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日本人学校に通う子供たちの「演劇サークル」にコーチとして関わっている。
『えんとつ町のプペル』という絵本があるがご存じだろうか。大ヒットを飛ばしているらしいが、いかんせん、私はまったく知らなかった。
けれどもこの絵本を使って今、子供たちと遊んでいる。文章を読むのでも絵を見るのでもない。そのなかの一シーンを、本を捨てて体を使った芝居にしてしまえという遊びだ。
選ばれたのは空を飛ぶというシーン。砂浜にうち捨てられたボロ船に風船を結びつけ、それに乗り込んだ登場人物たちが遙か高みへ星を見に飛ぶ。
舞台装置も衣装も照明も、大道具も小道具も音響も無いなかで、子供たちに与えられた道具は自分のありのままの体だけだった。しかし、何とわずか2時間の稽古の後、子供たちは船を作り、風船を膨らまし、揺れるボロ船に乗って風のなかを飛んでいった。子供たちはこの旅の果てに星を見ることを信じていたし、その演技を観ていた親たちは自分の子供のなかにまたひとつの星を見つけて息を呑んだ。
人は重力に日常的に逆らうことは出来ない。一生を地に這って生きるしかない。東西南北のどこかへ行くしかないのだし、前後左右だけで上下はない。それでも人はその体だけで星に手を伸ばすことができるのではないか、と感じさせられた一瞬だった。
今月21日、タイ時間では午後10時を最高潮としてオリオン座流星群が夜空に現れるという。地を這う自分も、たまには星を望んで首を上げてみようかと、そう思っている。子供たちもまた、その時にきっと空を見上げている。 2017/10/09
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