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生まれて始めて飛行機に乗り、酒に酔いながら聴いた機内放送は
「ただいま機は香港上空を通過しております」
バンコクは香港より遠いのだとそのとき知った。私の初めての国境越えは何の知識もなく、人任せで行き当たりばったりのものだったのだ。
あれから何年が経つだろう。バンコクを起点にいろんなところへ飛んだ。マニラやシンガポール、雲南、ラオスのパクセ、プノンペンとシァムレアプといった近隣から、カトマンズ、北京、ソウル、アムステルダム……。
舞台公演があり、ワークショップがあり、テレビ撮影があり、遊びや別れがあった。
起点として考えればバンコクはいい位置にある。さほど東でもなければ南へ寄り過ぎてもいない。
あるとき、バンコクを発ってパキスタンへ飛んだ。アフガニスタンとの国境にあるアフガン難民キャンプ取材のアシスタントとして。仕事も終わり、いよいよ明日はまたバンコクへ戻るという日のこと、カラチの町で私をつけまわしていたタクシーの運ちゃんの根気に負けて半日観光と相成った。小高い丘の上から運ちゃんが遠くの海の向こうに霞む陸地を指差しながら言う。
「アラビア半島。向こうはイラン……」
目を見張った。直線的に時間を打っちゃって飛んできたもっと先には広がる大陸がまだまだあった。ほんのもう少しでアフリカじゃないか。果たして世界は広いのか狭いのか。わからなくなる一瞬が直行便の果てにあった。
別れ際に運ちゃんが言った。
「首都はイスラマバードへ移った。でも俺たちにとっての首都はいつまでもカラチだ」
そんな呟きとの出会いもまた。 (2008 7 7)
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そうか、飛行機からの写真なのね・・・。
空から見る人間の世界は・・・色々ですね。
2010/12/26(日) 午後 0:08