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カッターは仕事上での必需品だ。スタジオで撮影するときにはトレぺを切ったり、ペーパーを切ったり、あるいは撮影物を宙に浮かせる仕掛けを作るために割り箸を削ったりする。どうも昔からアシスタントに恵まれない運命にあるようで、結局撮影に関するすべてを自分でやる破目になる。ムービーと違ってスティル撮影は個人ひとりで何とか完結できるのが醍醐味だったりもするのだが。映画で言えばエンドロールがひとり、って感じかな。

ひとりで作るから、クライアントからダメだしされても素直に「すみません」と言える。誰かに責任を負わせようとしても不可能だ。こういう緊張感がいい。もちろん失敗したらくやしいから、細かいところまで気を配って撮影の準備に入る。カッターなどの小物にも気を抜けない。

20代の頃は、カッターなんてそこら中にあるし、現場で借りればいいやと思っていた。ところが借りたカッターは使いにくい。刃先がぼろぼろで切れなくても、「これ折ってもいいですか」とも聞きにくいし、だいたい刃全体にテープの接着剤がこびりついていたりする。切れ味が最悪だ。

それで常に「マイカッター」を持ち歩くようになった。そして20年以上のカッター携帯生活を経て、自然に「究極のカッター」が選ばれた。これ以外はもう使う気がしない。

結果的に柄の部分はすべて金属だ。勿論、最初は金属好きの僕としては、素材で選んだのだが、これが非常にしっくりくる。プラスティックの柄がついたカッターは、なぜか柄の部分を握りやすい形にデザインしているものが多い。握りこむ形で、刃先に力を加えやすいのは解るが、実際の現場ではそんなに力を入れてカットすることなどない。手の形に合わせてあるから、グリップの手前のほうが太く作られている。これが問題だった。プロと呼ばれる人は、驚くほど刃先に力を入れない。カッターの中心部を軽くつまむ感じで、刃先の重さと刃の鋭さだけでスッと切る。プラスティックの柄のものは手前が重く作られているので、この使い方をすると刃先が浮き上がってしまうのだ。

金属の柄のカッターは、シンプルなデザインのせいか前後の重さのバランスが良い。刃先を伸ばすとそちらに重心が動く。だから自然に切る角度に刃先が下がっていく感覚だ。ボディそのものも薄くできているので指先の微妙な力の入れ具合を刃先に伝えやすい。

僕の常用カッターは一番手前の“OLFA SILVER”というモデルだ。ステンレスのボディはかなり剛性が高い。細いわりに適度な重さもある。細かい作業には最適だ。100円ショップにこのモデルのコピーが出回っているが、全く別物だ。薄い鉄板を折り曲げてつくってあるので、軽いし、力をいれるとたわんでしまう。

真ん中のものはスタジオ撮影時の必携カッター、やはりOLFAの“カッターのこ”だ。アルミのボディに大型刃とのこぎりの2 in 1構造になっていて使い易い。スタジオでのこぎり?と疑問に思うかもしれないが、これはけっこう使用頻度が高い。幅2.7mのロールペーパーを買い、自分で使い易い長さに切ると経済的なのだが、このときにのこぎりが必要になる。ペーパーの芯ごと、材木のように切ってしまうのだ。

一番うしろは無印良品のカッターだ。“OLFA SILVER”の大型刃判が欲しかったのだが、同社では作っておらず、いろいろと探して近いものを手に入れたのだ。ボディはステンレスだが、工作精度が少しだけ低い。使用上の問題はない。

この三本が僕の「定番カッター」になっているのだが、実はもうひとつこだわりがある。カッターを買うと僕はデフォルトの刃を捨て、OLFAの“特専黒刃”に交換してしまう。この刃は「プロ用超鋭角刃」の説明のとおり、切れ味が抜群だ。一度試してからは手放せなくなってしまった。ただ、刃の角度が鋭い分、刃先の劣化が早い。

OLFA http://www.olfa.co.jp/index2.php のホームページにも説明があるが、OLFAは「折る刃」、つまり切れ味が甘くなった刃先を折ることによって切れを良くする仕掛けだ。しかし僕は基本的に刃を折らない。切れが甘くなった時点で刃そのものを換えてしまう。折った後の刃は、最初の刃に比べると僅かに切れ味が悪い。これが気になってしまうのだ。

道具、特に仕事関連の道具にこだわりを持つということは、要は仕事をスムーズに進めたいという、願いにも似た感情の表れのような気がする。自分で使い易い道具を選び、メンテナンスをし、最高の状態で仕事に臨む。たかがカッターでもそれは同じだ。ペーパーが思い通りにスパッと切れたとき、さすが僕の選んだ金属だ、と嬉しくなり、その後の仕事がうまく運んでいくのである。

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「カッター」のタイトルに、またまた反応。笑。過去記事をトラックバックさせていただきました〜♪ 道具はどんなものでもそうですが、手にしっくり馴染む、というのが一番大事ですよね。

2006/2/21(火) 午前 8:11 [ ウタイ♪ナガラ ] 返信する

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社長さん、こんにちは。 そうそう、昔はデザイナーの胸ポケットにはいつもカッターがはいってましたね。NTのも金属の柄だったと思います。今はそんなデザイナーは見ませんねぇ。

2006/2/21(火) 午前 9:01 [ yanow*1113 ] 返信する

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