アルビノについてのマニアックな知識をひけらかすブログ

長いので「アルビノについての(略)ブログ」でいいです。基本的に文献レビューです。

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   一般の人向けに書かれた遺伝学の啓蒙書でアルビノがどんな扱われ方をしてるのかは、すでに確認しました。では、それよりもちょっと専門的なものになるとどうなるかを簡単に見てみます。ただ、啓蒙書のときほど気合い入れて集めてないので、手元に本かコピーがあるやつから適当に紹介するだけです。

   まずは、アルビノの調査・研究もして、家系図もたくさん収集して、著書のなかでの言及も多い駒井卓が充実してるので、その紹介からです。
   啓蒙書にも、遺伝法則を説明するのとは別に、主な遺伝性疾患を体の部位・器官ごと(目、皮膚、血液、呼吸器など)にそれぞれまとめてるタイプのがありました。そんなわけで、アルビノは皮膚や目、代謝の「異常」とかの項目に出てきます。戦前のもので古いんですが、『日本人を主とした人間の遺伝』の「皮膚と毛」という節に「全身白化症」が登場しており、そこでついでに家系図も用いて「潜性因子」、つまりは劣性遺伝の説明もしています。さらについでに、「白児の様にめったにない病気の因子である場合は、血族結婚でないと中々ありません」と、これまた定番の注意をうながしています(駒井 1942: 94-8)。
   ところで駒井は、優生についても積極的に発言する遺伝学者で、『遺伝と家系』という本も書いてます。この本は個別形質ごとに節が構成してあって、そのなかに「白児の家系」もあります。ここでもやっぱり、劣性遺伝の説明の後に「大ていは血族結婚の子です」と続きます(駒井 1949: 33-5)。
   それから、メンデルの遺伝法則を説明するにあたって、常染色体劣性の遺伝形質の代表例として出てくるのは啓蒙書と同じです。「たとえば白児 albinism がそれである」とか(駒井 1957: 22)、「この型の遺伝の例は白子 albinism に見られる」などです(駒井 1966: 34)。

   啓蒙書ではお目にかかれないだろう別のパターンもあります。駒井は「優生手術の実効」を数字を使って解説しており、実際に断種手術をしたとしてどれくらいの効果があるのか計算してます。いわく「いとこ婚の頻度を6%とすると、その遺伝子頻度は0.0042になり、ホモの白子の数は1億人中におよそ3,230人、またヘテロは840,000人くらいの数になる。この白子をすべて断種するとしても、その遺伝子の99%以上はヘテロの形で、外見上正常の人の中に隠れているから、優生の目的に向かってはほど遠いわけである。/一般に白子などの純劣性遺伝病は、集団中の頻度低く、それだけヘテロのものの比率が高くなっている。そのホモ、すなわち病者の生殖力を毎代ことごとく奪っても、遺伝子頻度の減じる速度は、いたって遅いものである」だそうです。この文章の後には計算式が続きます(駒井 1966: 226-7)。
   あるいは別の本でも「優生手術が、どれほど悪い遺伝素質を淘汰する実効をあげることができるか」を論じていて、計算式だけでなくグラフも用いて説明し、最後に「白子はおよそ人口20,000人に1人、0.005%あるが、これを半分の0.0025%にするには200代ほどかかるわけで、1代を30年とすると、6,000年かかることになる。なにしろ気の長い話である」と結んでます(駒井 1963: 216-9)。

参考文献
駒井卓, 1942,『日本人を主とした人間の遺伝』創元社.
駒井卓, 1949,『家系と遺伝』北隆館.
駒井卓, 1957,『人類を主とした遺伝学(改訂版)』培風館.
駒井卓, 1963,『遺伝学に基づく生物の進化』培風館.
駒井卓, 1966,『人類の遺伝学』培風館.


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