"やいたもん"の文学館

大きな人生の転機がありました・・・

偃布〜エフ〜

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第2話 暴走族

今、日本全国から、車やバイクなどの暴走族が消えつつあった。
ギブギブが、そういう奴らを退治していっているからだ。
ギブギブは、警察のように甘くない。
暴走行為を見つけたら、即射殺である。
運よく生き残っても、車やバイクは、爆弾などで木っ端微塵に破壊される。
日本の街角で、朝起きてみたら
暴走族の死体と車、バイクの残骸が転がっていた。
・・・そんな光景も珍しくなくなった。
そんなギブギブを恐れ、暴走族が消えつつあったのだった。
ただ、警察の面子は丸つぶれである。
そのため、ギブギブが活動するようになってから、
警察も、殺される前に保護し、法によって裁かれるようにするため、
今まで以上に厳しい検挙をしていったが、
警察が捕まえても、常習者は、それが直らない。学習能力も無い。
直らない、学習能力も無いから、また惨めに殺されていくのだった。

しかし、心の底から純粋に走る事が好きで、
ギブギブを恐れずに、命がけで走る奴らもいた。
誠も、そういう奴の1人だった。
誠は、100人からのチームを率いる暴走族のリーダーだった。
その100人も、誠と志を同じくし、
死をも恐れず、心から走る事を愛する奴らだった。
だからこそ、ギブギブは許せなかった。

「ギブギブに脅されたくらいで走りをやめるような
  ハンパな奴が殺されるのはどーでもいいが、
  俺らの仲間まで殺すのは許せねぇ。」


そして誠は、ギブギブと戦おうと
仲間の暴走族にも呼び掛け、兵隊を集めていた。
ギブギブを返り討ちにして名をあげると共に、
社会のどんな権力組織でさえ実態すら掴めないギブギブを
本気で潰してやろうと考えていたのである。
今回は、地元のギブギブを一掃するための呼びかけだった。

そして、誠の呼びかけに1000人もの仲間が集まった。
みんなギブギブに仲間を殺され、
ギブギブのために、辛い裏切りや別れを経験してきた
ギブギブに深い恨みがある奴らだった。
誠が考えた作戦はこうだった。
まず、ギブギブをおびき寄せるために、
誠のチーム100人がおとり部隊になって街中で暴走行為を繰り返す。
そして、残り900人は、街の各所に分散して配置して隠し、
誠のチームがギブギブに襲われたら、近くにいる奴らから一斉に集まって、
最後は1000人でギブギブを壊滅させるというものだった。
そんな誠には、秘密兵器があった。
それは、防弾チョッキ1000着と拳銃100丁だった。
誠が、しかるべきルートから仕入れたものだった。

「これで、とりあえず地元のギブの雑魚を血祭りにあげてやるぜ。」

その日の夜、作戦は決行された。
誠が、自分のチーム100人で作戦通り街中を暴走していた。
この作戦の最大の障害は警察。
ギブギブよりも先に警察に遭遇したら、作戦は水の泡だ。
一応、警戒が薄い時期を狙って決行したが、
誠は、警察が先に出てこない事だけを願っていた。
すると! 

バキューン!!!

突然、拳銃の発砲音が闇の中で鳴り響いた。
ギブギブだ! 誠は、臨戦態勢を整えると、すぐに市内の仲間たちに連絡を取った。

(今日でギブギブも終わりだ。)

だが、次の瞬間、誠にとって信じられない音が鳴り響いていた。

バババババ! バババババ!

それは、誠も聞いた事がある音だった。
次々と誠の周りの仲間たちが悲鳴と血しぶきをあげて倒れていった。
そして、車やバイクも炎上した。
誠の直感は的中した。それは、サブマシンガンだった。
この音を聞いたほかの仲間たちは、一斉にその場を逃げ出し、
誠たちのチームはたちまち孤立した。
誠は、拳銃を構えたが、どこに撃っていいか分からない。
やみくもに撃ったら、仲間に当たってしまうかも知れない。
しかし、そう考えている内に、サブマシンガンの音は鳴り止んでいた。
周囲を見渡すと、立っている仲間は、1人もいなくなっていた。
みんな血を流して倒れ、車やバイクは火に包まれていた。
正面を見ると、その火に照らされて銃を構えた集団の影が見えた。
とっさに誠も銃を構えたが、多勢に無勢、
普通の拳銃とサブマシンガンでは、鼻から勝負にならなかった。
誠の目には、悔しさの涙が溢れた。

「チクショー!! マシンガンなんて卑怯じゃねぇか!!
  仲間を殺しやがって・・・仲間を・・・」


その時、ギブギブの集団の影の真ん中から1人が前に出てきた。
相変わらず影で顔も分からなかったが、
背格好から男の影だという事は分かった。
そいつを見て、誠は叫んだ。

「何で、俺たちの邪魔すんだよ!? 俺たちは、走るのが心の底から好きなんだ。
  愛してるんだ!! 命がけで走ってるんだぁっっっっ!!!
  だから、もう邪魔しないでくれよ・・・」


すると、前に出てきた1人の男が言った。

「お前、命の掛け方間違ってねぇか?」
「・・・・」
「命かけんならよ、こんな小さなところでくすぶってねぇで、
  世の中動かしてみたらどうだよ。
  世の中を動かすなんて簡単だぜ。政治なんて、所詮は数の力だからな。
  お前ら走り屋が社会に認められねぇっていうなら、
  認められる社会でも作ったらどうだ?
  全国に同じクズやクズのOBがいるんだろうが、
  そいつら集めりゃ、政治くらいいくらでも動かせんじゃねぇのか?」

「・・・・」
「俺たちは、悪を退治する集団だ。
  お前たちが社会に認められて、社会の正義に組み込まれたら、
  そんときゃ、二度と手出さねぇよ。」


そして男は背中を向け、「じゃあな」と一言残して、
ギブギブの集団とともにその場を去っていった。
その背中を見つめながら、誠は、また叫んでいた。


ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!


その後、誠は暴走族から足を洗い、猛勉強して政治家になった。
誠は、全国の現役やOBの暴走族たちを中心に支持を集めて、
走り屋を社会的に認められるように奔走し、
公道での暴走行為に一定のルールを設けてレースなどの形でイベント化し、
走り屋が社会的に認められる環境を整えていった。
そして、有力な政治家となった誠は、権力を利用して、
再びギブギブを潰そうとしたが、
結局、その実態すら、あの時説教をたれた男の名前すら分からなかった。
また、ギブギブも、社会的に認められた走り屋を攻撃する事は無くなった。


ギブギブは、社会的にはテロリストである。
しかし、その被害者は同情されない。
悪事を働かなければ、ギブギブに攻撃される事は無いからだ。
そして、ギブギブによって、
自助能力のない現代社会が、少しずつ変わっていくのである・・・


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