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2015年ワールドカップ・カナダ大会も大詰めを迎えている。
本大会が始まる前から今に至るまでの
我らが代表(なでしこジャパン)に対する我が国の報道の仕方に
疑問を感じ、腹を立て、その影響を心配し続ける日々を送っている。
準決勝までの6試合全て一点差ではあったが、
勝ち抜いて、結果を出し続けて、決勝までたどり着いたことをようやく評価され始めてきた。
しかし、一点差ゲームの内容を持ち出しては不安を煽ることばかりの報道は、
曲がりなりにも女子サッカーを集中して見続け4年目となる私にとって、
何を目的にしたいのか全くわからない意味のないものに思えて仕方がない。
本大会は予選グループを1位通過することが
その後の移動距離を考慮すると最善であり、
決勝トーナメントに至っては、内容はどうあろうとも勝ち続けなければならない。
その全てをなでしこはやってきた。
内容は悪かろうとも結果を出し続けてきた。
W杯では内容が優れなくても結果を出すことが一番で、それに代わるものなど存在しない。
これまでの全6試合、度を越したハラハラドキドキが過ぎる内容で、
それに不満を持つ人もいるのはわかるが、
しかし、どんな状況においても、楽な試合など一つもない。
ましてやW杯なのだから、
先のことよりも目の前の一試合に全力を挙げて勝たないことには明日はない。
この緊張感を共有しているかいないかによって、捉え方が全く異なってしまう。
ネット上でのニュースを拾い読みすると、
長年なでしこを追い続けている人たちの記事は、
過度に不安を煽ることのない全うな内容で構成されており、
我が国の女子サッカーの実情を理解している方はある意味冷静だと読み取れる。
男女関係なく、どのスポーツや競技においても、
世界規模の大会で連覇することは非常に困難であり、
その舞台にたどり着いたことでさえ、快挙とほぼ同義である。
私たちは今一度それを理解した上で、
なでしこが決勝に勝ち上がったことを見直さなければならない。
その今があるのは、グループリーグ一試合目のスイス戦で
負傷退場を余儀なくされたのと引き換えにPKを獲得した
安藤梢の勇気あるプレーが全てのきっかけである。
私がなでしこリーグを観始めた頃、彼女はもうすでにドイツでプレーしていたので、
実際にスタジアムでプレーする姿を観たことがない。
けれども、彼女がなでしこの他の選手たちと同様に、
あるいは、別の部分でそれ以上に優れた選手であると認識している。
それは彼女の著書
「世界でたたかうためのKOZUEメソッド」
を読んで知った。
この本を初めて手にした時、
他のスポーツ選手が書いたものとは全く違った印象を受けた。
そして、初めに買った本は
ベルの応援観戦を通じて顔馴染みとなり、
その頃からサッカーをし始めた女の子に差し上げることにしたが、
その後すぐ買い直して手元に置き、事あるごとに読み返している。
この本の「はじめに」の終わりに近い部分に、
この本は、読んでサッカーが巧くなることを目指して書かれたとあるが、
無論私自身がこれからサッカーをし始めて巧くなろう
と志して手元に置いているわけではない。
同じく「はじめに」の別の箇所に
「(略)プレーしながら、日々、研究とトレーニングを積み重ねています。」
との件に始まり、それ以降の具体的な記述を読んで、
この本は、自らを対象し、実験台とした優れた科学研究書であると共に、
狭いところで言うと、ビジネス、
広く捉え直すと、この世界で生き抜くための考え方と行動の参考本
と認識しているからである。
ふつうサッカーが巧くなる本の最初には、
ボールの取り扱い方が記述されていると想像するが、
この本では
「正しい走り方」
から始まる。
この件は非常に理論的で、それを安藤自身が実証していくことによって
走力という結果が伴ってくる内容を読み、
スポーツトレーニングは科学研究であると実感した。
このことが頭に入った上で実際の試合を観ると、
一生懸命なのはわかるが、走り方がわかっていないため、実が伴わない選手が意外に多いと知り、
この本を差し入れるとの余計なお節介をしようかとも思ったことがある。
話は逸れるが、私事ながら、冬に1.7kmばかりを走るイベントに参加する際にも、
この正しい走り方をお手本にして練習と本番に臨んでいる。
また、大(長期)、中(中期)、小(短期)の目標設定方法や、
P(plan:計画)、D(do:実行)、C(check:点検)、A(act:改善)
の四つの過程を常に繰り返すことによって、
業務を継続的に進歩させる考えのPDCAサイクルの記述に至っては、
サッカー本と言うより、ビジネス本と言って良い内容で、
この件より、どの世界に生きようとも、
何かことを成し遂げるための根本は同じなのだなとわからされた。
もちろん、この他に、技術、戦術、精神面、生活習慣に加え、
海外でのコミュニケーションなど
サッカー選手にとって必要なことは全て書いているが、
それは別にサッカーを志さない人たちにとっても大切なことである。
特に、5章に当たるmethod5の小節36の題名が
「目的は、あくまで勝つこと」
となっている箇所を読むと、
2011年W杯ドイツ大会、2012年ロンドンオリンピック、そして、2015年W杯カナダ大会と
どうしてなでしこが決勝まで行くことができたかが十分に理解できる。
加えて、この本は1、2ページの短く読みやすい小節から構成され、
各章の終わりには、正しい走り方や目標の立て方、PDCAサイクルの説明
といった重要な内容のわかりやすいまとめや、
彼女自身がこれまで歩んできた中でのエピソードを取り扱ったコラムが設けられ、
読み手の理解を助けるかたちに仕上げられているところにも非常に感銘を受ける。
そして、いよいよ迫った決勝戦のベンチには
初戦で骨折しチームを離れて帰国し手術を受けた安藤が戻ってくる。
このことを我が国の報道は騒ぎ立てるであろう。
それに付随して彼女のことを色々紹介するだろうが、
彼女がなぜ素晴らしい選手なのかを理解するためには、
この「KOZUEメソッド」を読むのが一番であると考えるので、
この時期に敢えて紹介することにした。
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