米国海洋大気庁(NOAA)が7月15日に発表した報告によると、今年1月から6月までの全球地表面および海表面温度は、1880年に観測が開始されて以来最も高かった。同時期の平均気温は摂氏14.2度で、20世紀の平均を約0.7度上回った。
9カ国で気温の最高記録を更新し、中でもパキスタンでは5月26日に摂氏53.5度に達した。民間気象予報サービス会社ウエザー・アンダーグラウンドで気象学ディレクターを務めるジェフ・マスターズ氏によれば、これは観測史上アジアで最も高い気温である。 アジアやペルー、アメリカ東部などの地域では気温が上昇しているものの、気候の短期的な影響により気温が過去最低となっている地域もある。NOAAの報告によれば、例えば中国南部の貴州省では今年6月、気温が6月としては史上最低となった。 「現在のところ観測史上最も暑かった年は2005年だが、今年はそれを上回ると断定するのは時期尚早だ。しかし、2010年が少なくとも第3位または第4位の記録を達成することはほぼ確実だ」と、NOAAの国立気候データセンター(NCDC)で気候モニタリング部門を率いるデレク・アーント氏は述べている。 2010年が史上“最高”に暑い年にならないと思われる理由のひとつは、エルニーニョ現象とラニーニャ現象という2つの強力な気象現象の相互作用にある。 エルニーニョは太平洋中央部と東部の熱帯の海水の温度が上昇する現象だ。アーント氏によれば、人間活動に由来する温室効果ガスは着実に気温の上昇傾向を生んでいるが、エルニーニョが起きる年には暖められた海水が気温の上昇に“拍車”をかける働きをするという。一方で3〜7年ごとにエルニーニョと入れ替わる形で、太平洋熱帯海域東部の海水温が下がるラニーニャが生じる。 アーント氏によれば、5月下旬にエルニーニョが終息しラニーニャがこれに取って替わったため、2010年はエルニーニョが引き起こした気温上昇が緩和される可能性があるという。ただしコロラド州ボルダーにあるアメリカ国立大気研究センター(NCAR)の上席研究員であるケビン・トレンバース氏は、エルニーニョの影響は8月いっぱい続く可能性が高いと話す。 アーント氏によると、長期的な温暖化傾向はエスカレーターに乗っている状態に例えられるという。それに対し、エルニーニョやラニーニャのような自然現象は、上昇するエスカレーターの上でステップを数段飛ばして上り下りする行為に似ているという。トレンバース氏も同意見で、エルニーニョとラニーニャはあくまでも「小さな変化」で、「こうした現象が長期的な気温の上昇傾向に加わったときに記録が更新される。地球温暖化だけでも自然現象だけでもない。両方の組み合わせだ」と述べる。 しかし、エルニーニョやラニーニャによる短期的な影響は、北極海の氷の消失と海面上昇にはそれほど関係しないとトレンバース氏は指摘する。 1992年から進められている人工衛星による観測によると、観測開始以来海面は5.6センチ上昇している。これは100年で30センチまたはそれ以上のペースで上昇していることになるとトレンバース氏は語る。 NOAAの最新の報告では、2010年6月における北極海氷の総面積は1090万平方キロで、1979年から2000年の平均値よりも10.6%減少しており、1979年の観測開始以来6月としては史上最小を記録した。トレンバース氏によると、現在のところ「2010年は北極海氷の最小面積を記録した2007年を上回るペース」で北極の温暖化が進行中で、海氷の消失と海面上昇は「地球温暖化が進んでいることを明確に示している」という。 また、今回のNOAAの報告には意外な要素もあった。例えば、ウエザー・アンダーグラウンドのマスターズ氏は、太陽活動が弱い時期に気温が極度に上昇しているという事実に衝撃を受けた。太陽の黒点活動は約11年の周期で強弱を繰り返し、黒点活動が最も活発な時期は地球の気温も上昇する傾向にある。 「今年の太陽活動は過去最低の水準だ。それなのに気温が過去最高を記録するのは注目すべきことだ。(太陽活動よりも)人間活動に由来する地球温暖化とエルニーニョの影響が強いようだ」とマスターズ氏は語る。 それに対し、NCARのトレンバース氏は黒点活動の地球温度への影響は「実証されておらず」、影響があるとしても「極めて小さい」と反論する。 NOAAのアーント氏は、それでも今回の報告は「地球温暖化による気温上昇の予測と一致しており、地球で今起きていることを再確認するものだ」と話している。 National Geographic
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サイエンス
