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イギリスで共同体意匠権の有効性と保護範囲に新たな判断

事件概要
PMS社は2002年に中国製の棘がたくさん出ているプラスッチボールを欧州でマッサージ用ボールとして販売開始した。Green Lane社は類似する2種類のプラスチックボールを洗濯物乾燥用として販売し、4件の共同体意匠出願も2004年8月23日に行った。出願ではロカルノ商標分類07.05でアイロン及び洗濯、洗浄、乾燥器具が指定された。その後、PMS社は2006年に洗濯用ボールや手具、おもちゃ、犬の訓練具などの分野での販売を決定した。Green Lane社はPMS社に対して販売の差止を求め、PMSはGreen Lane社の共同体意匠権無効確認訴訟を提訴した。

2008年4月24日付け王立高等法院のJacob裁判官は、[2008] EWCA Civ. 358判決 http://oami.europa.eu/PDF/design/cdcourts/Laundry_balls_2.pdf で、2007年7月17日の英国控訴裁判所の判決「2007」EWHC 1712(Pat) http://oami.europa.eu/PDF/design/cdcourts/laundry_balls.pdf でのLewison判事の決定を維持し、共同体意匠でしばしば議論される、新規性の判断における先行例(prior art)と関連する産業界(the sector concerned)及び共同体市場で事業をする関連産業界の特定集団(The circles specialised in the sector concerned, operating within the Community”)に関する明確な判断を行った。これでは従来のOHIM、イギリス特許庁や欧州の弁護士が共同体意匠事件における理解とは異なり、新規性の阻害対象となる先行例は出願時に指定した物品に関連する産業界以外の産業界での先行例も含まれるとするものである。今後各国の対応を見守る必要があるが、各社の権利行使において注意が必要となった。

日本での意匠権の権利範囲は対象意匠で指定した分野に限定されるとの考えがあると理解しているが、欧州共同体意匠制度ではその10条で、例え出願時に物品の分野を指定していたとしても、その分野に限られず広く権利保護の範囲が認められている。一方、権利化においては新規性(第5条)と独自性(第6条)の規定がある。第7条はそれらの開示について規定しているが、従来、新規性の阻害対象となる先行例は出願時に指定した物品に関連する産業界での新規性に限る考えが主流であった。今回の判断は、広範な権利範囲付与に対応し、類似する先行例がでてきた産業界はいずれも含まれるとの考え方であり、Jacob裁判官は特許における新規性について言及しながら公知公用の観点は同様であるとの考えを示した。

欧州での意匠権出願と権利行使について、今後は考え方を変えなければならないようである。アメリカでは既に対象物品や意匠分類に関係なく新規性判断がなされるし、中国でも意匠特許制度改正の中で同様の議論がなされた経緯がある。このようにして考えると容易な追加創作やデザインの転用による商品化がなされると現在所有している意匠権にリスクが生じることになる。反対に、侵害を構成することもありうる。従って、商品化前の事前調査がより重要となるだろう。

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CDR関係条文
第7条開示(新規性)
第36条出願方式の2項
説明文(14)
http://oami.europa.eu/ows/rw/resource/documents/RCD/regulations/62002_en_cv.pdf

2008/9/2(火) 午前 9:18 [ y.aizawa ] 返信する

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