐車場に制限。但しこちらも状況次第では全面禁止、電車・バスのみでの来場に変更」
「チケットはもう完売……だったな?」
「五輪代表などだと直前まで割と空席もありますが、今回はワールドカップに出場するA代表クラスの試合で、発売初日にほぼ売り切れたそうです」
「それでダフ屋も暗躍するわけだ……」
 その時電話が鳴り、応対した捜査員が小田を呼んだ。
「何だ?」
「警備局長からお電話です」
「用件は?」
「それが……」
 言葉を濁す捜査員から受話器を受け取った小田は、数分後厳しい表情で電話を切り顔を上げた。
「皆聞いてくれ。約十分前、官邸に脅迫電話。電話の主は左翼過激派組織『日本紅衛兵』。要求は留置中の、徳田信枝の釈放。拒否すれば今月十八日、横浜国際総合競技場で開催――」
「狙撃ですか?」
「爆破すると言ってきた」
 捜査員達は息を呑んだ。
「死人が出るとも言ったそうだ。要求は他に現金一〇〇万米ドル。チューリッヒの銀行口座を指定、二〇万ずつ五回に分け、四十八時間ごとの振込みを指示してきた」
「逃亡資金……でしょうね。総書記観戦への言及は?」
「それはなかった。タイムリミットは試合終了、つまりタイムアップ時点。キックオフは午後二時だったな?」
「二時丁度キックオフ、前、後半各四十五分と二十分のハーフタイムで、終了は早くて三時五十分。これにロスタイムが加わり、三時五十五分前後といったところでしょう」
 小田はそれを、ホワイトボードに書き込んでいった。
「タイムアップは、三時五十分から五十五分の間か……」
「政府の対応は?」
 神奈川県警本部の夏木功(なつきいさお)警備課長が質問した。
「硬軟両面。一応犯人には『前向きに検討』で対するそうです」
「まさか、おおよど号の時と同じ超法規的措置……?」
「これはあくまでポーズで、警察としてはもちろん確保を最優先。ただ確かに、政治的判断で最終的にどうなるかはわかりません。狙撃計画との関連は、偶然にしては出来すぎの感もありますが確認中です」
 言葉を切った小田に促され、警視庁外事課長代理の原が立ち上がった。
「政府側スナイパーの情報。ナタリー・江(カン)。中国系アメリカ人。プロの世界でのコードネームは『サロメ』。先月、スイスにある銀行口座に、一〇〇〇万米ドルが振り込まれています」
 捜査員達はまた顔を見合わせた。
「十数億円ね。べらぼうな額というのはわかりますが……」
「ただ、首脳クラスの暗殺報酬としてはこれでも安すぎるそうで、標的は魚前国防相で間違いないようです」
「政府側のスナイパーは、女性か……」
「あの……」
 磯貝が挙手して発言の許可を求めた。
「相手側の狙撃犯も女性じゃないでしょうか?」
「……根拠は?」
「異性だといざという時に逡巡の可能性があるのではと。一流のプロならあまり関係ないのかもしれませんが、クライアント側が万全を期すつもりなら……」
「男は助平だと?」
「まあ、そういうことです」
 小田の発言は聞きようではセクハラだが、磯貝はにこやかに返し小田も微笑、空気がようやく和んだ。
「サロメはノーマークというわけにいきませんか?」
「……彼女に始末させる、と?いや、既に入国していればあくまで我々が対応すべきだ。仮に今回解決しても、一度こういうことを認めては悪い前例になる」
「しかし、どこから狙撃犯の情報を?」
「知っている者も多いと思うが、工作員と言っても殺人・拉致など凶悪行為を実行するのは一部で、監視・情報収集などは在日朝鮮人が担当する場合が多い。そしてその元締が……」
「総聯ですか?」
「そうだが狙撃計画の存在を平壌が認めていない以上、当面は独自に情報を収集するしかない」
 小田はそう言い、再び原を促した。
「実は先日遺体が揚がった稲生課長補佐が失踪直前、或る人物を追っていました。本多正勝、四十六歳、横浜市港南区在住。中華街の北京料理店『十全閣』のコックですが所在不明」
「北京も絡む可能性あり、か……よし、総聯横浜支部に加えそこにも張り込みだ」

 五月二日。
 総聯横浜支部に張り込んだ捜査員が或る人物の出入りを察知。中堅不動産会社・極東興産取締役だが、この極東興産は県内に拠点のある暴力団・相竜会のダミー会社で、彼自身相竜会幹部だった。