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約1300万年前に現在のペルーのある砂漠付近に当たる海に生息していた強暴なクジラの化石が最近発掘された。このクジラは、小説『白鯨』の作者ハーマン・メルヴィルに敬意を表して“レビアタン・メルビレイ(Leviathan melvillei)”と名付けられた。
体長は約18メートルで、現生のマッコウクジラのオスの大きさに匹敵する。肉食と考えられ、これまでに発見された中で最大のサメと同じ時代に生息していた。 しかし、現生のマッコウクジラが主にイカを餌とするのに対し、レビアタン・メルビレイは歯が長く、一部の歯は36センチ以上もあることから、イカよりも捕食が難しい餌を捉えていたと考えられる。近縁種のクジラも食べていたかもしれない。 「このクジラはメルヴィルが『白鯨』で描いたような、非常に強く恐ろしい動物だったと考えられる」と、研究の筆頭著者でパリにある国立自然史博物館の古生物学者オリビエ・ランベール氏は語る。 National Geographic
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性フェロモンはほかの動物でも同様の効果を持つことが知られているが、研究の共著者である東京大学大学院農学生命科学研究科の東原和成教授によると、その作用を分子レベルと脳レベルの両方で捉えることに成功したのは今回の研究が初めてだという。
オスのマウスは眼を乾燥から守るために涙を流す。毛繕いをするとその涙が体の周囲や巣の中に拡散し、涙に含まれるフェロモンも同時にまき散らされる。 メスのマウスがオスと接触したりオスの巣に入ったりすると、メスの鼻にある鋤鼻器官(じょびきかん)という組織の内部で特定のタンパク質がこのフェロモンを受容し、メスがこのフェロモンを感じ取る。 化学物質には蒸発しやすいものもあるが、「このフェロモンは香料などの合成物質のように揮発性がないので、感じ取るには直接触らなければならない」と東原氏は話す。 このフェロモンに接触すると、フェロモンはメスの脳の性をつかさどる領域に送られる。するとメスは、尻と尾を上に突き出すロードシスと呼ばれる行動をとる確率が、フェロモンに接触しない場合の3倍になる。この行動は多くの動物が発情期に見せるものだ。 ヒトの場合は、ESP1をコードする遺伝子やそのレセプターを持たない。したがって、ヒトの男性が繊細な一面を見せるために涙を流してみせたとしても化学的には性的魅力が増すわけではない、と東原氏は語る。「実際、ヒト同士では化学物質のやり取りによるコミュニケーションは行われない。私たちは言葉を使うし、視覚も発達している」。つまり、興味を持った相手を目で品定めできるということだ。 しかしこの発見は、現実にマウスの繁殖管理に効果を発揮するかもしれない。東原氏によると、「野生のマウスがこのフェロモンを大量に分泌するのに対し、驚くべきことにほとんどの実験用マウスは分泌しない」。その結果、実験用マウスの繁殖効率が低くなり、遺伝子学的に実験に適したマウスを繁殖するために必要以上の時間と経費が使われている可能性がある。 東原氏の研究チームは、このフェロモンに関する技術を“実験用マウスの交配機会を増やす”技術として特許申請している。 National Geographic
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今回発見された“長寿の組み合わせ”には、しばしば老化が原因とされる認知症や心臓疾患などの老人性疾患を誘引する遺伝子を抑制する働きがあるようだ。
アメリカにあるボストン公衆衛生大学院の生物統計学者で、今回の研究を率いたパオラ・セバスチアーニ氏は、「この組み合わせを持つということは、あくまで長生きする遺伝的素因があるというだけのことで、100歳まで生きられることを保証するものではない。人生は何が起こるかわからないのだから」と強調する。 当然のことながら人間の寿命には、その人の生活様式、環境、さらには単なる運といった要素が大きく作用する。この研究の被験者である百寿者(100歳以上の高齢者)の23%がそれらの組み合わせを持たないことからも裏付けられている。 「長寿につながる組み合わせを持たなくても長生きできた少数派の秘訣は、ちょっとした心がけや、危険要因を避けた生き方にあるのだろう。例えば喫煙をしないことや、赤身の肉を食べ過ぎないことなどだ。あるいはただ単に、より健康的な生活を意識してきただけなのかもしれない」と、セバスチアーニ氏は推察する。 百寿者とその家系の研究において世界最大級といわれるボストン大学ボストン医療センターのニューイングランド長寿研究では、1995年以来1000人を超える白人種の百寿者からデータ収集を続けてきた。今後は、百寿者の人口では突出する日本を手始めに、白人種以外の民族についても研究範囲を広げていくという。 先進工業国では、100歳を迎えることができるのは6000人に1人程度だ。