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今回の夜会、これまでの夜会と異なる点がいくつか。 ひとつは開演時間。夜会が始まった当初、「大人が仕事が終わってからゆっくり来られる時間に」というコンセプトで20時開演にしたはず。ところが今回は通常のコンサートと同じ19時開演。会場はこれまでと同じACTシアターなので会場側の都合ではないはず。何かのメディアで「夜会も20回を迎え出演者も歳をとってきたので遅い時間は辛くなって…」みたいなことが報じられたようだけど、そんな理由とは思えず。何か意図があってのことだと思うけどみゆきさんの口から説明されることはなかった。 二つ目は既存曲が使われたこと。確かに「シャングリラ」までは既存曲が多く使われていたけれど「2/2」以降は『二雙の舟』以外はすべて書下ろしだったのでこれは意外。今回は設定がステージのあるパブで元ミュージカル歌手や元ロックシンガーという背景のある登場人物だったこともありステージで披露される曲が既存曲という構成。そのせいか曲によっては歌い終わった後に客席から拍手が起こる場面も。これまでの「夜会」を知らない人には聴かせどころの曲が終わった後拍手が起こるのは珍しくもないことだろうけど実は「夜会」は「もしかしたら世界で一番拍手をしないステージではないだろうか?」と思うくらい緞帳が上がったら客席は静まりかえり、拍手が起こるのは本編が終わって緞帳が降り始めてからというのが普通。以前から「オペラやミュージカルでも聴かせどころの歌の後は拍手が起こるんだけどな〜」と思っていたので「お、ミュージカルっぽいかも?」と思った。 最近の「夜会」や「夜会工場」と同様にみゆきさんが歌わない曲も多いしみゆきさんが舞台にいない場面もあり、初期の「みゆきさんが出ずっぱり、歌いっぱなし」という状態ではなくなってきているけれど今回は渡辺真知子さんをはじめとして歌唱力抜群な方々がキャスティングされていたのでとても聴きごたえのあるステージで「みゆきさんがあんまり歌わなくて残念」と思うことはなかったような。 既存曲は当然発表当時とは違うシチュエーションで歌われ、新曲も繰り返して歌われる場合は異なるシチュエーションで歌われるので「夜会」が始まった当初の「異なる場面で歌われるとどう聴こえるか、どう伝わるかを実験する」言葉の実験劇場としての「夜会」も継承されていたと思う(『いつ帰ってくるの』などは特に)。 舞台装置としては第2幕の新橋の料亭以外はリトル・トーキョーのあるパブから動かないんだけど、第1幕の途中から舞台奥(外の風景)に雪が降り始め、時間の経過とともに降り積もる。雪が降り始めると気温が低くなることが前方の座席では感じられ、雪がおそらくVOL.3『邯鄲』の時にヨーロッパから輸入された人工降雪機による本物の雪であることが実感できる(しかし、前方の席では降り積もる様子は見えない)。 杏奴が幽霊になっている第2幕では杏奴の執務机の周りのカーペットが第1幕のときの暖色系から青を基調にした寒色系に変わり、照明も青っぽく変わる。第二幕の杏奴の衣装も第1幕のエンジから白へと変わっている。床の色の演出は前方の席からはまったく見えない。 私は2月12日は1階の6列目右側中央より2月23日は2階前方左寄りで見たんだけど雪や床の演出はみゆきさんが意図して考えたものだと思うのでもしも1回しかステージを観ないのであれば1階前方よりも2階の方がみゆきさんが意図したものを全て受け止められるかも?と感じた。 ストーリーとしては前作「橋の下のアルカディア」よりもさらにわかりやすいのでパンフレットのあらすじは事前に読まなくても理解はできるけれど作品の背景を記述した「序」と家系図は事前に見ておかないとそもそもリトル・トーキョーがどういう場所なのかが理解できにくいかも?と思った。しかし、これだけわかりやすいストーリーなのにパンフレットにあれだけ詳しいあらすじを載せたみゆきさんの意図はどこにあるんだろう? 梅田として杏奴の前に現れた梅乃が第1幕で杏奴に突然「最近お身体の調子が悪いことはありませんか?」と訊いたり「カナリア」(カナリアは毒ガスを検知するのに使われていた。