1ヶ月平均の労働時間数について
(残業代の基になる時間単価の計算に使う1ヶ月平均の労働時間数)
  1カ月の平均労働時間に1時間未満の端数がでた場合の処理  
時間外労働の割増賃金は(賃金の時間単価x割増率x時間外労働時間数)によって計算されます。時給制であれば時間単価は自明ですが月給制の場合には時間単価を算出しなければなりません。ここでは、その方法について解説します。
月によって労働時間数が異なる場合
月給制賃金の場合に、残業代のベースとなる1時間当たりの賃金額を算出する際には1ヶ月の賃金を1ヶ月の所定労働時間数で除して計算するが月によって労働時間数が異なる場合は1年間における1ヶ月平均の労働時間数を使う。
《根拠》1時間当たりの賃金額の計算方法について次の規定がある。
労基法施行規則19条の4
「月によって、定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヶ月平均の労働時間数)で除した金額
1ヶ月平均の労働時間数を求める計算式(例)
1ヶ月平均の労働時間数=(365ー年間の所定休日)x8÷12
年間の所定休日の例:土日祝+年末年始+夏休み+創業記念日等(通常は就業規則で定められている。)
  1カ月の平均労働時間に1時間未満の端数がでた場合の処理  
端数処理:1ヶ月平均の労働時間数は小数点以下1位を切り捨て時間単位とする企業が多いが、小数点以下2位を切り捨て1位まで出す企業がある。また、小数点以下3位を切り捨て2位まで出す企業もある。割増賃金を算出するのであれば、切り捨てることによって時間単価は労働者に有利になるのでどちらでも問題ないと言える。 但し、欠勤控除や遅刻した時間分の賃金を控除する場合には労働者に不利となるので労基法を守るには切り上げる必要がある。しかし、単に不就労時間分を控除するのではなく就業規則に基づく制裁金として差し引くのであれば労基法91条の規定に反しない限りどういう方法を採ろうと違法にはなりません。欠勤控除については特に就業規則の一部である賃金規定に明記しておく必要があります。
1ヶ月平均労働時間数は年度毎に異なるので毎年算出する必要がある。
祝日を所定休日としている場合、年度によって休日数が異なる。また、365日の年もあれば366日の年もある。従って、事業所は年に一度は時間単価の計算をする必要がある。毎年算出するのが煩わしいのであれば、時間単価を規定通り計算した金額より高目に設定しておけば問題ない。1ヶ月平均の労働時間数でいえばどんな年度でも通用するよう少な目の労働時間数にすることである。
同じ立場(例えば正社員)の従業員であれば同じ労働時間数となる。
この1年平均の労働時間数は月給制の場合の規定である。正社員の場合が多いと思われる。同じ正社員で1ヶ月平均の所定労働時間が異なることは普通はあり得ない。従って、給料の時間単価も同一である。
中途入社や中途退職も同一の労働時間数で構わない。
中途退職も中途入社も、その年度は1年間勤務しませんが、通常は1年間勤務したものとして1ヶ月平均の労働時間数を使います。従って、時間単価も全社員同一の金額となるのが一般的です。念のためにそのことは就業規則等で規定しておけば万全です。
【参考】
割増賃金の計算に際して算出される1時間当たりの賃金額又は1時間当たりの割増賃金額に端数が生じた場合は50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げて処理することが一般に行われている。このことについて行政解釈では「常に労働者に不利なるものではなく、事務簡便を目的にしたもの……」として労基法違反としては取り扱わないとしています。(昭和63年3月14日基発第150号)
なお、割り増し賃金の計算については別の記事を書く予定です。
この記事は私のメモですので実際の運用に当たっては労働基準監督署等にご確認ください。
転載元: 労働相談のブログリンク
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