なかでも110歳を超える“スーパー百寿者”になれるのは、わずか700万に1人となる。男女比では、100歳以上の全人口の85%を女性が占めている。 研究者たちがまだ第一歩に過ぎないというこの新発見だが、いずれは各個人の肉体寿命をあらかじめ知ることが可能になるかもしれない。 また、150種類の遺伝子の組み合わせの研究が進めば、特に老化に伴う疾患について、個々人に合わせたゲノム研究や予測医療などの分野にも役立つものと考えられる。すでに今回の研究でも、この点について驚くべき事実が明らかになった。 例外的に長寿の家系があることは以前から知られている。そこで多くの研究者が、長寿の人たちには老齢につきものの疾患に関連する遺伝子がないのではないかと考えてきた。ところが新しく判明したデータによれば、百寿者が持つ老化に伴う疾患に関連する遺伝子の組み合わせの数は、それ以外の人たちとなんら変わるところがなかった。つまり長寿につながる組み合わせが疾患に関わる組み合わせの作用を相殺したり打ち負かしたりする可能性があることになる。 その仕組みがどのようなものであれ、多くの場合、死期が近くなるまでこの遺伝子の組み合わせが身体上の障害や病気が発生するのを防いでくれるようだ。百寿者の9割が93歳あたりまで身体的にはいっさいの障害が見られなかった。 人口統計学者のダン・ビュートナー氏は、長年にわたって世界の長寿者と彼らが住んでいる地域について研究してきた。同氏はこうした地域を“ブルーゾーン”と呼んでいる。 「百寿者は健康的な暮らしをしているのも確かだが、遺伝子的にも“当たりくじをひいた”人々であることは以前から知られている。だが遺伝子と環境は相互に密接に関連している」とビュートナー氏は今回の研究を称賛して語った。 たとえば食物、水、空気の質などの環境的要因は急激に変化する可能性がある。つまり現在長寿者である人を長寿者たらしめた遺伝子の組み合わせは、今年生まれた乳児にとっても同様のよい結果を生むとは限らないという。ビュートナー氏はナショナル ジオグラフィック探査協議会の助成を受けている。 ビュートナー氏は、いずれは遺伝子操作によって老化の過程を遅らせることができると考えているが、それはまだ先の話だという。今のところは自分に与えられた遺伝子で生きるしかない。つまり長生きしたいなら生活習慣に気をつけるしかないそうだ。 「現在わかっているのは、典型的なアメリカ人の余命を約10年延ばして生体時計の進行を遅らせることができるだろうということだ」。そのためには健康的な食生活を送り、飽食を控えることが大切だという。そのほかには運動と気力が何よりも大切だそうだ。ビュートナー氏は強い目的意識を持って生きる人の方が目的意識のない人よりも7年ほど長生きすると考えている。 「やがて可能になるかもしれない遺伝子操作の恩恵を受けるためにも、現状では生活習慣の改善が一番の方法だ」。 この研究は2010年7月2日発行の「Science」誌で発表された。 National Geographic
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今回の研究責任者であるイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の獣医臨床医学部教授、マーク・ミッチェル氏は、「菌には性別があって遺伝物質が受け継がれる」と話す。
研究チームは、オオメジロザメ、ニシレモンザメ、コモリザメを含む7種のサメのほか、レッドドラム(学名:Sciaenops ocellata)など、ベリーズ、フロリダ州、ルイジアナ州、マサチューセッツ州の沿岸に生息する魚類を対象に調査を行い、体内に抗生物質の耐性菌を発見した。 突然変異の可能性もあるが、人為的な原因が招いたとも十分に考えられる。「余剰の抗生物質をトイレに流したり、ゴミ箱に捨てているからだ」と、ミッチェル氏は問題点を指摘する。 廃棄薬物に菌がさらされると、自然に耐性を獲得するようになる。この“モンスター菌”によって、伝染力が桁外れの疾病がサメなどの魚に広がるかもしれない。回り回って人間の口に入るリスクも懸念されている。 「サメが食卓に上るわけではないが、サメのエサであるカニやエビなどの魚介類は人間も食べている。この危険性を認識し、感染を避けるために食物を適切に扱う必要がある」とミッチェル氏は警告する。 「私も寿司などを好んで食べるが、耐性菌のリスクを最小限に押さえるには、廃棄薬物とは縁のないヘルシーな天然ものを選んだ方が良いだろう」。 今回の研究は「Journal of Zoo and Wildlife Medicine」誌6月号に掲載されている。 National Geographic
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