"やいたもん"の文学館

大きな人生の転機がありました・・・

十三時代〜とさみち〜(完結)

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第6話

綾奈たちは、1学期の期末テストを迎えていた。
けれども、翔矢との関係は、相変わらず修復されないままだった。
ただ、輝明との交際は順調で、カメラを持ってはあちこちに出掛け、
一緒にひとつのブログを作って、そこに写真をアップしたりもしていた。
1日の平均アクセス数が1000件を超える人気ブログだったりもする。
しかし、綾奈は、翔矢との関係修復を諦めていたわけではなかった。

定期テストの時期は、部活が休みになる。
もちろん、その時間を勉強に当てるためだ。
ただ、遊ぶ奴もいる。例えば翔矢だ。
翔矢は、期末テストで部活が休みになるその日から、
友達を家に呼んで遊ぶ約束をしていた。もちろん、野郎一色。
ところが・・・
翔矢は、さっさと家に帰って、友達が来るのを自分の部屋で待っていたが、
そこへ、いきなり綾奈が入ってきたのである。
その時、翔矢は、ベッドでゴロゴロしながらテレビを見ていたが、
綾奈の顔を見て、慌てて飛び起きた。

翔矢「な、何だよ綾奈!?」
綾奈「一緒に勉強しようと思って。」
翔矢「はぁ!?」
綾奈「小学校のテストとは違うんだから。
   真面目に勉強しないと、点数悪くなっちゃうよ。」


そう言って綾奈は、部屋のテーブルに、
スポーツバッグに入れて持ってきた勉強道具を広げ始めた。

翔矢「ちょっと待てよ! 勉強は自分の家でしろよ。
   俺は、これから友達が来て遊ぶんだから。」

綾奈「じゃあ、私も遊ぶ。それで、みんなが帰ったら一緒に勉強しよ。」
翔矢「はぁ!?」

わけが分からなかった。
とにかく翔矢は、綾奈を追い出そうとしたが、
そうこうしている内に、友達が遊びに来てしまった。
友達も、最初は綾奈がいてきょとんとしていたが、

綾奈「こんにちわ! 今日は私もまぜてね。」

・・・と、普段の綾奈からは考えられないほど積極的に話し掛けると、
そこは男、すぐに綾奈を歓迎した。
それからは、翔矢そっちのけで、
綾奈はゲームやパソコンなどで、翔矢の友達と遊びまくった。
綾奈は、もう正攻法で強行突破するしかないと考えていた。
だから今日は頑張っていた。

ただ、綾奈が何を考えているのか、翔矢には全く分からなかった。
しかし、ちょっとだけ嬉しくもあった。
こんな風に、綾奈と一緒に何かをやるのは久しぶりだ。
ここ1〜2ヶ月気まずかったのが嘘のように、
綾奈と翔矢は会話が出来ていた。

そして、楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、
友達は、それぞれ家に帰っていった。

綾奈「じゃあ、次は勉強だね。」
翔矢「もう夕飯だぞ。」

すると綾奈は、勉強道具を入れてきたスポーツバッグから意外なものを取り出した。
「ジャーン!」と言って綾奈が出したもの。
それは、綾奈の手作りのお弁当だった。

綾奈「夕飯は、これ食べながら勉強しよ。」

用意周到な綾奈に、翔矢は唖然とするしかなかった。
そして、綾奈の弁当を食べながら、期末テストの勉強を始めた。
だが、翔矢は、勉強よりも
久しぶりの綾奈の手料理の味が懐かしくて仕方なかった。
綾奈は、普段は家の家事を手伝っていて、料理なんかも得意だった。
綾奈も料理好きで、新しいものを覚えては、
まず久留美と翔矢に味見をしてもらっていた。
そんな関係で、綾奈も翔矢の好みをよく知っていた。
その弁当には、翔矢が嫌いなものどころか、
好物ばかりが詰め込まれていた。

綾奈「分からないところがあったら言ってね。」

けれども・・・
翔矢には、なぜか怒りがこみ上げてきていた。
何で、こんなにご機嫌取りばかりするのか、
そう思うと、意味が分からなくて、
何だか馬鹿にされているような気持ちにもなって、
反発心ばかりが湧き上がるのだった。

翔矢(悪い事をしたのは、俺なんだぞ・・・)

