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さぁて、どうするかな・・・・

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目撃者は30人のみ

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その彼は普段は現地採用のスタッフとして日系企業で何食わぬ顔をして働いている。けれどもその仮面を脱げば、「怪優」と呼ばれる役者としてタイ以外の国でも知られるとんでもない経験と実力をもつ日本人なのだった。
その彼が新人に戻ったつもりで一人芝居の舞台に立つという決断をした。

十数年前、私は彼に直談判をしたことがある。私が書いた芝居に出てくれないか、と。一言で断られた。「自分で書いた芝居にしか出ませんから」と。

あれから紆余曲折があり、彼とは何度か舞台で共演した。そして今年の9月、小さなスペースで彼との二人芝居をやった。
彼の演技は台本の中に隠されている狂気や凶器を読み取ってそれを鏡のように共演者と観客にぶつけてくる。あっけにとられるのは私たちだ。段取りではなく、その場その場の瞬間に生きるのが芝居の醍醐味だと頭でわかってはいても実際にはまず出来ない。けれどそのあこがれの演技を共演者として50センチ前からぶつけられた私は幸せ者だった。

その彼がたったひとりで舞台に立って私たちにある風景を見せてくれるという。それはまだベールの向こうなのだが、彼自身がこの地で出会った様々な人々をモチーフに謳う応援歌になるらしい。この12月、私たちはそんな舞台を目撃することになる。たった一回だけ、30人しか入れないスペースで。この地に住む日本人たちとはどういう人々だったのか、それを一人の男が自分のなかで昇華して別のものに作り替えて見せてくれる。

現採(現地採用者)は時として俳優であり錬金術師だ。


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