「相竜会というと、東京に本部のある山川連合の構成組織……総聯とマルB(暴力団)の癒着、か」
 工藤は唸った。
「間違いありません。それとこの幹部ですがここ一年、定期的に中華街の或る店に出入りしています」
「……『十全閣』か?」
「本多という男を雇い入れたのとほぼ同時期です。やはり、只のコックではないですね」
「原警視に外事の情報と照合してもらおう。相竜会と言えば例の振り込め詐欺にも関与していたな?ありもしないアダルトサイト料金や示談金をでっちあげ……」
「その通りです」
「それだ。相竜会は県下で山川系振り込め詐欺の元締らしいが、その収益も北に流れていた、かな?」
「恐らく。それと、捜査二課からも情報をもらってきました」
「二課というと知能犯・経済犯担当だな。詐欺の類か?」
「はい。先年ニュースにもなった時間外株取引で、極東興産にかなりの金額が流れていました。これが被害企業と金額のリストです」
 捜査員が机上に並べた数枚のFAXを、夏木が隣からのぞきこみ
「どれも外資系……か?」
「全て米国資本系です」
「これは……」
 工藤は、目の前に並んだ被害額とその合計に驚いた。
「合わせると小さな島一つ買えますね……相竜会が背後に居るのは間違いないのか?」
「確かです。警察庁も早期にマーク、内偵していました。厄介なのは外資ばかり狙っていることで、国内系の同業他社は、表面上捜査に協力的ですが……」
「ナショナリズムか?」
「内心は満更でもないようです。北朝鮮が一枚噛んでいるとすれば、それも目的でしょうね」
「だが、それならなおさらこの件は何としても摘発しなければ。工作の資金源を絶つためにもな」
 工藤は横浜での総聯と暴力団の関係を、電話で井出に報告した。
――左翼はともかく暴力団と手を結ぶとは……しかし立証できない限り、突破口としては弱いな?
「まだ裏は取れておらず、事実無根と否定されれば現時点ではお手上げです。小田さんに相談しますか?」
――いや、今夜都内で会うから直接伝えておく。会わせたい人物がいてね。明日詳しく話すよ。

二.狙撃計画(下)

 徳田信枝、左翼過激派組織「日本紅衛兵」リーダー。十年前死者二十三人が出た大手町菱和ビル爆破の主犯。拘置中に一味が東京発宮崎行きJAL「おおよど号」をハイジャック、超法規的措置で釈放後北朝鮮、そして中東に渡り、湾岸戦争ではイラク義勇兵として参加、戦後も複数の反米テロに関与していると見られていた。
「取締りを強化したヨルダンから脱出、日本に帰っていたのは今日わかったばかりです」
「――そう言えば、公然と滞在していた某活動家も、最近身柄を拘束されたとか……彼女はどこへ向かうつもりでしょう?九州、いや……」
「新下関まで走らせろと要求しています。海路、北朝鮮を目指すつもりかと」
「所定の停車時間(三十秒)は過ぎています。犯人も気づいている筈ですが、人質は大丈夫でしょうか?」
「彼女は、逃走を最優先に考えている筈です。よほどのことがない限り、手は出さないでしょう」
「そうですか……」
 駅長は、ホームに停車中の列車を見遣った。自分も、彼女らをみすみす逃したくはない。乗客を人質にするという卑劣な手段を取っているとなると、なおさらだ。だが彼には、乗客の安全を守るという使命がある。それは一命をかけても守らねばならない、鉄道マンとしての鉄則だった。
「犯人に呼びかけることはできますか?」
「できると思いますが……何を?」
「人質の交換です。何としても乗客だけは危険から救いたい」
「わかりますが、しかし、誰と?」
「私が行きます」
「駅長!」
 駅員達は悲鳴をあげた。永井は駅長の顔をじっと見た。
「お気持ちはわかりますが、相手は筋金入りの過激派です。人質の人選は慎重さを要します」
「……」
「現在、候補を政府がピックアップ中で、あなたには安全確保にもご協力いただかなければなりません。もちろんその前に解決できればベストですが」
 駅員が飛んできた。「のぞみ八七号」から連絡が入ったという。駅長は事務室に駆け込みマイクを握った。永井もついてきた。
「こちら新横浜駅長」
――こちら八七A車掌長。犯人が話したいと言っていますが、どうしますか?
