"やいたもん"の文学館

大きな人生の転機がありました・・・

十三時代〜とさみち〜(完結)

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第2話

綾奈は、病院からの帰り、久留美の家に寄り道をした。
そして、真っ直ぐ輝明に部屋に向かった。
それは、写真部について聞くためでもあり・・・
綾奈が輝明の部屋に入ると、
輝明は、ベッドの上で音楽を聞きながら寝転がっていた。

綾奈「だらしないなぁ・・・」
輝明「何だいきなり。しかも、入ってくるなりダメだしかよ。
   ところで、何のようだよ?」

綾奈「輝君に、私の制服姿を見てもらおうと思って。」

綾奈が制服姿を見てもらいたい人、それが輝明だった。
実は輝明こそ、綾奈が密かに魅かれている人だった。
輝明は、特別格好良いところもなければ、
勉強やスポーツが出来るわけでもなく、モテるわけでもない。
ただ、幼馴染みと言うだけ・・・
でも、それが綾奈にとって大きかった。
思春期を迎えた綾奈の中で、
気が付けば、輝明が一番気になる存在になっていた。

しかし、そうとは知らない輝明の反応はそっけなかった。

輝明「何で?」
綾奈「何でじゃないよぉ。可愛い後輩がお披露目に来たんだから、
   可愛いとか綺麗とか、それくらいの事パッパと言えないの?」

輝明「えぇ〜? そんな歯が浮き過ぎて総入れ歯になりそうな事言えませ〜ん。」
綾奈「もう、気が利かないんだから・・・」

綾奈は、普段は引っ込み思案でおとなしい感じであったが、
知り合いには、今みたいに話せるタイプだった。
輝明もその1人であり、先輩だけど、タメ口で話せた。
綾奈は、輝明のお世辞の期待を諦めて、ベッドの縁に腰掛けた。

綾奈「ところで、写真部ってどんな部活?」
輝明「何だよ、いきなり。」
綾奈「私、写真部に入ろうかなって思って。」
輝明「お、いい心掛けじゃん。歓迎するよ。」

輝明の説明によれば、写真部の活動は、基本的に個人単位で部員も少なく、
定期的な集まりも、1週間に一度あるかないかくらいだという。
聞けば聞くほど、綾奈にとっては好都合な部活だった。

輝明「それにしても、何で写真部なんだ?」
綾奈「久留美の勧め。私は人見知りするから、知り合いがいる方がいいだろうって。
   それに、ウンチだから、文化部の方がいいって・・・」

輝明「なるほどね。確かに綾奈には文化部の方が似合うかも。
   でも、俺なんかは、芸道部とかも似合うと思うけどな。」

綾奈「芸道部って?」
輝明「茶道とか華道とかやってるところ。着物とか着るからさ、
   綾奈には着物とか似合うだろうなって思って。」


輝明の言葉に、綾奈は少し気恥ずかしくなった。
着物が似合うと言われて嬉しかったのもそうだが、
そういう風にちゃんと見てもらっていた事が嬉しかった。

綾奈(一応、女として見てもらってるのかな?)

ただ、いろいろ考えた上で、綾奈は、写真部に入る事を決めた。
そして綾奈は、早々と入部手続きを取ると、
その日から放課後は、輝明と一緒に行動する事が多くなった。
何より、綾奈は、ちゃんとしたカメラを持っていなかった。
デジカメでいいよと言われて、それで写真を撮っていたが、
やはり、輝明の一眼レフのカメラと比べると、
何か、写真部として、ちゃんと活動出来ていない気がした。
だから、時々輝明のカメラを借りて写真を撮ったりもした。

綾奈「私も一眼レフのカメラ欲しいな・・・」
輝明「大事なのは、何で撮るかじゃなくて、何を撮るかだから。
   最近のデジカメは、普通のでも性能が良いから大丈夫だよ。
   久留美も、綾奈が撮った写真見て喜んでんだろう?」

綾奈「うん、まぁね。」

綾奈の周りには、撮りたいものがたくさんあった。
綾奈が住む町は、はっきり言って田舎だ。
周囲を山に囲まれ、街道や鉄道沿い、市役所周辺に街が広がっていたが、
その何倍もの広い田園風景が周囲に広がっていた。
綾奈の住む住宅地は、市役所がある街よりももっと北、
もっと田園に囲まれ、もっと山に近い場所にあったが、
だからこそ、被写体には困らなかった。
今の綾奈は、春の自然の景色を写真に収めるのが楽しくて仕方なかった。

そんな感じで、綾奈の中学生活の出だしは順調だったが、
しかし、そんな輝明と綾奈は、早速、学校で噂のカップルになっていた。
新入生があると、新入生や先輩たちは、
男なら女、女なら男と、同級生や後輩たちの中で、
誰が可愛いか格好良いかと品定めをし、それが恋愛に発展していく事も多いが、
輝明と綾奈は、一緒に行動する事が多かったため、
そんなカップルのひとつとして注目されていたのである。
その噂は、すぐに輝明や綾奈の耳にも入ってきたが、
2人は、友達にはそれを否定するか、曖昧にしていた。
綾奈が曖昧にしていたのは、自分の気持ちに嘘をつけない部分もあったからだ。

綾奈(噂が本当でも・・・私は構わないんだけど・・・)

そんな事さえ思っていた。

そんなある日の放課後、いつものように輝明と2人で写真を撮りに出掛けると、
輝明は、カメラを構えようとする綾奈にこう言った。

輝明「今日は、綾奈を被写体に写真を撮りたい。」
綾奈「え?」
輝明「綾奈をモデルにして写真を撮りたい。」

突然の言葉に、綾奈は唖然とした。
しかし輝明は、以前から、誰かをモデルにした写真も撮ってみたかったという。
今まで頼める人がなく諦めていたが、綾奈なら・・・と思ったのだ。

綾奈「私なんかでいいの?」
輝明「悪かったら頼まないよ。」

輝明にそう頼まれたら、綾奈に断る理由はなかった。
すると輝明は、綾奈と一緒に地元の城山公園に向かった。


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