オウムのサティアンの捜索の時にも連れていかれていましたね)を歌ったりしたことの意味が第2幕の新橋の料亭の場面で明らかになったり、きちんと伏線が回収されているんだけど第2幕、エンジのドレスで出て行ったはずの杏奴が白いドレスで帰ってきたり、いきなり連れてきた小雪について誰も「この子誰?どこから連れてきたの?」と疑問に思わなかったり、そもそも小雪が山犬の子供であることを知っている杏奴が何故小雪に新人研修を受けさせるのかなど不可解な点もなくはない。 最終的には 1.ホテルが崩壊したことにより山と森は自然保護区として護られるであろう 2.小雪は父犬の元で暮らせることであろう 3.子供の時から李珠に思いを寄せていた及河の思いが李珠に通じるであろう 4.文夫を慕っていた梅乃は文夫と一緒になれるであろう。 ということで杏奴以外の登場人物はそれなりに幸せを描くことが出来る終わり方。 杏奴にしても一番気がかりで死んでも死にきれなかった「小雪を救わなければ」という思いは成就できたわけだけど、文夫への思いは伝わったのか伝わらなかったのか…。幽霊だということがわかった杏奴を文夫が怖がらなかったことで文夫は実は杏奴を愛していたのだということが杏奴に伝わったのだろうか? う〜む…他のみんなの未来が暗くはなさそうなだけに杏奴のことを考えると切ないなぁ…。 でも、これまで以上にゴージャスで、ユーモアもあって見応え、聴き応えたっぷりの夜会VOL.20「リトル・トーキョー」、素晴らしいステージでした。やっぱりみゆきさんはすごい! 楽日を迎えた時点で思いついたのはこれぐらい。 ま、これからもいろいろ突然思い出したり、思いついたりするんだろうけど」。 反芻しながら年末ごろに出るであろう映像作品を待つことにしよう。 ちなみに今回買ったグッズ。 ACTカフェのスーベニアカップ&プレート。 白と黒の2種類があったので2月12日に黒を買って23日に白を買おうと思っていたのに23日の時点ではすでに数日前に完売だったようで…。こういうのって普通は楽日まではもたせるように1日の販売量を制限したりしないのかな〜?考えて欲しいな〜。 恒例の夜会カステラ。私は「夜会」のところからいただきました。 会場限定のスーベニアカップ&プレートとカステラ以外のグッズは通販で購入しました。 ぬいぐるみやらクッションやらかさばるものが多かったので。 そして注文生産の大倉陶園のカップ&ソーサー「Snow Crystal」は発注済み。到着が待ち遠しい!
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今回も私欠席でしたので、みゆきの発信したものの詳細が綴られていてとても参考になりました。ありがとうございます。
読んでいて思ったのですが、北海道の山間部で起こったことがトーキョーとどう繋がるのかが、みゆきが真に伝えたかったことの肝なのかなぁ。。。? と感じました。
私自身まだ結論は出ていませんが。
2019/2/28(木) 午後 7:40 [ yagi ]
yagiさん、パンフレットにあるみゆきさんのごあいさつによるとリトル・トーキョーは外国によくある日本人街とか日本食マーケットとかそういうものを意識しているようです(これは想像に難くないですよね)。で、今回の演目、私は「いつ帰ってくるの」という歌が鍵になるのでは?と思うのです。私の個人的な見解ですが外国に移住した日本人が故郷を思って集う場所がリトル・トーキョーなら杏奴が行方不明の李珠が帰ってくるのを待つ場所をリトル・トーキョーと名付けたのはこのあたりと関係があるのでは?そして結果的にリトル・トーキョーは誰かを待つ場所になっている…みたいな。うまく言えませんがやっぱりみゆきさんにとっての永遠の課題「帰る場所を探す魂」に繋がるのかな?と。
2019/3/1(金) 午前 0:24
> yamakamiさん
返信ありがとうございます。
また丁寧な解説ありがとうございます。
北海道を舞台にして、「いつ帰ってくるの」と連呼する。。。
みゆきは自分自身に問いかけているのでしょうか。
2019/3/1(金) 午前 7:04 [ Yagi ]
yagiさん、みゆきさんにとって「帰る場所」「帰りたい場所」は永遠のテーマの様な気がするのでリトル・トーキョーの意味も深いかもしれませんね。
2019/3/1(金) 午前 10:14