 駅長は無言で永井の顔を見、永井も無言で頷いた。
「替わって下さい……もしもし、私が駅長だ」
――初めまして。
 中年の女の声に、駅長は思わず唾をのみ込んだ。列車を占拠した徳田信枝だろう。
「用件は何かな?」
――すぐに列車を発車させなさい。
「新下関に行きたいそうだね?」
――東京の総合指令室にさっきから言ってるけど、言うことを聞かないの。
「人質を解放しなさい。話はそれからだ」
――それはだめ。逃した途端に突入するつもりでしょう?
「一部の乗客だけでも解放して欲しい。そしたら私が、無理に突入しないよう説得する」
――やっぱり警察もいるのね?
「警察を呼ぶなとは聞いていないが?」
――それは、一本取られたわね。
 スピーカーが低く笑った。落ち着いている様子で、どうやら当分人質に危険はなさそうだ。永井がその調子ですよと言うように微笑して見せた。
「思案のしどころじゃないか?今のままでは、列車はずっと動かないぞ」
――そんなこと言ってるより、人質の安全でも考えたら?
「人質の安全?」
――十分以内に動かなければ三十分ごとに一人殺す。料金の払戻しどころでは済まないわね?
 駅長は、思わず無線機を睨みつけた。
――最終期限はこれから二時間後。その時は全員……
「私が、代わりに人質になろう」
――悪いけど、あなたの冗談に付き合うつもりはないわ。
「私では不足かね?こちらは大真面目なんだが?」
 永井が童顔の女性捜査員に何か耳打ち、捜査員は事務室を飛び出していった。
「乗客を人質に取った行為が我々鉄道マンにどれだけ卑劣に映っているかわかるかね?そういうやり方を続けているから世界中に見放され、居場所もなくなったんじゃないのか?」
――……
「新下関に何をしに行くつもりかね?」
――……
「また北朝鮮か?あそこが地上の楽園どころかこの世の地獄なのは君も知っている筈だが?」
――共和国こそ反米の砦。金将軍は……
「食い扶持は減る、国際社会では孤立する、人民が気の毒と思わないかね?」
――……
「君も気づいた通り警察が包囲しているし、マスコミも嗅ぎつけたらしい。もう逃げ場所はないぞ。役不足と言うなら私と引換えとは言わないが、君がただの殺人鬼でないなら、せめて車内にいる乗客は解放しなさい。そうすれば私も君の要求が通るよう協力しようじゃないか」
 その時、事務室に戻った女性捜査員から耳打ちされた永井が手帳にメモ、無言で駅長に示した。
――線路上に警官を入れ、床下から突入します。
 駅長はその下に書き足した。
――乗客の安全を第一に、お願いします。
 一読した永井は無言でオーケーのサインを作り、女性捜査員を連絡係に残して退室。駅長はマイクを握り直した。あとは徳田信枝の注意を一秒でも長く、無線に集中させることだ。
「どうだ?君にも悪い話ではない筈だ」
――信じられると思う?
