"やいたもん"の文学館

大きな人生の転機がありました・・・

偃布〜エフ〜

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第3話 村八分

その町では、ある観光施設の誘致を巡って町を二分する議論があった。
賛成派は町の財政面を重視し、反対派は環境面での問題を重視して争ったが、
最終的には、賛成派が優勢となり、観光施設の誘致は決まった。
すると賛成派は、反対派の中心となった人たちを一斉に差別し始めた。
町の施設などの利用を禁止したり、町の行事への参加を拒否するなどの行動に出たのだ。
その対象となったのは、町の各地域で10件ほどの家。
その家族の子供は、学校でもいじめに合うようになっていた。
すると、こうした事態を知ったギブギブは、町に対し判決声明文を送りつけた。

町の行っている差別行為は甚だしく許し難いものである。
よって、何ら対策を講じなかった町長並びに町会議長、
今回の差別行為を主導した者は全て、家財没収の上極刑。
さらに町は、差別を受けた家1件に対し100億円、
計1000億円の慰謝料を支払う事を命ずる。
なお、この慰謝料が全額支払われない場合には、
町の公務員の全員の命を以て賠償とする。


そして、判決の一部は、直ちに実行された。
この声明文が届いた1週間の内に、町長並びに町会議長、
さらに差別を主導した賛成派の有力者の全ての者がギブギブによって殺害され、
その財産相続を放棄し、町に寄付した家族の命は助かったが、
相続した家族もギブギブによって殺され、
結局は、家財も判決どおりに没収されたのだった。

だが、町に1000億円もの賠償金を拠出する力など無い。
それらの家財を没収し加えたところで、1000億円に対してはすずめの涙である。
するとギブギブは、判決の最後の文の通り、
町の公務員の殺害を始めたのである。
地位の高い者から殺されていき、
また公務員をやめて逃げようとした者が優先的に殺されていった。
こうした事態に警察や国までも動いたが、
ギブギブの暴挙を止めるどころか、実行犯の1人でさえも逮捕する事が出来なかった。
すると町からは、国も警察も頼りにならないと、
未だ事態とは無関係な町民が続々と逃げ出す事態となり、
たちまちゴーストタウンへと変貌していった。
そこで国は、差別を受けていた10件の家族に
ギブギフに対してこうした暴挙をやめるように声明を出すように要請した。
差別を受けていた家族も、酷い差別を受けていたので、
最初の内はいい気味と思った事もあったが、
ギブギブによる大量虐殺を防ぐために記者会見を開き、
そこで声明を出した。

「私たちは、100億円の損害賠償なんていりません。
 だから、ギブギブも、大量虐殺をやめて下さい。」


その時だった。突然、その記者会見場に全身黒ずくめの集団が乱入し、
差別を受けていた家族だけを残して、
そこにいた記者や国や町の関係者、警備の警察の全てを殺害して会見場を占拠した。
そして、そのリーダーであろう覆面をして顔が分からない男が前に出て、
家族に向かってこう問いかけた。

 男「今更何を言っている?」
家族「もうやめて下さい!! こんな恐ろしい事、私たちは望んでいません!!」
 男「何を勘違いしている? お前たちのためにやっている事だとでも思ったのか?」
家族「え?」
 男「判決の究極の目的は、秩序の維持であって、原告、被告の一方を助けるためのものではない。
   我々の判決も同じだ。」

家族「こ、これが秩序だというんですか?」
 男「そうだ。秩序維持のために不必要なものを排除する。それだけだ。」

家族たちは泣き喚き、ギブギブの集団を前に震えた。
記者たちは殺されたが、カメラは生きていて、
その様子は、ずっと生放送され続けた。

 男「それに、今更戦おうとしても遅い!!
   戦うつもりなら、なぜ差別が始まったときに戦おうとしなかったのだ?
   お前たちは、自分の事しか考えていなかっただろう。
   差別をする者も受ける者も、自分の事しか考えずに加害者になり、
   自分の事しか考えずに被害者になる。
   だから何も変わらないのだ。
   お前たちもまた町民なら、その自助能力を示せたはずだ。」

家族「・・・・」
 男「我々が、お前たちを殺す事は無い。
   しかし、お前たちには、自分たちの事しか考えずに被害者面した罪がある。
   この自助能力の無い町の最後を見届けるがいい。」


そして、ギブギブの集団は、家族の前から消えた。

結局町は、国に用意してもらった1000億円を被害者家族全員に支払った。
これによりギブギブもその活動を停止したが、
町からは誰もいなくなり、残っていた人たちも皆町を去っていった。
被害者家族も同じだった。
そして、町には誰もいなくなり、ある日、町に火がつけられ、
その全ての家や建物が燃やされ、あるいは破壊された。
町は、次第にその姿を消していったのだった。


その後、この町は地図から消え、その名前すら忘れられていったという。
町は完全に滅んだのだ。
しかし、町の跡には自然が復活し、そこは緑の楽園になった。
人間に汚される以前の土地の姿を取り戻したのである。

町は、この地球上で最高の秩序を手に入れたのであった・・・


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