自分を責めていたのは、綾奈だけではなかった。
翔矢も同じだったのである。

翔矢(そんなに幼馴染みって大事なのかよ。
  俺は、綾奈が兄貴と付き合ってるって分かっててあんな事したんだぞ。
  普通なら・・・それで全部終わりじゃん。今までの関係も全部・・・
  なのに、何で俺に近寄って来るんだよ・・・)


翔矢は、怯えるように疑心暗鬼に陥り、
そして、その一種の恐怖心は、どんどん怒りへと変わっていった。

翔矢(俺は・・・綾奈を好きって言ったんだぞ・・・)

次の瞬間、翔矢の体は、無意識に動き出していた。
突然、綾奈の手首を捕まえると、強引に綾奈を引っ張り、
綾奈をベッドに仰向けに押し倒すと、
翔矢は、綾奈の両腕を押さえ付けたまま、その上に馬乗りになった。
何の前触れもない翔矢の行動に、
綾奈はわけが分からず、強い力で押さえ付けられ全く動けず、
綾奈は、さすがに恐怖を覚えた。

綾奈「ど、どうしたの・・・」

少し震えた声で綾奈が聞くと、
翔矢は、怒りを押し殺したような重く低い声で綾奈に言った。

翔矢「綾奈は、俺なんかといて怖くないのかよ・・・」
綾奈「え・・・」
翔矢「綾奈は、こうなるって思わなかったのか?」
綾奈「・・・・」
翔矢「俺は、綾奈を好きだって言ったんだ。
   俺は男だぞ。好きな奴と2人きりになったら・・・
   こういう事だって考えてるんだ・・・」


だが、そう言っている翔矢の体は、わなわなと震えていた。

翔矢「俺は、こうなるのが嫌だった。
   綾奈も嫌だと思ったから・・・だから離れたんだ。
   俺は、綾奈が好きだから・・・」


翔矢の全ての言葉を聞いて、綾奈の目には涙が溢れていた。
それは、恐怖の涙でも、翔矢に対する怒りの涙でもなかった。
また、翔矢の気持ちを分かって上げられなかった、
自分を責める悔し涙だった。

綾奈(中学生になんて、ならなければ良かった・・・)

中学生にならなければ、輝明に告白される事もなかった。
翔矢だって、今まで通りの幼馴染みでいてくれただろう。
今まで通りで良かったのに・・・
でも、時は流れていく。この流れには逆らえない。
だったら・・・
綾奈は、静かに目を閉じて言った。

綾奈「だったら・・・いいよ。」
翔矢「・・・・」
綾奈「翔君が、私と一緒にいると男になっちゃうって言うなら、いいよ。」
翔矢「な!?」

綾奈は、全身を力を捨てて、その全てを翔矢に差し出した。
翔矢は、もう、少しも抵抗しなくなった綾奈を見て動揺した。

翔矢「ば、馬鹿な事言うなよ。」
綾奈「そうかも知れない・・・
   でも、もう嫌だよ。翔君とわだかまりを抱えたままでいるのは。
   だから、それで翔君の気持ちが晴れるなら・・・
   また、昔のように仲良くいられるなら・・・」


翔矢は愕然とした。

翔矢(俺は、綾奈に何を言わせてんだよ・・・)

すると翔矢は、綾奈を押さえ付けていた手を離し、
ベッドから離れて綾奈に背を向けた。

翔矢「・・・分かったよ。俺が悪かった。
   だから、もうそんな事言わないでくれ・・・」

綾奈「・・・・」
翔矢「もう、綾奈を困らせない。
   だから・・・今までの事・・・本当にごめん・・・」

綾奈「・・じゃあ、もう仲直りでいいの?」
翔矢「ああ・・・綾奈が、それで許してくれるなら・・・」

こうして2人は、お互いにあったわだかまりを解いた。
それから2人は、とりあえず今日の勉強はこれで打ち切り、
明日から一緒にちゃんと勉強をする事を約束した。
その時、輝明は、風呂に入っていた。
そして翔矢は、ある決意をした。

翔矢(綾奈以外の人を好きになろう・・・)

期末テストは、一緒に勉強した事もあって、
綾奈は学年2位、翔矢もクラスで5位の好成績を収めた。
そして、夏休みを前に翔矢は、
友達のコネを使ってフリーの女子を紹介してもらい、
その子と付き合う事にした。


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