「それはお互い様だろう?君がずっとそういう態度だと、列車も事態も動かないぞ」
――……
「まず、乗客の一部を解放しなさい。それで警察も要求を呑みやすくなる筈だ。そして最後に、替わりの人質と引換えに全乗客を解放、要求通り新下関に向かう。どうだね?」
――でも、そうするという保証――
 会話が途切れ、怒号、そして破壊音と共にスピーカーは沈黙。駅長はホーム上に飛び出すと、慌ただしく行き来する駅員の一人をつかまえて訊いた。
「突入したのか?」
「そうです」
「そうか。乗客は無事か?」
「被害は出ていないようですが、まだ確認できません」
 駅長が人ごみを掻き分け九号車付近にたどり着くと、一気に環を狭めた機動隊の間を、手錠をかけられた男女が連行されてくるところだった。
 周りを固める捜査員の先頭にいた永井が、駅長に言った。
「全員身柄を確保しました。港北署に連行します」
「乗客は無事ですか?」
「ええ。全員怪我もありません。完全解決です」
「よかった……」
 その時、連行されていく中年の女性がきっと振り返り、凄い目で駅長を睨んだ。
「裏切ったな!」
「え……?」
「この借りは、きっと返してもらうからな!」
 さっきの無線機から流れてきたものと同じ声だった。その女――徳田信枝も、今の会話から自分を、無線で話した駅長と特定したのだろう。
 十三時十七分、二十七分遅れで動き出した「のぞみ八七号」を敬礼で見送りながら駅長は彼女の台詞を反芻、ぶるっと身震いした。

 港北警察署に留置された徳田信枝らの所持品中に、新大阪までの人数分の切符があった。新下関行きの要求との矛盾に戸惑いながらも、捜査本部は急ぎ大阪府警に連絡、新大阪駅を中心に不審者の捜索を依頼した。
 徳田ら日本紅衛兵幹部逮捕のニュースは、夕方には全国を駆け抜けた。十年前の残虐な無差別爆破殺人事件は彼らこそ民衆の敵と世間に知らしめ、その後当局が攻勢に出る端緒となったが、それでも最大のカリスマである徳田を検挙し一つの区切りをつけるまで、何と多くの年月を要したことか。
 港北署もしばらくは、不祥事続きの警察の面目を久々にほどこしたこのニュースで持切りだったが、重大任務を目前に控える警備本部の捜査員達は、その余韻に浸っている余裕はなかった。それどころかこのテロリズムのカリスマがなおも演じる悪あがきが任務を最後まで悩ますとは、この時誰も予想していなかった。

二.狙撃計画(中)

 同日正午前。
 食堂で早めの昼食を摂っていた中川は、民放のニュースに箸を止めた。鶴見川で上がった死体の身許が判明したのだ。稲生正賢、五十九歳。外務省アジア大洋州局北東アジア課長補佐。食事もそこそこに刑事課に戻ると、加藤が同じニュースを見ていた。
「鶴見署(よそ)の事件に口を出すと面倒だが……関連ありなら放っておけない」
 二人が階上の会議室に上がると、工藤と話し込んでいた小田が振り返り
「何だ?」
「鶴見川の死体ですが、身許をテレビで言っています」
「何?」
 小田はテレビをつけ、画面を睨みつけた。民放と同じニュースがNHKで放映されている。
「どこから漏れたんだ?」
「わかりません。今は鶴見署の単独捜査ですが……」
「流域の地図はないか?新横浜から芦穂橋までカバーできる物が欲しい」
 居合わせた生活安全課の山崎智子(やまさきともこ)巡査部長が、港北区と鶴見区の地図を取ってきて机上に広げた。
「なるほど……何個所かで蛇行しているのか」
「そうですね。東から北、そして新羽(にっぱ)橋の先で東に折れた後も左右に……」
「それに途中数ヶ所で支流が流れ込んでいるから、そこから投下された可能性もあるな。最初の川浚いは、このS字より下流だけだったが……」
 工藤と話し込んでいた小田は、そこで顔を上げた。
「鶴見署に進言しよう。捜査範囲を拡大。それでいいな?」
 井出に電話で報告。脇で聞耳を立てる工藤が浮かべる冷笑を小田は見逃さなかった。一流とはいえ私大出の小田は、井出ら東大法学部出身者の眼中にない。中でも工藤は事ある毎にそれが言動に表れ、小田が不愉快な思いをしたのも一度や二度ではなかった。
――マスコミに出てしまったようだねえ。
「は……」
――まあいい。想定はしていた事態だ……他に、怪しい動きは出ていないか?
