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バンダルバン州バンダルバン市。 河のほとりで彼らと出会った。 路地を覗きこむと古い住居が並んでいて、 それに吸い込まれて私は路地へ入っていったのだ。 おじさんと目が合うと、「よっ」という感じの挨拶があった。顔つきがまったくアジア的というか日本的というか、こちらも思わず「よっ」となった。 ビルマ系マルマ族の人。 「どこから来たの?」 「日本。」 「ジャパニーズか!」 なにを驚く。 言葉が継げなかったが、おっさんの家の横に細い路があった。 「ここ、入ってもいい?」と訊くと 「どうぞどうぞ、この先は河だ。案内しよう」となった。 家のすぐ裏は急な土手で、視界がポンッと開けると河が流れていた。 「これは娘だ。息子もいるが、最近船に乗って川遊びばっかりやってる」 向こう岸はジャングルで結構やばいことも起こっててな、大きな声じゃ言えないが、てなことをしゃべりはじめたおじさんだったが、固有名詞がやたら出てきて何の事やらよくわからない。要は民族や村やマフィアや何やかやでこの河の水には時折血が混じりますのさ、というようなことだ。 素直にそう思えた。 聖書みたいな平和なぞどこにあるものか。 気持ちは暗くなったけれど、心はきっぱりとした。 そろそろ、バングラを離れる日が近くなっていた。 |
バングラデシュ
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