俳諧徒然草

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百人一首を詠む

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百人一首改観抄2

2 春すきて夏きにけらし白妙の衣ほすてふ天のかく山   持統天皇 

持統天皇(645〜702)
第四十一代、諱高天原廣野姫天皇、初為皇女時諱鵜野讃良(ウノノサララノ)皇女、
天智天皇第二皇女、母越智姫、大臣蘇我山田石川麿女、初天武皇后、在位十年


新古今集夏巻頭題しらずとて入、もとは万葉第一に藤原宮御宇天皇代天皇(フジハラノミヤノアメノシタシロシメススメラミコトノミヨ)御製歌とて、第二句夏来良之(なつきにけらし)、第四句衣乾有(ころもさらせり)とあり、今案、夏来良之は同しき第十云「寒過暖来良之朝日指滓鹿能山爾霞軽引」(ふゆすぎてはるはきぬらしあさひさすかすかのやまにかすみたなびく)此点になずらへて思ふに、夏は来ぬらしと点すべし、かの集にけりといふには来の字をかけり、けらしはけるらしなればきにとにの字を今ひとつ有べきなり、但是理におきては違ことなし、衣乾有もまさしくはほしたりと点すべきにや、是また心はかはらず、春過て夏来にけらしとは同集第十九の長歌にも春過而夏来向者(ハルスギテナツキムカエバ)云々、文選宋玉が登徒子好色賦云、是時向春之末迎夏之陽、これらと同じ心なり、白妙とは白きは本色なればおほく白妙の衣ともよめり、かく山は大和国十一郡にて、高市郡藤原宮より近く見やらせ給へば、山片付て住家々々より、箱の中にたゝみおけりし夏衣をとり出てほせるが数多白妙に見ゆるに付て、はや春は過て夏こそ来ぬらしと、時節を感じてあそばせるなり、管家首夏詩に、開箱衣ハ帯隔年香ヲと作れり、袖中抄に風俗歌を出して云、「かひかねに白きは雪かいなおさのかひのけ衣さらすてづくり」是山に衣ほす證歌なり、又万葉第十四に「筑波禰爾由伎可母布良留伊奈乎可母加奈思吉兒呂我爾努保佐流可母」(ツクハネニユキカモフラルイナヲカモカナシキコロカニノホサルカモ)下句はかなしきこらがぬのほせるかもなり、かなしきはいとをしき心なり、此歌布をおほくほせるが雪のやうなるを興じてよめるか、又初雪などの所々ふれるを興して布ほせるとよめるか、いづれにもあれ、山に布ほす證なれば、衣にもかよはして證すべし、古抄に霞のはれて山のあきらかにみゆるを白妙の衣ほすとはいへり、ほすは衣の縁にいふなり、又云いかでか明に見ゆればとて、白妙の衣といふぞといふ人あり、春は霞の衣におほはれたる山に、其衣をぬぎたるやうになれば白妙の衣といへり、霞の衣をもていへる詞也といへる説は心得がたし、雲の衣霞の衣などいふは、衣の身をおほふごとくなればいふなり、されば霞の晴れたらんをば衣をぬぐとはいふべし、いかでか青々とのみ見ゆる山を、白妙の衣ほすとはよませ給ふべき、春はかすまで夏に入て霞むものならばさも釈すべし、其上霞と云文字さへなきを、とかくいふこと暗推也、但ふるく此御製を取てよまれたる歌どもをみるに、いかゞ心得られけんとおぼつかなきこと多し、又衣さらせりは、叡覧のうちつけなるを、衣ほすてふと改められたる事もと心得がたし、其故はほすてふは、ほすといふといへる詞なるを、登以切知なれば万葉にはつゞめて知布(ちふ)ともあり、多知豆氐登(たちつてと)五音通ずる中に、知と氐二四相通じて移しててふとはいへり、しかれば昔かく山に衣ほしたる山緒などのあるをよませ給ひ、又は臣下の只今香山に衣ほしてさふらふと奏するを聞しめしてあそばせるやうにて、叡慮にかなはずや侍らん、

追考
為家卿後選抄云、いつはりをぬれぎぬといふ事は、むかし虚実をたゞさんために、大和国天香山にて、夏の日かたびらをぬらして神楽をしてみるに、すごさぬ人のきぬはやがてひるなり、すがしたるものゝ衣はさうなくひぬなりとあり、又神名帳大和国十市群天香山ニ坐ス櫛間ノ命ノ神社、此神などをまつれるにや、旧事記云、令中臣祖天兒屋命忌部祖天太玉命而内抜天香山之真牡鹿之肩抜而取天香山之天波々迦而令占矣、(中臣の祖アメノコヤネノミコト、忌部の祖アメノフトタマミコトをして、天香山のマナカの肩をウツヌキに抜きて、天香山の天のははか(朱桜)を占はしめ)
おほよそ後鳥羽院の御時より後歌の体改りて、作者おのおの俗を出て気高からんとのみよめば髣髴たる詞づかひ多く聞ゆ、されば古歌の詞を改て、時に叶らるゝも、時の好みに随ひておぼつかなくなれるなるべし、新古今に「みねこえて雲に翅やしほるらん月にほすてふ初かりの声」此ほすてふといへる詞も、おろかなる耳にはうけたまはり得がたし、右二首上治まれる世のみかどの御歌を初におかる、女帝の御歌を第二におかれたるは陰陽の理をふくめるにや。

古今集恋二小野小町「うたゝねに恋しき人をみてしより夢てふ物は頼そめてき」此てふは上にいへるごとくといふと云心にてよく聞えたり、されど中世以来てふといへる詞をなるといへる詞の所に用ひ来れる事あり、同し古今集夏紀利貞「あはれてふことをあまたにやらしとや春におくれて獨咲くらん」このてふはなるといへる詞にして用たるとみえたり、続後撰集太上天皇「冬来ては衣ほすてふ隙もなくしくるゝ雲の天のかく山」是は此新古今集に入たる御製に全くよりてよめる歌とみゆ、月に干てふも哀てふの詞つかひにして、なるといふべき所にてふと置たるとみて然るべくや。


※元歌は、更衣の歌だとか。きにけらしをきたるらし、ほすてふをほしたりと
いうのが元歌という説もあるが、百人一首には上記のほうが口調が良くてこ
ちらを採られたのであろう。


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