「所轄管内には異状なし。県下では数件殺人が報告されていますが関連ありとの報告もありません。ただ、地理的条件を考えると放置も不自然で、鶴見署と連動を開始します」
――いいだろう。何か動きがあったら、教えてくれ。
 同日、稲生正賢殺害は総書記警備と同一事案扱いが決定。但し狙撃計画が極秘のため表向き捜査態勢は変更なし。尚子が鶴見署に常駐、死体投棄時刻前後の不審者を捜索することになった。

 やはり同日。
 十二時三十三分、岡山行き「のぞみ八七号」は東京駅を静かに発車した。かつて東海道・山陽新幹線の代表列車は長い間博多行き「ひかり」だったが、それも二〇〇三年秋「ひかり」の看板を降ろし再出発。その前から既に「のぞみ」と同じ車両を投入しスピードアップしていたが、「ひかり」時代のシンボルだった個室や食堂車は姿を消していた。
 黒崎麻由美(くろさきまゆみ)は八号車の座席にもたれ、後方に流れ出した都心の風景を眺めていた。京都で時代劇の衣装合せを済ませたら直ちに帰京、夜には都内でドラマの打上げ。若手実力派女優として分刻みの日程を消化する彼女には、移動時間も貴重な休息の時だった。
 三列程前の席に、サングラスや帽子姿の男女が数名座っている。カジュアルな服装と暗い雰囲気がちぐはぐで、それにしてもどこかで見た顔だがと思いながら、麻由美は彼らをしばらく観察していた。品川発車後しばらく並走していた横須賀線と分かれた後、短いトンネルを幾つか潜りながら再び減速すると、間もなく次の停車駅、新横浜である。
 その時、デッキに現れたスーツ姿の男達に気づいた男女は、麻由美が予想しない反応を見せた。前触れもなく爆竹のような破裂音が車内を貫き
「伏せろ!」
 という声に、乗客は訳がわからぬままうずくまる。なおも断続的に響く破裂音が銃声と気づいた時には、スーツ姿の男達の姿はなく、あの男女が拳銃を手に客室を制圧。麻由美が座席の陰(かげ)でマネージャーと顔を見合わせる中、鶴見川を渡った列車は最後のトンネルを抜け、新横浜駅にのろのろと進入していった。

 新横浜は一九六四年の東海道新幹線開通と同時に、横浜線を跨ぎ開業した駅を中心とする、比較的歴史の浅い町である。一九八七年の国鉄分割民営化で新幹線がJR東海、横浜線がJR東日本の管轄になって以降ここには二人、否、地下鉄も含めると三人の駅長がいることになる。
 二〇〇二年のワールドカップ日韓大会以前から、横浜国際総合競技場や横浜アリーナを中心に観光・産業拠点の顔を持ち始めていたが、その後決勝戦招致を契機に競技場周辺は再開発中、駅も毎時最大五本の「のぞみ」が停車し、県東地区玄関の貫禄を備えつつある。来月十七日の北朝鮮総書記来訪も、そういう歴史の一ページとして残っていくのだろう。
 数次のダイヤ改正で広島・博多直通「ひかり」がなくなり、その代わり従来全席指定の「のぞみ」に自由席を新設。それらは利用者側からの変化だが、JR側の利点は全車両が三〇〇系以降の新型に統一、性能上の区別がなくなりダイヤが引きやすくなったことで、スピードアップにも何よりの好条件だった。一方、数年前の品川駅開業で県東の一部客層は移行。首都圏の玄関口分散も、地味ながら着実に進行していた。
 十二時四十分、駅長は東京の総合指令室から、驚くべき連絡を受け取った。十三分後に到着する岡山行き「のぞみ八七号」に、重要事件の容疑者が乗り込んでおり、車中で確保、新横浜駅で降ろし連行するという。
 十二時四十七分、港北署に続き現れた県警本部の捜査員が、列車を待つばかりの下りホームに駅長の先導で上がり、物々しい雰囲気に包んだ。
 十二時五十分、岡山行き「のぞみ八七号」定刻通り到着。車両はJR東海・JR西日本が共同開発した七〇〇系。正面から見るとスリッパのような、空気抵抗を極限まで減らした設計だ。「のぞみ」も今はこの七〇〇系などを充当、初代「のぞみ」用三〇〇系は「ひかり」や「こだま」に役割をシフトしていた。駅長は警官と共にホーム上で待機したが、列車が完全に停止しても扉は一向に開かず、時刻だけが容赦なく過ぎてゆく。
「どうした?」
 駅長は他の駅員に無線で確認した。
「九号車です。警察が、列車を動かすなと……」
「何だって?なぜ、急に……」
 九号車が停まっているホーム中央に急行すると、おろおろしている駅員の一人をつかまえて訊く。
「どういうことだ?」
「それが、人質がとられて……」
「人質?」
 血の気を失った駅長に、駅員と一緒にいたスーツ姿の、髪を七三に分けた男が話しかけて来た。
「あなたが、ここの駅長ですか?」
「そうです。あなたは……県警の方ですか?」
 駅長の問いに男が差し出した名刺の、肩書きの一番上には「警視庁」の文字があった。
「公安部第三課長補佐の永井(ながい)といいます」
「公安?……どういうことでしょう?」
「我々が追っていた左翼活動家が乗車、との情報があり、身柄を確保する予定が失敗、容疑者が隙を突き、乗客の一部を人質に取って九号車に立て籠りました」
「そういう情報は早めにいただきませんと……」
 駅長は抗議した。捜査上の秘密だったのだろうが、乗客に危険が及ぶようであれば看過できない。
「ホームの一般客は?」
「退避させましょう。お手伝いします」
 助役以下駅員が、警官と共に客を階下に退避させ、無人となったホーム上にずらりと並ぶ機動隊の盾が、昼下がりの陽光に鈍く輝いていた。
「その、活動家というのは誰なんですか?」
「徳田信枝(とくだのぶえ)。ご存じですか?」
 駅長は一瞬気が遠くなった。

二.狙撃計画(上)

 四月二十八日。
 中川と早紀はホテル・グレコ一階のラウンジで朝食を摂っていた。通りに面した店内にも、連休中とていつもの出張族より観光客らしい単身者・グループが目立つ。
 話題は一週間前中川が自宅近くで見かけた男。怯えさせるかもと最初は黙っていたが、隠し事は逆効果だろうと思い直したのだった。
「ひょっとして、無言電話の……?」
「かもしれないが……ホテルにはかかって来てないんだよね?」
「ええ、あれっきり。隆行の仕事関係かしら?大丈夫?」
「見覚えはなかったから、扱った事件の関係者じゃないと思う。確認はしてないけど」
「気をつけてね」
 食事を済ませると早紀と別れ、ホテルを後にする。駅前を左に折れ環状二号線沿いに北上、プライムホテルや横浜アリーナがある交差点の大きな陸橋を渡りかけ、ふと眼下を見下ろした中川は第三京浜方面から現れた、異様な車列に思わず立ち止まった。
 大部分が黒塗りやグレー、中には屋根からアンテナが突き出したライトバン。赤色灯こそないが警察車両とすぐにわかる車列は立ち尽くす中川の足元を左折して行った。署に着くと敷地はその車列が占領。全署員が右往左往する中で刑事課の自席にたどり着くと尚子に訊ねる。
「表の車……気づいた?」
「うん」
「管内で大きい事件?それとも例の、親善試合警備?」
「そっちじゃなくて、総書記訪日の警備連絡所設置だって」
「あれ?到着前日の予定じゃなかった?」
「繰り上がったみたい。理由はわからないけど」
 そこへ加藤が入ってきた。
「気づいた者もいると思うが、本日、金総書記訪日警備本部が発足、港北署にも連絡所が設置された。今後、本件については本部の指示で動いてもらうので、よろしく頼む」
「予定が繰り上がったようですが、理由は何ですか?」
「八時半に大会議室に集合。警備全般の指示がある。繰上げの理由もその時説明があると思う」
 上階の大会議室正面には一目で警察幹部とわかる面々がずらりと並び、署長以下港北署の幹部はその脇に着席。当日が近づけば南北朝鮮側の担当者も加わる筈だ。各所に据えられた電話機・パソコンやFAXのコードが何十本も床にとぐろを巻き、連絡所どころか警備本部並の規模だ。中川達も室内後方に着席、定刻通りに会議が始まると正面幹部席中央の、髪を油で撫で付けた目つきの鋭い男がマイクを執った。
「警備局付の小田だ。北朝鮮総書記来日警備事案で、局長に代わり自分が指揮を執る。今後諸君も指揮下に入ってもらうが、自分は全行程の警備を預かる都合上、常時はこの、工藤管理官に詰めてもらう」
 小田はそう言い、隣席の小柄な男を紹介した。工藤義将(よしまさ)警視、神奈川県警察警備部管理官。立ち上がりわずかに頷くと、半分興味がなさそうな顔で室内を見渡す。それに続く幹部捜査員の紹介を聞いていた柳沢が、眉間に皺を寄せた。
「何で外事がいるんだ?」
 柳沢が言ったのは、最前列に居並んだ外事課捜査員のことだ。
「外事?じゃあ、北のスパイ対策ですかね?」
「だと思うが、警備本部ならともかく一連絡所にいきなり顔を出すというのは……」
 所轄の私語が耳に入ったか入らなかったか、咳払いをした小田は本題に入った。
「まず重大な情報がある。今回の訪日中に総書記を狙撃する計画の情報が、韓国から入った」
 そのひとことで、会議室が水を打ったようにしんとなった。
「北朝鮮の前国防相失脚のニュースは知っていると思うが、その支持勢力が総書記暗殺を計画しているとの情報をNISがキャッチ。平壌が内々に、外部のプロに阻止を依頼した、との情報もある」
「狙撃が訪日中という根拠は?」
「一つは、自国内ではさすがに警備が厳しい点。一つは責任を日本政府に転嫁できれば外交カードになる点。その意味で今回の親善試合はまさに格好の舞台だ」
「もう入国しているのでしょうか?狙撃犯にしろ、政府側のプロにしろ」
「双方の素性、所在、ゴーサインの有無および時期は不明。国際便が発着する各空港・海港には既に連絡、不審な入国者のチェックを指示した」
「解任された、ええと……何て言いましたっけ?今は、香港に滞在中でしたね?」
「その通り。狙撃計画への関与の有無は不明」
「訪日中と言っても、他の場所で狙う可能性もありますね?」
「その通り。滞在先各府県警にも連絡、警戒を要請した。まだ情報が少なく、我々も今はこれ以上対応しようがないのが実情だ。今後は南北朝鮮当局からも最新の情報が入ってくるが、国際刑事警察に依頼、政府側が依頼したプロの割出し中だ」
「平壌がプロを雇ったというと、黒幕はあくまで前人民武力相の支持勢力ということでしょうか?」
「そのようだが、今後は我々も独自に情報収集。具体的な指示は適宜出すが諸君もそのつもりで」
 小田はそこで言葉を切ると、あらためて全捜査員を見まわして言った。
「最後に確認しておくが、狙撃計画だけでなく総書記観戦も極秘。外部はもちろん、警察内でも当警備任務担当外の者には一切口外しないこと」
 散会後所轄捜査員は一旦自席待機、警備本部が割り振った任務に駆り出されていく。中川は警視庁公安部外事課の磯貝貴美子(いそがいきみこ)警部と組むことになり、車を廻そうと玄関へ向かう途中で伊東と斉木にぶつかった。外出の帰りらしく二人共スーツ姿だが顔をこわばらせ、斉木は蒼ざめていた。
「どうした?二人共怖い顔をして」
「怖い顔は生まれつきです」
「冗談だってば」
 そこで伊東が話を戻す。
「昨日の夕方、栄署管内の柏尾川で学生の水死体が揚がったのはご存じですか?」
「ああ……それがどうしたんだ?」
「顔見知りだったんです」
「本当か?」
「一週間前、競技場の横浜―島田戦で発煙筒騒ぎがあって、実はその犯人だったんです」
「そう言えばテレビの生中継で、スタンドから煙が出ていた……殺人(ころし)か?」
「腹部に銃創がありました。撃たれたか自分でやったかは不明、凶器も未発見ですが、携帯電話や血痕の発見現場との位置関係は一致します」
 通りかかった尚子が割り込んできた。
「動機は?物盗りかなあ?」
「財布に五千円と銀行のキャッシュカードが手付かずで残っていました。該当する銀行に念のため問い合わせましたが、事件前後不審な出金などはなかったそうです」
「となると無差別か怨恨……ああ、それで、発煙筒騒ぎ絡みで事情を訊かれたわけね?」
「ええ。ただ別に怪我人が出たというわけでなし、あれが動機になったとは思えないんですが……」
 そう言い、まだ信じられないとばかりに首を左右に振る、斉木の後を伊東が補足した。
「気になるのは、発煙筒騒ぎを一万円で唆した男がいたと被害者(ガイシャ)が言っていたことで、栄署もその情報に注目しています。港北署が扱った案件ですから、関連ありとなれば協力要請があるでしょう」
 翌二十九日、栄署に捜査本部設置。血痕は東海道線東側の空き地から線路をまたぎ、遺体発見現場上流の川岸まで続いていた。血液型は被害者と同じO型。被害者はこの空き地で負傷、自力で川岸まで到達後溺れたものと見られた。凶器と思われる銃器は、弾丸などを含め遂に発見されなかった。
 事件当日から被害者の行動を遡った結果、最後に残ったのは競技場で接触してきたという男だけになった。捜査本部はこの男を重要参考人と認定、港北署に捜査協力を要請。発煙筒騒ぎで被害者と面識もある伊東と斉木は通常任務を離れ、この人物の足取りを調べることになった。


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